給油取扱所の中には、ガソリンだけでなく天然ガスや液化石油ガスも充塡できる設備を備えたものがあります。
こうした給油取扱所は、通常の給油取扱所とは違う基準で建物の用途が決められています。
なぜ設置できる建物の種類が限られ、面積にまで上限が付くのでしょうか。
この記事では圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所にしぼって、建物用途の限定と面積の合算基準を整理します。
うちの給油所でも、天然ガスの充塡ができるようにしたいと考えています。
建物の使い方に何か制限はありますか。
はい、通常の給油取扱所とは違う基準が適用されます。
設置できる建物の種類が限定され、面積にも上限が付きます。
普通の給油取扱所には店舗や事務所を置けますが、
天然ガスを扱うとどう変わるのでしょうか。
用途を絞り込んだ代わりに、一部の用途はまとめて300平方メートルの上限が付きます。
順番に確認していきましょう。
- 圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所は政令第17条第3項第4号が定める特例で、充てんするガスは規則第27条の2により圧縮天然ガス又は液化石油ガスに限られる。
- 通常の給油取扱所の建築物基準は適用されず、代わりに規則第27条の3が独自の用途限定を定めている。
- 設置できる建築物は6つの用途に限られ、これ以外の建築物その他の工作物は設けられない。
- うち事務所・点検整備の作業場・令別表第一の用途の3つは、床面積の合計が300平方メートルを超えてはならない。
- 係員のみが出入りする部分は、この300平方メートルの合算対象から除かれる。
▼

目次
圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所とは何を指すのか

政令はこうした給油取扱所を、通常のものとは別枠で扱っています。
充てんできるガスの種類は、政令ではなく総務省令が定める仕組みです。
規則第27条の2は、この総務省令で定めるガスを圧縮天然ガス又は液化石油ガスに限定しています。
以下ではこの2種類のガスを充塡する設備を持つ給油取扱所を、圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所と呼びます。
まずはこの給油取扱所が何を指すのか、名前の範囲を押さえておきましょう。
天然ガスと液化石油ガスの両方を扱う設備なら、
この特例の対象になるということですね。
はい、その通りです。
どちらか一方だけでも規則第27条の2の対象になります。
通常の給油取扱所のどの基準が適用されなくなるのか

まずは通常の給油取扱所の基準のうち、どこが適用されなくなるのかを確認します。
政令第17条第1項第16号は、給油業務のための建築物以外は設けられないという原則です。
第17号は建築物の耐火構造や防火設備、第18号は事務所などの構造、第22号は洗浄設備等の基準です。
これらの号がまとめて外れるのは、代わりの基準が規則第27条の3自身に用意されているからです。
次の章で、その代わりの基準を確認します。
基準が適用されなくなるとは、
規制が緩くなるということでしょうか。
いいえ、外れた分は別の基準に置き換わるだけです。
むしろ用途はより細かく限定されます。
代わりに設置できる建築物の用途はどう決められているのか

設置できる建築物は、次の6つの用途に限られます。
充塡や詰替えのための作業場、事務所、点検・整備の作業場、洗浄の作業場のほか、
所有者などが居住する住居や、令別表第一が定める一部の用途も含まれます。
通常の給油取扱所より用途を絞り込む代わりに、建物の自由度は下がる仕組みです。
次の章では、この用途のうち面積に上限が付くものを確認します。
住居まで認められているのは意外でした。
どの用途にも面積の制限があるのでしょうか。
いいえ、面積の上限があるのは一部の用途だけです。
次の章で見ていきましょう。
床面積300平方メートルの上限はどの用途に係るのか

どの用途が合算の対象になるのかを確認します。
この3つを合わせた床面積が、300平方メートルを超えてはなりません。
一方で、充塡や詰替えの作業場・洗浄の作業場・住居の3つは、この合算に含まれません。
係員のみが出入りする部分も、そもそも合算の対象から除かれます。
用途ごとに合算の対象かどうかが決まっている点を見落とさないようにします。
事務所を増築すると300平方メートルに近づいてしまいそうです。
点検整備の作業場と合わせて考える必要があるのですね。
はい、その2つと令別表の用途を合わせて考えます。
充塡の作業場自体はこの合算に入りません。
明日からなにを確認すればよいのか

まずは自分の給油取扱所がどの区分にあたるかどうかです。 給油取扱所に圧縮天然ガス又は液化石油ガスを充塡する設備があるかどうかを、最初に確認します。
次に敷地内の建築物が、規則第27条の3第3項が定める6つの用途に収まっているかを確かめます。
事務所・点検整備の作業場・令別表第一の用途の床面積を合計し、300平方メートル以内かどうかも確認します。
係員のみが出入りする部分を合算から除いてよいかどうかは、実際の出入りの状況から判断します。
建物の用途変更や増築を行うときは、消防法第11条に基づく許可が必要になることも忘れてはなりません。
増築するたびに確認が必要なんですね。
まずは今の建物の用途から見直します。
その順番で大丈夫です。
特に面積の合算を見落とさないでください。
よくある質問
まとめ
用途の限定と300平方メートルの合算、今日から確認します!
はい、ぜひそうしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第11条第1項(製造所、貯蔵所又は取扱所の設置・変更の許可)
- 危険物の規制に関する政令第17条第3項第4号(給油取扱所の基準の特例の授権規定)
- 危険物の規制に関する規則第27条の2(圧縮天然ガス等充塡設備設置給油取扱所において充てんするガス)
- 危険物の規制に関する規則第27条の3第2項(通常の給油取扱所の基準の適用除外)
- 危険物の規制に関する規則第27条の3第3項(設置できる建築物の用途及び床面積の合算基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





