サーバー室や電気室に不活性ガス消火設備を設置している建物は少なくありません。
消火剤が放射されたあと、部屋の中には二酸化炭素などのガスが充満したままになります。
このガスをどうやって外へ逃がすのか、意外と知られていません。
放出後の排出のための措置は、消防法施行規則で明確に義務づけられています。
不活性ガス消火設備が作動すると、部屋の中にガスがたまると聞きました。
誤って入ってしまったら危険なんでしょうか。
そのとおりです。
放出後の排出のための措置が消防法施行規則で義務づけられています。
排出は換気扇を回すだけのイメージでしたが、電源にも決まりがあるんですか。
はい。
停電時でも動かせるよう、非常電源の容量まで定められています。
- 不活性ガス消火設備を設置した場所には、消火剤や燃焼ガスを安全な場所に排出するための措置を講じる義務があります
- この義務は消防法施行規則第19条第5項第18号が定めています
- 消火剤が排出されたことを確認するまでは、防護区画内に立ち入ってはいけません
- 排出設備を動かす非常電源は、有効に1時間作動できる容量が必要です
- 排出の経路や非常電源は、日常の点検で作動を確認しておく必要があります
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目次
不活性ガス消火設備を放出した部屋はなぜすぐに入ってはいけないのか

外から見ただけでは、安全かどうか判断できません。
不活性ガス消火設備で使われる二酸化炭素は、人体に対して酸欠や中毒のおそれがあり、消えたと思って足を踏み入れるのは危険です。
防護区画の出入口には消火剤が放出された旨を示す表示灯が設けられ、点灯している間は立入りが禁止されます。
表示灯が消えたことは、あくまで排出のための措置が働いたことの合図であって、扉を開けてよいかどうかは別途確認が必要です。
表示灯が消えていても、勝手に開けない方がよさそうですね。
はい、そのとおりです。
次はどんな設備に排出の義務があるのか見ていきましょう。
排出のための措置はどんな設備に義務づけられるのか

設備を設置した以上、排出の義務も同時に発生します。
条文は「不活性ガス消火設備を設置した場所には」という書き方をしており、全域放出方式・局所放出方式を問わず、設備を置いた部屋そのものに排出の義務がかかります。
サーバー室や電気室のほか、駐車場や指定可燃物を扱う倉庫など、水損を避けたい部屋で採用されることが多い設備です。
設置を決めた時点で、排出のための措置もセットで計画しておく必要があります。
うちはサーバー室だけですが、それでも対象になりますか。
はい、部屋の広さに関わらず対象です。
次はどんな標識が必要になるかを見ていきましょう。
排出のための措置とあわせてどんな標識を掲示するのか

そこで標識の掲示もあわせて義務づけられています。
一辺0.3メートル以上の標識に、消火剤が人体に危害を及ぼすおそれがあることと、放射後は立ち入ってはならないことをあわせて表示します。
図柄は日本産業規格A8312の図A.1に沿ったもので、手書きの貼り紙で代用することはできません。
貯蔵容器を置く場所と防護区画の出入口の両方に、見やすい位置で掲示されているかを確認してください。
標識は好きなデザインで作ってもよいのかと思っていました。
いいえ、規格が決まっています。
次は排出設備を動かす電源を見ていきましょう。
排出設備の非常電源はなぜ1時間分も必要になるのか

そのため非常電源にも独自の基準があります。
誘導灯の非常電源が20分、屋内消火栓設備が30分とされているのに対し、不活性ガス消火設備の非常電源は1時間以上の容量が必要です。
消火剤の放射が終わったあとも、ガスを排出し終えるまでファンを動かし続けなければならないためと考えられます。
非常電源は自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかで足り、非常電源専用受電設備は選べません。
うちは蓄電池設備なんですが、それでよいのでしょうか。
はい、蓄電池設備も認められています。
最後に日頃の確認手順をお伝えします。
明日から排出のための措置をどう確認すればよいのか

配線や点検の面からも維持の義務があります。
排出のためのファンや配管がどこにあるか、非常電源がどの盤にあるかを図面で把握しておきます。
表示灯回路や操作回路の配線にも耐熱・耐火の基準があるため、断線や被覆の劣化が無いかは消防設備士による定期点検で確認します。
標識の破損や表示灯の球切れは日常点検でも気づけるので、あわせて見ておきましょう。
まずは図面で場所を確認するところからですね。
はい、そこが出発点です。
気になる点は所轄消防署にも確認してみてください。
よくある質問
まとめ
排出のための措置と非常電源のつながりがよく分かりました。
まずは自分の建物の表示灯と標識を確認します。
排出のための措置と非常電源はセットで点検するのが基本です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条第1項/第17条の3の3
- 消防法施行規則第19条第5項第18号・第19号・第20号・第21号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





