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カセットボンベの倉庫保管はなぜ危険物届出の対象になるのか|倉庫火災を踏まえた実態把握の徹底も解説

倉庫で保管されたカセットボンベ等の在庫を確認する管理者

家庭のキャンプ用品として身近なカセットボンベですが、倉庫にまとめて保管すると話が変わります。
平成11年、大阪府の倉庫で大量のカセットボンベが爆発炎上し、周辺の建物まで巻き込む火災が発生しました。
このとき問題になったのは、届出の基準量を大幅に超えて保管していたにもかかわらず、消防機関への届出がなされていなかったことでした。
この記事ではカセットボンベ等の保管がなぜ危険物の届出制度にかかわるのか、今日から何を確認すればよいのかを解説します。

うちの倉庫にもキャンプ用品のカセットボンベをまとめて置いてるんですが、これって普通に置いておいて大丈夫なものなんでしょうか。

実は量によっては消防法上の届出が必要になります。
まずは通知が出た経緯から見ていきましょう。

カセットボンベなんて、どの家庭にもあるようなものですよね。それが危険物扱いになるんですか。

はい。保管する量次第で扱いが変わります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • カセットボンベ等の適正な保管の徹底については平成11年11月17日 消防危第106号で消防庁危険物規制課長から発出された
  • 大阪府の倉庫でカセットボンベが大量に爆発炎上し、隣接建物まで類焼する火災を受けて出された
  • 通知が引く届出の規定は当時の第9条の2から、現在は消防法第9条の3に条ずれしている(内容は変わっていない)
  • 液化石油ガスの合計量が300キログラム以上になると消防機関への届出が必要になる(危険物の規制に関する政令第1条の10)
  • 通知は立入検査による実態把握と関係者への指導徹底を消防機関に求めている

カセットボンベ等の適正な保管の徹底についての通知の背景・対象物品・届出基準・合算の考え方を示した図解

カセットボンベ等の倉庫保管はなぜ通知で問題視されたのか

倉庫と大量のカセットボンベの箱が積まれたイラスト
「カセットボンベ等の適正な保管の徹底について」は、実際に起きた倉庫火災を受けて発出された通知です。
発生した被害の大きさが、通知の直接のきっかけになりました。
先般、別紙のとおり、大阪府において液化石油ガスを使用するキャンプ用携帯コンロのカセットボンベを大量に保管している倉庫で火災が発生しました。この火災により、保管していたカセットボンベが相次いで爆発炎上し当該倉庫約7,000平方メートルが全焼するとともに、倉庫周囲にカセットボンベが火を噴きながら飛散するなどしたため、隣接の建物約1,500平方メートルが半焼するなど計11棟が類焼し、消防隊員2名が負傷する事態となりました。(カセットボンベ等の適正な保管の徹底について 平成11年11月17日 消防危第106号 消防庁危険物規制課長)
今回の火災は初めてではありませんでした。
実はこの半年前にも埼玉県内で同種の倉庫火災が起きており、消防庁は既に「エアゾール製品等の適正な保管について」(61号通知)で指導の徹底を呼びかけていました。
それにもかかわらず大阪府で再び同じ構図の火災が起きたことが、今回の通知の直接の背景になっています。
まずは、この通知がどんな倉庫や物品を対象にしているのかを見ていきます。

一度呼びかけがあったのに、また同じような火災が起きたんですね。

はい。半年で2件目の大型倉庫火災でした。
次は対象になる物品と建物を確認しましょう。

どんな倉庫やどんな物品が対象になるのか

カセットボンベとエアゾール缶の箱が並ぶ倉庫の棚のイラスト
通知が問題にしているのは、家庭で使う小さなカセットボンベそのものではなく、それが大量にまとまって保管されている状態です。
対象になる物品は、実は1種類だけではありません。
この種の火災の危険性については、既に「エアゾール製品等の適正な保管について」(平成11年6月28日付け消防危第61号。以下「61号通知」という。)において通知したところであり、同種災害の再発を防止するため、エアゾール製品やカセットボンベが大量に保管されているおそれのある倉庫等の実態把握と関係者に対する消防法令に基づく適正な保管についての指導の徹底をお願いしていたところです。(カセットボンベ等の適正な保管の徹底について)
対象はカセットボンベだけでなくエアゾール製品も含みます。
どちらも中身に液化石油ガスを使っている点が共通しており、通知はこの2つをセットで扱っています。
一般家庭用の小型製品であっても、倉庫や店舗の在庫としてまとめて置かれれば、合計の量が問題になります。
次は、その量がどう扱われているのかを見ていきます。

カセットボンベとスプレー缶って、別々のものだと思っていました。

中身は同じ液化石油ガスです。
次は保管量の基準を確認しましょう。

通知は何を問題にしていたのか

倉庫の棚に積まれたカセットボンベの箱と届出書類のイラスト
今回の火災で最も問題になったのは、保管量が届出の基準を大きく超えていたにもかかわらず、届出がなされていなかったことでした。
その基準は、消防法の届出制度に定められています。
しかしながら、今回の火災においても、本年6月に埼玉県下で発生した火災の場合と同様、当該倉庫に消防法第9条の2に規定する量を大幅に超えるカセットボンベが保管されていたにもかかわらず消防機関に届出がなされておらず、消防機関は当該倉庫に保管される物品等の実態を詳細に把握していませんでした。(カセットボンベ等の適正な保管の徹底について)
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の10 法第9条の3第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、次の各号に掲げる物質で当該各号に定める数量以上のものとする。
三 液化石油ガス 300キログラム
この通知が引く「第9条の2」は、現在は条文の番号が変わっています。
その後の改正で住宅用防災機器(住宅用火災警報器)の規定が新たに第9条の2として加わったため、届出の規定は現在の消防法第9条の3に押し出されました。届出の内容や基準の量そのものは変わっていません。
液化石油ガスは合計で300キログラム以上を貯蔵・取扱いすると、あらかじめ所轄の消防長又は消防署長への届出が必要です。
次は、この基準を運用する上で見落としやすい点を見ていきます。

同じ届出の話でも、条文の番号が第9条の3に変わっているんですね。

はい。基準の量は変わっていません
次は実務でよくある見落としを確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

カセットボンベの箱とエアゾール缶の箱を天秤で合算するイラスト
「うちは家庭用品を置いているだけ」という思い込みが、届出漏れの一番の原因になります。
特に見落としやすいのは、物品ごとの数量を分けて数えてしまうことです。
今回の火災に鑑み、エアゾール製品やカセットボンベが大量に保管されているおそれのある倉庫等においてこのような事態が再び発生することのないよう、立入検査を実施するなどして改めて実態把握の徹底を図るとともに、関係者に対し、61号通知の内容について周知徹底し、火災の発生防止並びに消防法令遵守の徹底を指導するようお願いします。(カセットボンベ等の適正な保管の徹底について)
合算を忘れると、基準を超えていても気づけません。
届出が必要になる300キログラムという基準は、カセットボンベとエアゾール製品を別々に数えるのではなく、倉庫内の液化石油ガスの合計量で判定します。
通知は、消防機関側も倉庫に保管されている物品の実態を詳細に把握していなかったと明記しており、届出の有無を事業者任せにしないことも課題として挙げています。
次は、明日から確認すべき手順をまとめます。

カセットボンベとスプレー缶を別々に数えたら、基準未満だと思い込んでしまいそうです。

そこが一番の落とし穴です。
最後に確認の手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

倉庫管理者がカセットボンベの箱を計量し記録するイラスト
通知から20年以上経っていますが、確認すべき手順そのものは今も変わっていません。
まずは自分の倉庫に何がどれだけ保管されているかを把握することから始めます。
ついては、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨早急に周知されるようお願いします。(カセットボンベ等の適正な保管の徹底について)
まず確認すべきは保管している物品と量の洗い出しです。
カセットボンベとエアゾール製品をあわせた液化石油ガスの合計量を計算し、300キログラムに近づいていないかを確認してください。
基準に達している、または近い場合は、所轄消防署への届出・相談を早めに行うことが再発防止の第一歩です。
届出済みの物件でも、保管量が増えていないかを定期的に見直すと安心です。

まずは棚にあるものを全部数えるところからですね。

はい。量の把握が第一歩です。

よくある質問

Qカセットボンベ等の適正な保管の徹底についてはどんな通知ですか?
A平成11年11月17日付け消防危第106号として、消防庁危険物規制課長から都道府県消防主管部長へ発出された通知です。大阪府の倉庫でカセットボンベが大量に爆発炎上した火災を受け、実態把握と指導の徹底を求めています。
Qカセットボンベは危険物として扱われるのですか?
Aカセットボンベそのものは危険物ではありませんが、中身の液化石油ガスが政令で定める量以上まとまると、消防法上の届出の対象になります。
Q届出が必要になる量の基準はどこで確認できますか?
A危険物の規制に関する政令第1条の10で、液化石油ガスは300キログラムと定められています。カセットボンベとエアゾール製品の合計量で判定します。
Q通知が引く消防法第9条の2は、今も同じ条文ですか?
Aいいえ。その後の改正で住宅用防災機器の規定が第9条の2として加わったため、届出の規定は現在消防法第9条の3に条ずれしています。内容は変わっていません。

まとめ

カセットボンベ等の適正な保管の徹底については平成11年11月17日 消防危第106号で消防庁危険物規制課長から発出された
大阪府の倉庫でカセットボンベが大量に爆発炎上し、隣接建物まで類焼する火災を受けて出された
半年前には埼玉県内でも同種の倉庫火災が起きており、61号通知による呼びかけの後も再発した
対象になるのはカセットボンベだけでなくエアゾール製品も含まれる
液化石油ガスの合計量が300キログラム以上になると消防機関への届出が必要になる(危険物の規制に関する政令第1条の10)
通知が引く届出の規定は当時の第9条の2から、現在は消防法第9条の3に条ずれしている
物品ごとに数量を分けず、倉庫内の合計量で届出の基準を確認することが再発防止の第一歩になる

カセットボンベを別々に数えてたら、危うく届出を見落とすところでした。
倉庫の在庫を数え直します。

そうなんです。合計量の確認は早めがおすすめです。
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参考・出典

  • カセットボンベ等の適正な保管の徹底について(平成11年11月17日 消防危第106号 消防庁危険物規制課長)
  • エアゾール製品等の適正な保管について(平成11年6月28日 消防危第61号 消防庁危険物規制課長)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条の3・第44条第8号
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の10

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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