タンクローリー(移動タンク貯蔵所)の注入ノズルを、現場の都合で交換したり改造したりしていませんか。
消防庁の立入検査では、無許可の変更・改造が実際に17件見つかっています。
注入ノズルの構造は消防法令が細かく定めており、変更には市町村長等の許可が必要です。
通知の中身を確認し、自社の移動タンク貯蔵所を今すぐ点検しましょう。
タンクローリーの注入ノズルを、使いやすいものに付け替えたんです。
これって特に届出はいらないですよね。
いいえ、ノズルの変更も許可が必要な場合があります。
今回はその通知を確認しましょう。
うちは詰替え用に別のノズルを使っているので大丈夫だと思っていました。
詰替えのほうは基準が違うんですよね。
詰替え用のノズルにも同じ構造の基準が適用されます。
17件の違反事例を見ながら確認していきましょう。
- 移動タンク貯蔵所の注入ノズルを無許可で変更・改造すると消防法第11条違反になります
- 立入検査で17件の無許可の変更・改造が見つかりました
- ラッチオープンノズルへの交換も無許可なら違反になります
- 詰替え用のノズルにも規則第40条の5・第40条の5の2の基準が適用されます
- 違反したまま注入すると流出事故のおそれもあります
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目次
移動タンク貯蔵所の注入ノズル改造はなぜ問題になったのか

その結果を踏まえた今回の通知では、思わぬ実態が明らかになっています。
発端は平成28年10月7日付け消防危第170号による立入検査の実施依頼で、その結果が平成29年1月23日付け消防危第13号でいったん周知されています。
そのあとに寄せられた追加の情報提供で、17件の無許可の変更・改造が新たに判明しました。
内訳は消防本部Aで16件、消防本部Bで1件です。
違反の多くは給油取扱所や小売販売店の運営事業者が運用する移動タンク貯蔵所で起きていました。
うちも同じような検査を受けたことがあります。
あれは事故が起きたからじゃなかったんですね。
はい、今回は日常の立入検査から発覚しています。
次は何が対象になるのか見ていきましょう。
どの移動タンク貯蔵所のどの部分が対象になるのか

運用している事業者の種類も、通知の中で具体的に示されています。
発覚した17件のうち、給油取扱所の運営事業者が運用する移動タンク貯蔵所が15件を占めています。
残る2件は小売販売店の運営事業者が運用するものでした。
常置場所は給油取扱所とは別の場所であることも、通知の注記で示されています。
自社が移動タンク貯蔵所を保有・運用しているなら、他人事ではありません。
うちは給油取扱所の運営もしているので、対象になりそうです。
常置場所が別でも関係あるんですか。
はい、常置場所が給油取扱所と違っても対象です。
次は具体的に何が求められているか見ましょう。
通知は具体的に何を求めているのか

まずは通知本文で確認します。
1つは、ノズルを含む設備を変更するなら市町村長等の許可を先に受けること。
もう1つは、使うノズル自体が手動開閉装置付きで、開いた状態のまま固定できる装置が付いていないことです。
規則第40条の5は現在も条文の文言が変わっておらず、そのまま実務の基準になっています。
詰替え用のノズルも、次条の規則第40条の5の2が同じノズルをそのまま準用しています。
許可の話とノズルの構造の話、両方あるのがややこしいです。
ノズルさえ守ればいいわけじゃないんですね。
はい、許可と構造は別々に満たす必要があります。
次は見落としやすい点を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

通知が示す違反の中身を見てみましょう。
発覚した事例の多くは、レバーを開いたまま固定できるラッチオープンノズルへの無許可の交換でした。
残りは、既存のノズルに穴を開けてピン等を通し、開放状態で固定できるように改造したものです。
どちらも作業を早く終わらせたいという現場の都合が動機になりやすく、悪意が無くても違反は成立します。
許可を受けずに変更した時点で法第11条第1項違反となり、そのノズルで注入すれば法第10条第3項違反も重なります。
早く作業を終わらせたくて、レバーを固定できるノズルに変えたくなる気持ちは分かります。
それも駄目なんですね。
はい、悪意がなくても許可を受けていなければ違反になります。
最後に確認の手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

実務での確認手順に落とし込みます。
レバーを開いたまま固定できる装置が付いていないか、ラッチオープン型に交換されていないかを見ます。
穴やピンなどで無許可の改造が加えられていないかも合わせて点検します。
ノズルを変更する必要があるときは、先に市町村長等の許可を受けてから工事に進んでください。
判断に迷う場合は、変更せずに所轄消防署へ事前に相談することをおすすめします。
うちのノズルも一度確認してみます。
怪しいものがあれば消防署に相談すればいいんですね。
はい、迷ったら変更せずにまず相談してください。
それが保安確保の一番の近道です。
よくある質問
まとめ
今日の話でノズルの扱いがよく分かりました。
早速点検してみます。
ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第66号「移動タンク貯蔵所における保安確保の徹底について」(平成29年3月24日)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条・第11条
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第40条の5・第40条の5の2
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





