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蓄電池設備の試験結果報告書は何を確かめているのか|保有距離と減液警報装置の判定基準を解説

蓄電池設備の試験結果報告書は何を確かめているのか

蓄電池設備の設置工事が完了すると、消防長や消防署長へ届け出るときに試験結果報告書を添えます。
この報告書には、設置場所や保有距離、接地抵抗など、現場で実際に確認した数値を書き込む欄が並んでいます。
蓄電池設備にも専用の試験区分が定められていて、非常電源専用受電設備や自家発電設備とは別の判定基準が用意されています。
今回は蓄電池設備の試験結果報告書に、現場でどんな数値をどう確かめるのかを解説します。

うちの蓄電池設備、試験のときは何を確認しているんでしょうか。

実は設置場所や保有距離まで細かく判定基準が決まっているんですよ。
まずは報告書の位置づけから見ていきましょう。

減液警報装置なんて、普段は全く意識したことがありませんでした。

実は作動するかどうかを試験で確かめる方法まで決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 蓄電池設備の試験結果報告書は設備ごとに定められた試験区分及び項目に沿って確認する
  • 設置場所は不燃専用室か、告示基準に適合するキュービクル式のいずれかで区画する
  • 保有距離は操作面・点検面・換気面ごとに数値が決まっている
  • 接地抵抗はD種100Ω以下、絶縁抵抗は3メガオーム以上であることを確かめる
  • 減液警報装置は三つの方法のいずれかで作動を確認する

蓄電池設備の試験結果報告書は何を確かめているのかを示す図解

蓄電池設備の試験結果報告書とはどんな書類なのか

蓄電池設備のキャビネットと試験結果報告書を並べた図
蓄電池設備の設置工事が完了すると、届出のときに試験結果報告書を確認します。
どんな項目をどう確かめるかは、消防庁が設備ごとに試験区分及び項目を定めています。
非常電源(蓄電池設備)の設置に係る工事が完了した場合における試験は、次表に掲げる試験区分及び項目に応じた試験方法及び合否の判定基準によること。(消防庁「消防用設備等の試験基準」(平成14年9月30日消防予第282号)第27 非常電源(蓄電池設備))
蓄電池設備の試験は外観試験・機能試験・作動試験の三つに分かれています。
外観試験では設置場所や保有距離、標識の有無などを目視で確認します。
機能試験では接地抵抗や絶縁抵抗を計器で測定し、作動試験では減液警報装置や切替装置が実際に動くかを確かめます。
非常電源専用受電設備や自家発電設備にもそれぞれ専用の試験区分があり、設備が違えば確認する項目の並びも変わります。
つまり蓄電池設備には、蓄電池設備ならではの確認ポイントが用意されているということです。

外観と機能と作動、三つも試験があるんですね。

見た目・数値・実際の動きをそれぞれ別の角度で確かめるんです。
次は設置場所の条件を見ていきましょう。

蓄電池設備はどこに設置されていれば試験に合格するのか

蓄電池の列と充電装置の制御盤を並べた図
設置場所の外観試験では、まず区画のしかたが問われます。
不燃専用室として区画するか、キュービクル式として設けるかのいずれかです。
不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井で区画され、かつ、窓及び出入口に防火戸を設けた専用の室(以下「不燃専用室」という。)に設けてあること。告示基準に適合するキュービクル式蓄電池設備(以下「キュービクル式」という。)は、不燃材料で区画された変電設備室、発電設備室、機械室、ポンプ室その他これらに類する室(以下「機械室等」という。)又は屋外若しくは建築物の屋上に設けてあること。(消防庁「消防用設備等の試験基準」第27 非常電源(蓄電池設備) ア 外観試験)
設置場所は不燃専用室かキュービクル式のいずれかで区画します。
不燃専用室は、壁・柱・床・天井を不燃材料で区画し、窓や出入口に防火戸を設けた専用の部屋のことです。
告示基準に適合したキュービクル式であれば、変電設備室や機械室等、または屋外・屋上に設置することもできます。
そのほかにも、屋外に通ずる有効な換気設備や防水措置、火災を発生するおそれのある設備や可燃物を置かないことなど、出火・延焼を防ぐための条件が並びます。
点検及び操作に必要な照明設備と、蓄電池設備である旨の標識も欠かせない確認項目です。

部屋に入れるか、箱に収めるかの二択なんですね。

はい、どちらも不燃材料での区画が前提です。
次は保有距離の数値を見ていきます。

保有距離の欄はどうやって確かめるのか

蓄電池キャビネットの前でメジャーを伸ばす図
保有距離は、点検や操作のために確保しなければならない機器まわりの距離です。
キュービクル式かどうか、また機器の部分ごとに、数値が細かく分かれています。
蓄電池設備は、次表に掲げる数値以上の保有距離を有して設置されていること。キュービクル式のもの 操作面1.0メートル、点検面0.6メートル、換気面0.2メートル。キュービクル式以外のもの 蓄電池は周囲0.6メートル(架台等で高さが1.6メートルを超える場合は1.0メートル以上)、充電装置・逆変換装置・直交変換装置は操作面1.0メートル、点検面0.6メートル、換気面0.2メートル。(消防庁「消防用設備等の試験基準」第27 非常電源(蓄電池設備) ア 外観試験 保有距離)
保有距離はキュービクル式かどうかで求められる数値が変わります。
キュービクル式のものは、操作面1.0メートル・点検面0.6メートル・換気面0.2メートルという数値です。
キュービクル式以外の蓄電池は周囲0.6メートル以上、架台などで高さが1.6メートルを超える場合は1.0メートル以上に広がります。
充電装置・逆変換装置・直交変換装置も、操作面1.0メートル・点検面0.6メートル・換気面0.2メートルという同じ考え方で確認します。
点検のときは巻尺で実際の距離を測り、この数値を下回っていないかを一つずつ照合することになります。

架台に乗せると距離が変わるのは知りませんでした。

はい、高さ1.6メートルが一つの境目です。
次は接地抵抗と絶縁抵抗の基準を見てみましょう。

接地抵抗と絶縁抵抗の判定基準はどこで見分けるのか

絶縁抵抗計を蓄電池キャビネットの端子に当てる図
機能試験では、接地抵抗と絶縁抵抗という二つの数値を計器で測定します。
どちらも使用電圧によって基準が分かれているため、見分け方を押さえておく必要があります。
接地極等の接地工事について、接地抵抗計で接地抵抗値を測定する。300ボルト以下のもの(使用電圧が直流300ボルト又は交流対地電圧150ボルト以下の機械器具を乾燥した場所に施設する場合を除く。)はD種で100オーム以下、300ボルトを超えるものはC種で10オーム以下であること。充電装置及び逆変換装置等の交流側端子と大地間及び直流側端子と大地間の絶縁抵抗値を500ボルト絶縁抵抗計で測定し、3メガオーム以上であること。なお、この試験は、他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができる。(消防庁「消防用設備等の試験基準」第27 非常電源(蓄電池設備) イ 機能試験)
接地抵抗は電圧の区分でD種とC種に分かれます。
300ボルト以下の機器はD種100オーム以下、300ボルトを超える機器はC種10オーム以下が判定基準です。
絶縁抵抗は充電装置・逆変換装置等の交流側端子と大地間、直流側端子と大地間を500ボルト絶縁抵抗計で測定し、3メガオーム以上であることを確かめます。
この二つの試験は、電気事業法など他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができるとされています。
つまり電気主任技術者が行う定期点検の記録を、そのまま蓄電池設備の試験結果として活用できる場合があるということです。

電気の点検と二重にやらなくていいのは助かります。

ただし数値そのものの確認は省略できません。
最後は作動試験を見ていきましょう。

減液警報装置と切替装置はどうやって作動を確かめるのか

警報ランプが点灯した蓄電池と切替装置のスイッチを並べた図
作動試験では、実際に装置を動かして正常に働くかどうかを確かめます。
減液警報装置と切替装置、それぞれ確認のしかたが決まっています。
減液警報装置 次のいずれかの方法により減液警報の性能を確認する。蓄電池の電解液面を低下させる。電解液面低下検出電極を液面より出し入れする。検出の中継端子を短絡又は開放する。正常に動作し、音響を発し、赤色表示灯が点灯すること。切替装置 常用電源を遮断し切替機能を確認する。遮断器、電磁接触器、継電器、表示灯、計器類等が正常に作動すること。(消防庁「消防用設備等の試験基準」第27 非常電源(蓄電池設備) ウ 作動試験)
減液警報装置は三つの方法のいずれかで作動を確認します。
電解液面を実際に低下させる方法のほか、検出電極を液面から出し入れする方法、検出の中継端子を短絡または開放する方法のいずれかを使います。
どの方法でも、正常に動作すれば音響を発し、赤色表示灯が点灯することが合否の基準です。
切替装置は常用電源をあえて遮断して、遮断器や電磁接触器、継電器、表示灯、計器類が正常に作動するかを確認します。
液面を実際に下げなくても検出電極や端子の操作で確認できる点は、現場での点検のしやすさにつながっています。

液面を下げなくても確認できる方法があるんですね。

はい、端子の操作でも確認できます。
これで報告書の全体像がつながりましたね。

よくある質問

Q蓄電池設備はどこに設置しなければなりませんか?
A不燃材料で区画し防火戸を設けた不燃専用室に設けるか、告示基準に適合するキュービクル式として機械室等や屋外・屋上に設けます。
Q保有距離はどこを測ればよいですか?
A操作面・点検面・換気面などの区分ごとに数値が決まっています。キュービクル式以外の蓄電池は周囲0.6メートル以上が基準です。
Q接地抵抗試験は電気設備の点検と別に行う必要がありますか?
Aいいえ。この試験は他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができるとされています。
Q減液警報装置は蓄電池の液を実際に減らして試験するのですか?
Aその方法に限りません。検出電極を液面から出し入れする方法や、検出の中継端子を短絡又は開放する方法でも確認できます。

まとめ

蓄電池設備の試験は外観試験・機能試験・作動試験の三つに分かれる
設置場所は不燃専用室か告示基準に適合するキュービクル式のいずれかで区画する
保有距離はキュービクル式で操作面1.0メートル・点検面0.6メートル・換気面0.2メートル
接地抵抗はD種100オーム以下・C種10オーム以下、絶縁抵抗は3メガオーム以上
これらの試験は他の法令に基づく試験と兼ねて行うことができる
減液警報装置は三つの方法のいずれかで作動を確認する
切替装置は常用電源を遮断して切替機能を確認する

外観・機能・作動の三本立て、しっかり確認します!

試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
  • 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)
  • 消防庁「消防用設備等の試験基準」(平成14年9月30日消防予第282号)第27 非常電源(蓄電池設備)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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