給油取扱所にコンビニエンスストアや飲食店が併設されているのを見かけたことはありませんか。
実はどんな建築物でも自由に併設できるわけではなく、認められる用途は政令や省令であらかじめ決められています。
令和6年2月29日に消防庁から出された通達では、この建築物の範囲と防火管理者の要否についても留意点が示されています。
この記事では、給油取扱所に設けられる建築物の範囲と機能的従属の考え方を解説します。
うちの給油取扱所にはコンビニが併設されているんですが、
これって自由に建物を建ててよいわけではないんですよね。
はい、給油取扱所に設けられる建築物の用途は、省令であらかじめ決められています。
令和6年の通達でも、この建築物の範囲について整理されたと聞きました。
その通りです。
詳しく見ていきましょう。
- 令和6年2月29日の消防危第40号第2は、給油取扱所に設けることができる建築物の範囲を整理した通知です。
- 認められる建築物の用途は、規則第25条の4第1項に列挙された6つの区分に限られます。
- 6号の用途は令別表第一の(1)(3)(4)(8)(11)から(13)イ(14)(15)項に掲げる用途で、機能的に従属すると認められるものを含みます。
- 併設建築物が施行令第1条の2第3項に規定する防火対象物に該当するときは、防火管理者の選任等が必要になります。
- 政令第17条第1項第16号により、廊下・階段・避難口など避難上必要な施設の管理を徹底することが求められます。
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目次
消防危第40号はなぜ建築物の範囲まで整理したのか

ガソリンの詰替えや荷卸しだけでなく、併設される建築物の扱いについても留意点がまとめられています。
給油取扱所には、詰替え作業場や事務所だけでなく、コンビニエンスストアや飲食店等が併設されるケースが増えています。
危険物を取り扱う施設に無関係な用途の建築物を無制限に建てられては、避難や消火活動の妨げになりかねません。
そこで通達は、設けてよい建築物の用途と、防火管理上必要な措置を明確にしています。
まずは、どんな用途の建築物が対象になるのかを見ていきます。
コンビニを併設している給油取扱所、最近よく見かけますね。
あれも通達の対象になるんですか。
はい、次の章で対象になる建築物の用途を確認しましょう。
給油取扱所にはどんな建築物を設けられるのか

条文を確認しましょう。
一号から五号は、給油・点検整備・洗浄という給油取扱所本来の業務に直結する用途です。
六号だけは幅があり、令別表第一の(1)(3)(4)(8)(11)から(13)イ(14)(15)項という、飲食店・物品販売店舗・図書館・工場・倉庫・事務所等の用途を含みます。
コンビニエンスストアや飲食店の併設は、この六号にあたります。
ただしここで終わりではなく、通達はさらに踏み込んだ考え方を示しています。
うちのコンビニは(四)項の物品販売店舗にあたりそうですね。
はい、その通りです。
次は、その用途がどう扱われるかを具体的に見てみましょう。
機能的従属の建築物と防火管理者の要否はどう決まるのか

それが「機能的従属」という運用です。
たとえば給油取扱所の一角にある小さな売店が、管理権原や利用形態から見て給油業務に従属していると認められれば、六号の用途に含めて扱えます。
一方で、通達の次の項目は別の視点を示しています。
政令第17条第1項第16号により設ける建築物については、廊下・階段・避難口その他の避難上必要な施設の管理を徹底しなければなりません。
そのうえで、その建築物が施行令第1条の2第3項に規定する防火対象物に該当するときは、防火管理者の選任等が必要になります。
従属していると認められさえすれば、防火管理者はいらないってことですか。
そうとは限りません。
次の章で、見落としやすいポイントを確認しましょう。
現場で見落としやすいのはどこか

しかし通達をよく読むと、そう単純ではないことが分かります。
機能的従属が認められるのは、あくまで用途の数え方についての話です。
建築物の規模や収容人員が施行令第1条の2第3項の基準を満たせば、給油取扱所とは別に防火管理者の選任等が必要になります。
併設のコンビニや飲食店が大きくなるほど、この基準に当てはまる可能性も高くなります。
「従属的だから何もしなくてよい」ではなく、規模と収容人員を都度確認する必要があります。
うちのコンビニ、最近改装して少し広くなったんですが、確認したほうがよさそうですね。
はい、規模が変わったときこそ確認のタイミングです。
次の章で、具体的な確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

現場でも、同じ視点でのチェックを行うことが実務の出発点です。
まず、併設されている建築物が規則第25条の4第1項の6区分のどれにあたるかを確認することです。
次に、六号の用途については管理権原や利用形態から機能的従属といえるかを見直すことです。
最後に、建築物の規模や収容人員が施行令第1条の2第3項の基準に当てはまらないかを確認し、該当する場合は防火管理者の選任状況を点検することです。
用途区分と防火管理体制の両方を定期的に見直すことが実務の対応になります。
分かりました、まずは併設建物の用途区分から確認してみます。
収容人員や規模が変わったときも見直しの合図です。
まずはできるところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
用途区分と機能的従属、そして防火管理者の要否を、今日から確認します!
用途区分と避難施設の管理を定期的に見直せば、いざというときも安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令等の一部改正に伴う給油取扱所の運用について(令和6年2月29日 消防危第40号 消防庁危険物保安室長)第2 給油取扱所に設けることができる建築物に関する事項
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第25条の4第1項
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第17条第1項第16号
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第2項・第3項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





