住宅に設置するカーテンや寝具、防炎製品などには、消防庁が長年「推奨マーク」というお墨付きを与えてきました。
ところが令和8年6月、この推奨制度そのものが廃止されたことをご存知でしょうか。
背景にあるのは住宅用火災警報器の法制化と、各種機器に関わる認定制度の変化です。
廃止の中身と、すでに製品に付いているマークが今後どうなるのかを、この記事で確認しておきましょう。
うちのカーテンや寝具に付いていた推奨マークって、もう古い制度なんですか。
はい、令和8年6月に住宅用防災機器等推奨制度そのものが廃止されました。
35年近く続いた制度が急になくなったんですね。
住警器の設置義務化が背景にあります。
- 令和8年6月8日の消防予第205号により、住宅用防災機器等推奨制度(平成3年消防予第200号)は廃止された
- 廃止の理由は住宅用火災警報器の法制化と各種機器の認定状況の変化
- 平成3年から続いた推奨制度は、カーテンや寝具まで含む幅広い住宅用防災機器等を対象にしていた
- すでに認定済みの製品は、推奨マークの使用期間が満了するまで表示して販売できる
- 通知が名指ししているのは推奨制度そのものであり、安心マークの今後の扱いは別途確認が必要
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目次
住宅用防災機器等推奨制度はなぜ35年で廃止されたのか

その役目は、法律の義務化とともに終わりを迎えました。
3 その他
「住宅用防災機器等推奨制度の創設について」(平成3年9月30日付け消防予第200号)は、住宅用火災警報器の法制化や各種機器に係る認定の状況を踏まえ、本日付けで廃止する。
住宅の用途に供される防火対象物の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。
平成3年当時、住宅用火災警報器は各家庭に広く普及しているとは言えず、消防庁は任意のお墨付きを通じて設置を後押しする方法を取りました。
その後、消防法第9条の2が住宅用防災機器の設置と維持を義務として定め、市町村条例で具体的な基準を示す仕組みが整いました。
法律による義務化が定着したいま、任意の推奨制度は役割を終えたと整理されたわけです。
背景には、令和6年中の住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く。)が令和3年以降増加している状況があり、消防庁は表彰型の推奨よりも設置と維持の実務そのものに力を注ぐ方針に転じています。
推奨制度があったから住警器が普及したと思っていました。
普及の役目を終え、法律の義務化に引き継がれた形です。
推奨制度はいったい何を認定していたのか

住宅用防災機器等という幅広い括りで認定されていました。
住宅用防災機器等推奨委員会という組織が、消防庁長官の認定とは別枠で、住宅の防火に役立つ機器や物品にお墨付きを与える仕組みです。
その一部として、カーテン・布製ブラインド・じゅうたん等・寝具類・衣服類の防炎品には「安心マーク」という消費者向けの目印が上乗せされていました。
つまり推奨マークは制度全体の認定を指し、安心マークはそのうち防炎品に付く表示だけを指す、という二段構えでした。
この幅広い制度そのものが、今回まるごと廃止の対象になったことを押さえておきましょう。
カーテンだけじゃなく、いろんな機器が対象だったんですね。
住宅用防災機器等推奨委員会が幅広く認定していました。
廃止後にすでに認定された製品はどうなるのか

通知は経過的な扱いをはっきり書いています。
推奨マークの認定には、もともと使用が認められる期間が定められており、この期間を過ぎるまでは表示を残したままの流通が想定されています。
新規に認定を受ける道が閉じただけで、既存の在庫を慌てて撤去する必要はありません。
建物のカーテンや寝具を新しく発注する場面では、今後は推奨マークの有無を選定条件にする必要が無くなったことも意味します。
在庫や既存設備の確認と、新規発注時の基準を分けて考えるのがポイントです。
在庫にある製品はもう売れなくなるんですか。
いいえ、マークの使用期間が満了するまでは表示して販売できます。
安心マークとの違いで見落としやすいのはどこか

義務の表示と任意の表示を混同しないことが大切です。
法第八条の三第二項の規定により防炎物品に付する防炎性能を有するものである旨の表示(防炎表示)は、次の各号に定めるところにより付することができる。
一 防炎表示を付する者は、消防庁長官の登録を受けた者であること。(略)
カーテンや寝具に付く防炎表示は、消防法施行規則第4条の4に基づく登録表示者の義務の表示で、推奨制度とは別の根拠で成り立っています。
一方、安心マークは推奨制度の枠組みの中で運用されてきた表示なので、200号が廃止された今後、新規の交付がどうなるかは通知に明記されていません。
「推奨マークが消えた=防炎品全部の目印が消えた」と早合点せず、防炎表示と安心マークを別々に扱うことが実務での落とし穴を避けるコツです。
安心マークの今後の運用について気になる場合は、公益財団法人日本防炎協会か所轄の消防機関に確認するのが確実です。
安心マークとの違いがよく分からなくなってきました。
通知が名指ししているのは推奨制度自体で、安心マークの扱いは別途確認が要ります。
明日から何を確認すればよいのか

新規発注か既存設備かで、見るべき順番が少し変わります。
住宅用火災警報器については、住宅火災における死者数の低減に有効であることから、消防法令に基づき設置が義務化されており、設置及び維持管理の徹底に向け、これまで各自治体において継続的な取組が進められてきたところです。
まずは住宅用火災警報器そのものが消防法第9条の2に基づき設置されているか、市町村条例の基準どおりに維持されているかを確認しましょう。
カーテンや寝具については、防炎表示の登録者番号がまず義務の目印であり、推奨マークや安心マークの有無は判断材料の一つにとどまります。
在庫や既存の設置物に推奨マークが付いていても、期間内であれば問題として扱う必要はありません。
新規発注では推奨マークを条件にする必要が無くなった一方、防炎表示や住警器の設置基準は今までどおり確認してください。
何から確認すればいいですか。
まずは防炎表示など義務の表示があるかを優先して見てください。
よくある質問
まとめ
在庫の推奨マークは慌てず残しつつ、まずは防炎表示を確認します!
住宅用防災機器の確認もお任せください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 住宅用火災警報器の設置促進及び維持管理に係る優良事例の展開について(令和8年6月8日 消防予第205号 消防庁予防課長通知)
- 住宅用防災機器等推奨制度の創設について(平成3年9月30日付け消防予第200号)
- 防炎物品等に係る住宅防火安心マークの取扱いについて(平成3年12月27日 消防予第262号 消防庁予防課長)
- 消防法第9条の2
- 消防法施行規則第4条の4
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





