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蓄電池設備の蓄電池はなぜ種類ごとにJIS規格が決まっているのか|液面確認構造と減液警報装置の基準も解説

蓄電池の性能は種類によって規格が違うのかのアイキャッチ画像

蓄電池設備は装置全体の構造だけでなく、中に収める蓄電池そのものにも告示で細かな基準が定められています。
鉛蓄電池やアルカリ蓄電池、リチウムイオン蓄電池では適合すべきJIS規格がそれぞれ異なります。
なかでも単電池当たりの公称電圧や液面確認の構造、減液警報装置は見落としやすいポイントです。
この記事では蓄電池の種類ごとの規格から公称電圧、液面と警報装置の基準まで順番に解説します。

うちの蓄電池設備は、装置としての基準は分かっていましたが
中の蓄電池そのものにも基準があるとは知りませんでした。

はい蓄電池の種類ごとにJIS規格が決まっています。
今日は鉛蓄電池から順番に見ていきましょう。

液面確認や警報装置というと、鉛蓄電池特有の話だと思っていました。

実はアルカリ蓄電池にも共通する基準なんです。
まずは種類ごとの規格から見ていきます。

この記事の結論
  • 蓄電池設備の告示は、装置全体の基準に加えて蓄電池そのものの構造及び性能も種類ごとに定めています。
  • 鉛蓄電池は自動車用以外のもので、JIS C8704JIS C8702など定められた規格に適合しなければなりません。
  • アルカリ蓄電池とリチウムイオン蓄電池、ナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池にも、それぞれ専用の適合規格や機能要件があります。
  • 蓄電池の単電池当たりの公称電圧は、鉛蓄電池2ボルト、アルカリ蓄電池1.2ボルト、ナトリウム・硫黄電池2ボルト、レドックスフロー電池1.3ボルトと種類ごとに定められています。
  • 液面が容易に確認できる構造や防酸霧装置・アルカリ霧放出防止装置、減液警報装置も蓄電池の基準として定められています。

蓄電池は種類ごとに規格が決まる鉛蓄電池のJIS適合種類ごとの公称電圧液面確認と警報装置表示での型式確認の4段階でまとめた図解

蓄電池そのものにも告示の基準があるのはなぜか

技術基準の証明書とキュービクル式蓄電池設備の外観を示す図
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)は、装置全体の性能だけでなく蓄電池そのものの構造や性能にも触れています。
「蓄電池を作れば何でもよい」わけではなく、種類ごとに適合すべき規格が決まっています。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 二 蓄電池設備の蓄電池の構造及び性能は、次に定めるところによる。(一)鉛蓄電池は、自動車用以外のもので、次のいずれかに該当するもの又はこれらと同等以上の構造及び性能を有するものであること。
蓄電池にも独自の構造基準があります。
告示第二・一が蓄電池設備全体の基本性能を定めるのに対し、第二・二は蓄電池の本体そのものに焦点を当てています。
まず挙げられているのが鉛蓄電池で、自動車用以外のものであることが前提です。
携帯性を重視した自動車用のバッテリーとは、求められる性能の方向性が異なるためです。
次の項目で、種類ごとの具体的な適合規格を見ていきます。

蓄電池そのものにも構造基準があるなんて、意識したことがありませんでした。

はい告示第二・二で定められています。
次は具体的な規格を見てみましょう。

蓄電池の種類ごとにどんな規格が求められるのか

形状の異なる鉛蓄電池アルカリ蓄電池レドックスフロー電池の蓄電池モジュールを示す図
蓄電池と一口に言っても、鉛蓄電池・アルカリ蓄電池・リチウムイオン蓄電池・ナトリウム硫黄電池やレドックスフロー電池など種類はさまざまです。
それぞれに適合すべきJIS規格や独自の機能要件が定められています。
蓄電池設備の基準第二 二(一)イ JIS C8704-1(据置鉛蓄電池第一部ベント式)に適合するもの(略)。(二)イ JIS C8705(密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池)に適合するもの(略)。(四)ナトリウム・硫黄電池及びレドックスフロー電池は、次に定める構造及び性能を有するものであること。イ 蓄電池の内容物の漏えいを検知した場合及び温度異常が発生した場合に充電及び放電しない機能を設けること。
蓄電池の種類ごとに適合すべき規格が変わります。
鉛蓄電池はJIS C8704JIS C8702の系列規格、アルカリ蓄電池はJIS C8705JIS C8706などに適合するものが対象です。
リチウムイオン蓄電池の規格は既存記事で解説済みのため、ここではナトリウム・硫黄電池とレドックスフロー電池を取り上げます。
この2つは液体の電解質や高温動作といった特有のリスクがあるため、内容物の漏えい検知や温度異常時に充放電を止める機能が個別に求められます。
ナトリウム・硫黄電池はモジュール電池に異常が発生した場合、自動的に回路遮断する機能も必要です。

同じ蓄電池でも、種類によって規格がこんなに違うんですね。

はい種類ごとに個別の要件があります。
次は公称電圧の違いを見てみましょう。

蓄電池の公称電圧はどう決まっているのか

電圧計のダイヤルと高さの異なる蓄電池セルを示す図
公称電圧とは、蓄電池の種類ごとに定められた基準となる電圧のことです。
単電池(セル)1個当たりの数値が、告示に明記されています。
蓄電池設備の基準第二 二(五) 蓄電池の単電池当たりの公称電圧は、鉛蓄電池にあつては2ボルト、アルカリ蓄電池にあつては1.2ボルト、ナトリウム・硫黄電池にあつては2ボルト、レドックスフロー電池にあつては1.3ボルトであること。
公称電圧は蓄電池の種類ごとに固定された数値です。
鉛蓄電池とナトリウム・硫黄電池は2ボルト、アルカリ蓄電池は1.2ボルト、レドックスフロー電池は1.3ボルトと定められています。
実際の蓄電池設備は複数の単電池を直列に接続して必要な電圧を作るため、単電池当たりの公称電圧は設計や点検の基準点になります。
点検で電圧計の指示値を確認するときも、この公称電圧を基準にして正常範囲かどうかを判断します。
種類の異なる蓄電池を混在させないことも、公称電圧の管理では重要です。

電圧計の数値だけ見ても、正常かどうか判断が難しそうです。

公称電圧と照らし合わせれば判断できます。
次は見落としやすい構造の話です。

液面確認や減液警報装置で見落としやすいのはどこか

液面確認用の窓と警報ランプを備えた蓄電池セルを示す図
鉛蓄電池やアルカリ蓄電池の一部は、内部に液体の電解液を持っています。
その液面の管理も、告示で具体的に定められています。
蓄電池設備の基準第二 二(六) 蓄電池は、液面が容易に確認できる構造とし、かつ、酸霧又はアルカリ霧が出るおそれのあるものについては、防酸霧装置又はアルカリ霧放出防止装置が設けられていること。ただし、シール形又は制御弁式のものにあつては、液面を確認できる構造としないことができる。(七)減液警報装置が設けられていること。ただし、補液の必要がないものにあつては、この限りでない。
液面確認と警報装置はセットで理解します。
蓄電池は液面が容易に確認できる構造とし、酸霧やアルカリ霧が出るおそれがあれば防酸霧装置またはアルカリ霧放出防止装置を設けなければなりません。
ただしシール形または制御弁式の蓄電池は、液面を確認できる構造にしないことが認められています。
さらに補液が必要な蓄電池には減液警報装置の設置も求められますが、補液の必要がないものには適用されません。
点検では蓄電池の型式がシール形・制御弁式かどうかを最初に確認し、必要な項目を見極めることが実務のコツです。

うちの蓄電池は液面確認の窓が無いのですが、それでも大丈夫でしょうか。

シール形や制御弁式なら問題ありません。
次は表示での確認方法です。

明日から蓄電池の何を確認すればよいのか

蓄電池設備の銘板表示と虫眼鏡で確認する様子を示す図
ここまで見てきた種類ごとの規格や公称電圧、液面確認の要否は、現地で蓄電池を見ただけでは判断しづらいこともあります。
そこで頼りになるのが、蓄電池設備に表示される事項です。
蓄電池設備の基準第三 表示 蓄電池設備には、次に掲げる事項をその見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。一 製造者名又は商標 二 製造年月 三 容量 四 型式番号
表示事項を読めば型式が特定できます。
蓄電池設備には製造者名又は商標・製造年月・容量・型式番号を見やすい箇所に消えないように表示することが求められています。
型式番号が分かれば、メーカーの仕様書や試験成績書と照らし合わせて、どのJIS規格に適合しているかを確認できます。
点検のときは、この表示と現物の蓄電池の状態(液面確認窓の有無や警報装置の設置)を突き合わせるとよいでしょう。
表示が消えかかっている、または見当たらない場合は、それ自体が点検で指摘すべきポイントになります。

表示を見れば、種類や規格まで追いかけられるんですね。

型式番号が手がかりになります。
最後によくある質問を見ておきましょう。

よくある質問

Q蓄電池そのものの構造基準は、どの告示に定められていますか?
A消防法施行規則第12条第1項第4号ハ(ニ)に基づく蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・二に定められています。
Qリチウムイオン蓄電池のJIS規格も、この記事で解説していますか?
Aいいえ、リチウムイオン蓄電池の規格や最低許容電圧の表示は別記事で解説済みのため、この記事では鉛蓄電池・アルカリ蓄電池・ナトリウム硫黄電池・レドックスフロー電池を中心に扱います。
Q蓄電池の公称電圧は、すべて同じ数値ですか?
Aいいえ、種類ごとに異なり、鉛蓄電池とナトリウム・硫黄電池は2ボルト、アルカリ蓄電池は1.2ボルト、レドックスフロー電池は1.3ボルトと定められています。
Q液面確認の構造が無い蓄電池は、基準違反になりますか?
Aいいえ、シール形又は制御弁式の蓄電池は、液面を確認できる構造にしないことが認められています。

まとめ

蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・二は、蓄電池そのものの構造及び性能を種類ごとに定めています。
鉛蓄電池はJIS C8704JIS C8702系列の規格に適合するもの(自動車用以外)であることが必要です。
アルカリ蓄電池はJIS C8705JIS C8706など複数の規格のいずれかに適合するものであることが必要です。
ナトリウム・硫黄電池とレドックスフロー電池には、内容物の漏えい検知と温度異常時に充放電を止める機能が個別に求められます。
単電池当たりの公称電圧は、鉛蓄電池とナトリウム・硫黄電池が2ボルト、アルカリ蓄電池が1.2ボルト、レドックスフロー電池が1.3ボルトです。
液面が容易に確認できる構造と防酸霧装置又はアルカリ霧放出防止装置、減液警報装置も蓄電池の基準として定められています(シール形・制御弁式や補液不要のものは適用除外です)。
蓄電池設備の表示(製造者名又は商標・製造年月・容量・型式番号)を確認すれば、現地でも種類ごとの適合状況を追いかけられます。

蓄電池の種類ごとの規格まで、しっかり確認します!

表示と現物を突き合わせて点検しましょう
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ハ(ニ)
  • 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 二(一)(二)(四)(五)(六)(七)、第三

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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