駅や空港のターミナルビルは、消防法上どんな防火対象物になるかご存知でしょうか。
乗客で毎日混み合っていても、法律上の収容人員の数え方は意外な形になっています。
避難器具やプラットホームの扱いにも、他の用途とは違う線引きがあります。
駅や空港のターミナルビルは消防法施行令別表第一(10)項として、従業者の数だけで収容人員を数える非特定防火対象物ならではの基準を持っています。
うちはバスターミナルのビルを管理していますが、毎日何百人もの利用者がいます。
防火管理者はこの人数で決まるんですよね。
実は利用者の人数は数えません。
(10)項は従業者の数だけで収容人員を算定する仕組みです。
え、そうなんですか。
うちの建物のどこまでが対象になるのかも分かっていません。
多くの方がそうです。
順番に確認していきましょう。
- 駅やバスターミナル、港・空港の旅客ターミナルは消防法施行令別表第一(10)項に区分される非特定防火対象物です
- 収容人員は従業者の数のみで算定し、乗客・利用者の人数は数えません
- 収容人員が50人以上になると防火管理者の選任が必要になります
- 避難器具は2階以上の階または地階で収容人員50人以上の場合に必要になります(耐火構造の2階を除く)
- 複合用途の建物内にある(10)項部分の乗降場並びにこれに通ずる階段及び通路は、スプリンクラー設備の設置を要しない部分として扱われます
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目次
駅や空港のターミナルビルは消防法上どんな防火対象物になるのか

まずはその定義と、点検報告の対象になるかどうかを確認します。
駅全体や空港全体という施設単位ではなく、改札口・待合ロビー・搭乗ゲートなどの建物部分が対象になるという考え方です。
そしてこの一覧に(10)項は含まれていません。つまり非特定防火対象物であり、消防法第8条の2の2が求める防火対象物点検報告の対象からは外れます。
百貨店や旅館のような特定防火対象物と違い、点検報告の義務そのものが生じない用途だと覚えておいてください。
この位置づけが、このあと確認する収容人員の数え方や設備基準にもつながっていきます。
駅の建物には線路のホームも含まれますが、あそこも(10)項として届出が必要なんですか。
対象になるのは旅客の乗降・待合いに使う建築物の部分です。
プラットホームの扱いは、このあとの見出しで詳しく説明します。
防火管理者や甲種乙種はどうやって決まるのか

ターミナルビルの場合の線引きと、面積による資格の違いを確認します。
このあとの見出しで説明するとおり、ここで数える人数は従業者の数だけです。
さらに消防法施行令第3条第1項により、延べ面積が500平方メートル未満は乙種防火対象物、500平方メートル以上は甲種防火対象物に分かれます。
甲種と乙種では防火管理者が受ける講習の種類が異なるため、面積を確認してから講習先を選ぶことになります。
テナントの売店や事務室が増えて建物全体の延べ面積が変わった場合も、区分を数え直してください。
ターミナルビルの改修で売店を増やしたら、乙種から甲種に変わることもありますか。
はい、延べ面積が500平方メートルを超えれば甲種に変わります。
改修のたびに面積を数え直してください。
収容人員はどうやって数えるのか

数え方の仕組みと、売店・喫茶店の扱いを確認します。
神社仏閣等の(11)項のように床面積を加算する仕組みはなく、駅員・案内係・売店の店員など働いている人の数だけを数えます。
コンコース内の売店や喫茶店は、管理権原や利用形態から見て駅・空港という主たる用途に従属する部分と認められれば、別の用途ではなく(10)項の一部として扱われます。
売店を別テナントに貸している場合でも、この従属関係が崩れていないかを確認してください。
数え方を誤ると防火管理者の要否そのものを見誤るため、繁忙期の乗客数ではなく実際の従業者数で判定してください。
コンコースの売店は他の会社が運営しています。それでも(10)項の一部になるんですか。
利用者や勤務者向けの売店であれば従属部分として扱われます。
運営会社が違うだけで自動的に別用途になるわけではありません。
避難器具やプラットホームの扱いで見落としやすいのはどこか

プラットホーム部分の扱いと合わせて、見落としやすい点を確認します。
工場(12)項や倉庫(14)項は3階以上の階かつ収容人員100人以上・150人以上という緩やかな基準ですが、(10)項は(一)項から(四)項・(七)項から(十一)項までの一般的なグループに含まれ、2階以上の階または地階で収容人員50人以上という基準がそのままかかります(耐火構造の建築物の2階は除きます)。
一方でプラットホーム部分には別の緩和もあります。複合用途の建物内にある(10)項部分のうち、乗降場並びにこれに通ずる階段及び通路は、スプリンクラー設備の設置を要しない部分として扱われます。
避難器具は厳しめ、プラットホームのスプリンクラーは対象外という部分ごとに逆の扱いになっている点を取り違えないようにしてください。
どちらも建物全体を一律に見るのではなく、階と部分ごとに基準を確認する必要があります。
ホームにスプリンクラーが要らないなら、避難器具も要らないと思っていました。
設備ごとに基準は別々です。
避難器具は2階以上の階または地階で50人以上なら必要になります。
明日から何を確認すればよいのか

最後に、明日から確認すべき手順をまとめます。
地上の階では非常電源は20分間で足りますが、地階の乗降場とそこに通ずる階段・通路は60分間作動できる容量が求められます。
地下鉄駅のように出入口までの距離が長い施設ほど、避難に時間がかかることを踏まえた基準です。
最後に確認の手順をまとめます。従業者数を数えて防火管理者の要否と甲種・乙種を判定し、コンコースの売店・喫茶店が従属部分として扱われているかを確認し、2階以上の階や地階があれば避難器具の要否を確認し、地階にプラットホームがあれば誘導灯の非常電源の容量を確認してください。
うちのホームは地上にあるので、60分間の基準は関係ないということですね。
地上のホームなら20分間の基準のままです。
増築で地下部分ができた場合は、あらためて確認してください。
よくある質問
まとめ
乗客の数ではなく従業者の数で決まるとは知りませんでした。
従業者数と建物の部分ごとの基準を確認すれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令別表第一(十)項(車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場)
- 消防法施行令第4条の2の2第1項(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)
- 消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)
- 消防法施行令第3条第1項第2号(防火管理者の資格)
- 消防法施行規則第1条の3(収容人員の算定方法)
- 消防法施行令第1条の2第2項(用途の判定・従属的な部分の取扱い)
- 消防法施行令第25条第1項第3号(避難器具に関する基準)
- 消防法施行規則第13条第1項第10号(スプリンクラー設備を設置することを要しない部分)
- 消防法施行規則第28条の3第4項(誘導灯及び誘導標識に関する基準の細目)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





