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製造所の不燃材料はどこまで認められるか|鉄板とモルタルとトタンの扱い

波型鉄板とモルタル壁が並ぶ工場外壁の写真と鉄板を巻けば不燃材料の文字

製造所の壁や柱に使う材料が不燃材料にあたるかどうか。
鉄板ならよいのか、トタンはどうか、モルタルを塗れば足りるのか。
昭和37年に消防庁が各県からの照会にまとめて答えた回答は、いまも判断の土台になっています。
この記事では不燃材料として認められる範囲を消防庁の質疑応答に沿って整理します。

鉄板を巻いておけば、不燃材料になるのでしょうか。

それは通りません。
回答は被覆したのみでは、不燃材料とはならないとしています。

モルタルを塗った場合はどうでしょうか。

下地が問題になります。
回答は木摺りに使用する場合は基準に適合しないと述べています。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 不燃材料の範囲に鉄板は含まれる
  • 鉄板を用いる場合はその使用部分によつて、おのずから強度は定まる
  • 不燃材料でないパイプに鉄板を被覆したのみでは不燃材料とはならない
  • 危険物の規制に関する規則第10条の鉄鋼には亜鉛鉄板が含まれる
  • モルタル又はしつくいを木摺りに使用する場合は危険物の規制に関する政令の基準に適合しない

不燃材料の範囲に鉄板は含まれる

一枚の鉄板と緑のチェックマークが並ぶイラスト

まずは出発点となる回答です。
昭和35年5月14日付け国消乙予発第31号は、北海道からの照会に答えたものです。

問いは不燃材料の範囲に「鉄板」は含まれるかという一行のものでした。

回答はお見込みのとおりです。
鉄板は不燃材料です

短い回答ですが、この一件がのちの照会の前提になっていきます。
鉄板が不燃材料であるならば、鉄板を使えばよいのか、どんな鉄板でもよいのか、という問いが次々に生まれたからです。

鉄板そのものは、不燃材料に含まれるのですね。

含まれるとされています。
使う材料の種類を、仕様書で確かめてください。

鉄板の強度は使用する部分によっておのずから定まる

厚さの異なる三枚の鉄板に寸法線が引かれたイラスト

昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号は、北海道からのこの疑問に答えたものです。
照会はかなり踏み込んだ問題提起になっています。

照会は、鉄板が不燃材料と解されているのだから「耐火構造又は不燃材料」を用うべき構造に係る規定は、「耐火構造又は鉄板」を用うべき構造に係る規定とも読替えが可能となつてくるが、鉄板にも厚さなどにより種々の差別があり、耐火構造にすべき部分を一般的に鉄板で差し支えないと考えることは危険と思われると述べています。

薄い鉄板も厚い鉄板も同じ扱いでよいのか、という現場の懸念です。
これに対する回答は簡潔でした。

回答は鉄板を用いる場合、その使用部分によつて、おのずから強度は定まるです。

鉄板の厚さについて一律の数値を示すのではなく、どこに使うかによって必要な強度が決まるという考え方が示されています。
壁に使うのか、屋根に使うのか、支柱に使うのかで求められるものは変わります。
部位ごとの判断です

厚さは、使う場所によって決まるのですね。

一律の数値はありません。
用途ごとに、必要な強度を設計者に確認してください。

パイプに鉄板を被覆しただけでは不燃材料にならない

樹脂の芯を金属で覆ったパイプの断面に赤い禁止マークが重ねられたイラスト

同じ日付の回答には、鉄板の使い方に関するもう一つの問いがあります。
北海道からの照会で、材料の組み合わせについてのものです。

問いはパイプ材に鉄板を被覆した場合、不燃材料といえるかというものでした。

回答は不燃材料でないパイプに鉄板を被覆したのみでは、不燃材料とはならないです。

外から見えるところが鉄板であっても、中身が燃える材料であれば不燃材料とは認められません。
表面を覆うだけでは足りないという判断です。

この考え方は、次に見るモルタルの回答とも一貫しています。
中身が問われます

中身が燃える材料なら、認められないのですね。

表面だけでは足りません。
下地の材料まで、図面で確かめておきましょう。

亜鉛鉄板は規則第10条の鉄鋼に含まれる

波型の金属板で葺かれた小屋と緑のチェックマークが並ぶイラスト

昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号には、福岡県からの照会に答えたものもあります。
身近な材料についての確認です。

問いは危険物の規制に関する規則第10条の鉄鋼には、亜鉛鉄板(トタン)が含まれるかというものでした。

回答はお見込みのとおりです。

亜鉛めっきを施した鉄板、いわゆるトタンも鉄鋼に含まれるという整理になります。
表面処理をしていても、素地が鉄鋼であることに変わりはないという見方です。

先ほどのパイプの回答と比べると違いがはっきりします。
トタンは鉄板そのものに処理を施したものですが、被覆したパイプは別の材料を鉄板で包んだものです。

トタンも鉄鋼に含まれるのですね。

含まれるとされています。
既存の建物の材料を、台帳に書き残しておいてください。

モルタルやしっくいを木摺りに使う場合は基準に適合しない

木摺り下地にモルタルを塗った壁の断面に赤い禁止マークが重ねられたイラスト

最後は塗り壁についてです。
昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号は、栃木県足利市消防長からの照会に答えたものです。

照会は危険物の規制に関する規則第10条の不燃材料には、モルタル及びしつくいを含んでいるが、これらは単独では用をなさず、特にしつくいは、現在木摺りに塗布する以外にその剥落を防げないようである。しかし、こうすると、木造しつくい塗りの防火構造となるが、どのように措置すべきであるかと述べています。

モルタルもしっくいも不燃材料に挙げられていますが、それだけでは壁になりません。
下地が必要であり、当時のしっくいは木摺りに塗る以外に剥落を防ぐ方法がなかった、という実情が語られています。

回答はモルタル又はしつくいを木摺りに使用する場合は、危険物の規制に関する政令の基準に適合しないです。

木摺りは木材です。
表面が不燃材料であっても、その下地が木材であれば全体としては基準を満たさないという判断になります。

鉄板を被覆したパイプの回答と同じ構造です。
下地まで見られます

塗り壁は、下地しだいなのですね。

木摺りでは基準に適合しません。
改修のときは、下地の仕様から確認してください。

よくある質問

Q. 鉄板は不燃材料として使えますか?
使えます。昭和35年5月14日付け国消乙予発第31号は、不燃材料の範囲に鉄板は含まれるかという問いにお見込みのとおりと回答しています。
Q. 鉄板の厚さに決まりはありますか?
一律の数値は示されていません。鉄板を用いる場合、その使用部分によつて、おのずから強度は定まるとされており、使う部位に応じて必要な強度が決まる考え方が採られています。
Q. 燃える材料を鉄板で包めば不燃材料になりますか?
なりません。不燃材料でないパイプに鉄板を被覆したのみでは、不燃材料とはならないとされています。
Q. トタンは鉄鋼として扱われますか?
扱われます。危険物の規制に関する規則第10条の鉄鋼には亜鉛鉄板が含まれるかという問いに対し、回答はお見込みのとおりでした。

まとめ

  • 不燃材料の範囲に鉄板は含まれる
  • 鉄板を用いる場合はその使用部分によっておのずから強度は定まる
  • 鉄板の厚さについて一律の数値は示されておらず使う部位で判断される
  • 不燃材料でないパイプに鉄板を被覆したのみでは不燃材料とはならない
  • 危険物の規制に関する規則第10条の鉄鋼には亜鉛鉄板が含まれる
  • モルタル及びしつくいは規則第10条の不燃材料に挙げられている
  • ただしモルタル又はしつくいを木摺りに使用する場合は政令の基準に適合しない
  • 表面が不燃材料であっても下地や中身が燃える材料であれば認められない

見た目ではなく、中身と下地を見られるのですね。
すっきりしました。

そのとおりです。
製造所の壁や屋根の仕様についても、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第10条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第10条 e-Gov法令検索
  • 「鉄板」は不燃材料か(昭和35年5月14日付け国消乙予発第31号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
  • 鉄板の強度について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
  • 鉄板を被覆したパイプ材について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
  • 亜鉛鉄板は鉄鋼か(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から福岡県民生部長あて回答)
  • 不燃材料としてのモルタルまたはしつくいについて(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から栃木県足利市消防長あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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