屋上や工場の敷地に立つ煙突は、建物の一部のように見えても建築基準法上は別の存在として扱われます。
高さ6メートルを超える煙突は「工作物」に指定され、建築物とは異なる技術的基準を満たさなければなりません。
材質や高さによって求められる構造は大きく変わり、支線の端部の防食を怠ると倒壊事故につながるおそれもあります。
この記事では建築基準法施行令第139条が定める煙突の構造基準を、高さと材質の切り口で整理します。
うちの工場には古い煙突があるんですけど、これも建築基準法の対象になるんですか。
高さもけっこうあるので気になっています。
高さ6メートルを超える煙突は工作物として指定され、独自の構造基準があります。
まずは対象になる範囲から確認しましょう。
煙突の基準なんて考えたこともなかったです。
どんな内容なのか教えてください。
建築基準法施行令第139条に、高さと材質ごとの基準がまとめられています。
順番に見ていきましょう。
- 高さが6メートルを超える煙突は、建築基準法施行令第138条により建築物とは別の工作物に指定されます。
- 高さ16メートルを超える煙突は、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鋼造のいずれかで支線を要しない構造にしなければなりません。
- 陶管やコンクリート管でできた煙突は、高さ10メートルを境に支枠の強度が変わります。
- 煙突の支線の端部は、腐食しにくい構造か、有効なさび止め・防腐の措置を講じたくいに緊結しなければなりません。
- 高さ60メートルを超える煙突は国土交通大臣の認定を受けた構造計算が必須になります。
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目次
煙突はなぜ建築物とは別に構造基準が決まっているのか

建築物には法第20条の構造耐力に関する規定が直接適用されますが、煙突のような工作物には別のルートで基準が及びます。
つまり煙突は建築物そのものではなく、建築物に準じる工作物として構造耐力の基準を受け止める仕組みです。
この準用のしくみがあるため、煙突固有の高さ・材質に応じた基準が施行令第139条にまとめて置かれています。
まずはどの煙突が対象になるのかを次に確認します。
煙突って建物の一部だと思っていました。
別扱いになるのは意外です。
法律上は工作物という区分になります。
次は対象の範囲を見てみましょう。
どんな煙突が構造基準の対象になるのか

まず施行令第138条が、対象になる煙突の範囲を指定しています。
支枠や支線が付いている場合は、それらも一体の煙突として含めて判定します。
家庭用のストーブの煙突は、高さにかかわらずこの指定から除かれています。
対象になったら、次は高さと材質ごとの中身を確認していきます。
うちの煙突は高さを測ったことがなかったです。
まず何をすればいいですか。
まずは高さが6メートルを超えるかどうかです。
超えていれば次の基準を確認しましょう。
高さと材質で基準はどう変わるのか

施行令第139条第1項第一号の基準を確認します。
鉄筋コンクリート造の場合は、鉄筋を覆うコンクリートの厚さを5センチメートル以上確保します。
陶管やコンクリート管でできた煙突は高さ10メートルを境に支枠の強度が変わり、10メートルを超えると鋼製の支枠が必須になります。
れんがなどの組積造や無筋コンクリート造の煙突は、崩落を防ぐ鋼材の支枠を設けなければなりません。
材質によって全然違う基準になるんですね。
うちの煙突はどれに当てはまるか確認します。
まずは材質と高さの組み合わせを確認してください。
次は支線の端部の注意点です。
支線の防食や高さ60メートルを超える煙突はどう扱われるのか

条文を確認します。
支線の固定部分が腐食すると、煙突全体を支える強度が失われ倒壊のおそれにつながります。
さらに高さ60メートルを超える煙突は、荷重や外力による変形を把握した構造計算で安全性が確かめられ、国土交通大臣の認定を受けたものでなければなりません。
60メートル以下の煙突も、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全性を確かめる必要があります。
支線の付け根なんて、普段はあまり見ていませんでした。
点検のときに確認します。
錆びていないか、防食の措置があるかを見てください。
最後に確認の手順をまとめます。
煙突を新設や改修するときは何を確認すればよいか

高さ・材質・支線の3つの視点で見ることが大切です。
- 煙突の高さを測り、6メートルを超えるかどうかを確認する
- 材質を確認し、鉄筋コンクリート造・陶管等・組積造のいずれに当てはまるかを判定する
- 高さ16メートルを超えるなら支線を要しない構造になっているかを確認する
- 支線がある場合は、端部の防食措置(さび止め・防腐)を確認する
- 高さ60メートルを超える場合は、構造計算と国土交通大臣の認定の有無を確認する
点検のたびに高さと材質と支線の状態をあわせて確認する習慣をつけましょう。
高さと材質と支線、順番に確認していきます。
今度の点検のときに見てみます。
その3つを押さえれば大丈夫です。
気になることがあれば早めに確認しましょう。
よくある質問
まとめ
煙突の高さと材質、今度の点検で確認してみます!
煙突の構造基準のご相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第20条・第88条
- 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第138条・第139条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の煙突の構造や認定の要否についての判断は、必ず特定行政庁または指定確認検査機関にご確認ください。





