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ビニールハウスの暖房用タンクはどこまで緩められるか|農地の屋外タンク貯蔵所の特例

ビニールハウスの脇に置かれた灯油タンクの写真とハウスの暖房用タンクの特例の文字

ビニールハウスの暖房用に灯油タンクを置く。ハウス一棟ごとに一基ずつ並べる。
容量が指定数量を超えれば屋外タンク貯蔵所となり、政令の基準がそのままかかってきます。
昭和45年の回答は、田畑の中の施設という実情をふまえて七つの特例を認めました。
この記事では農地の暖房用タンクに認められた緩和を消防庁の質疑応答に沿って整理します。

畑のど真ん中のタンクにも、工場と同じ基準がかかるんか。

そこで特例が認められました。
ただし回答は住宅等から遠く離れた田畑の中に設置されるものに限ると念を押しています。

暖房は冬だけや。使わん時期も手続が要るんか。

そこも認められています。
休止届使用開始届で、毎年の手続を省略できるとされました。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 政令第11条第2号の空地が確保されていれば特に農道の境界線からの距離を考慮する必要はない
  • 液面計は硝子管の連通管式で上下にコックを設け金属管等で防護すればさしつかえない
  • 標識と掲示板は同一の畑や田の場合は1か所にまとめて掲示してよい
  • 送油管は耐油性ゴムホースでよいが農道等を横断する部分は、金属管を使用すること
  • 季節的使用の場合は休止届と使用開始届により毎回の手続を省略できる

農道の境界線からの距離は考慮する必要がない

二棟のビニールハウスと脇のタンクの間隔と農道を示した俯瞰図のイラスト

昭和45年8月4日付け消防予第158号は、鹿児島県からの照会に答えたものです。
県内各地の農家で促成作物の栽培が行われ、その暖房用燃料として灯油を使う施設が増えたという状況が背景にあります。

照会は施設の実情を部落からはもちろん、人家からも50メートル以上はなれた広い農地で公共危険性もなく、しかも貯蔵する燃料タンクの容量は800リットルから1,200リットル(灯油)程度の屋外タンクがビニールハウス(7から10メートル)×(30から50メートル)の広さ1とうごとに1基ずつ並列に設置され、自然流下でハウス内に設けられた自動温度調節器付バーナーに送られると説明しています。
使用量は1日10リットル程度が最高とされていました。

一つめの特例は、隣の畑との間にある農道からの距離についてです。

照会は畑と畑間の農道の境界線からは最低1メートル以上の空地を確保せしめることの可否を尋ね、回答は設問については、当該タンクの周囲に危険物の規制に関する政令第11条第2号に規定された空地が確保されていれば、特に農道の境界線からの距離を考慮する必要はないです。

照会側は自主的に1メートル以上を確保しようとしていましたが、回答はその必要はないとしました。
政令が求める保有空地さえあれば足りるという整理です。
空地があれば足ります

液面計は硝子管の連通管式でよく金属管で防護する

タンク側面の硝子管の液面計を金属で保護しコックを設けたイラスト

二つめは、危険物の量を測る装置についてです。
小さなタンクに自動覚知装置を求めるのは現実的でないため、簡便な方法が提案されました。

照会は危険物の量を自動的に覚知することができる装置として連通管式の使用を認め、その材質は硝子管とし管の上下にコックを設けるとともに硝子管を保護するため金属管等で防護するとともに計量する時以外はコックを閉じるよう指導することの可否を尋ねました。
回答は2 さしつかえないです。

硝子管そのものは割れやすい材質ですが、条件が三つ重ねられています。
管の上下にコックを設けること金属管等で防護すること計量する時以外はコックを閉じることです。

割れても中身が出ないよう、二重の備えがされています。硝子でも通ります
なお、タンクの基礎については別図の構造で認めることの可否も問われ、回答は3 設問の屋外貯蔵タンクが政令第11条第5号の規定による地震及び風圧に耐えるものであればさしつかえないでした。

標識は畑ごとに1か所にまとめ消火設備は最大容量のタンクに合わせる

畑の入口に一か所の標識板と消火器が置かれたイラスト

四つめと五つめは、施設の表示と消火設備についてです。
タンクが何基も並ぶため、そのすべてに同じものを備えるのかが問われました。

標識について照会は同一畑、田の場合は1か所にまとめて掲示せしめ、タンクについては危険物の品名、数量をタンクごとに記入せしめることの可否を尋ねています。
消火設備については同一敷地内に複数のタンクがある場合でも、最大容量のタンクに適応する第5種消火設備を1こ以上設置せしめることの可否を尋ね、あわせてただし、危険物の規制に関する規則第32条第5号の規定は厳守せしめるとしています。
回答は4及び5 いずれもさしつかえないです。

標識は畑ごとに一つでよく、消火設備も最大容量のタンクに合わせたものが一個以上あればよいとされました。
ただしタンクごとの品名と数量の記入は求められています。
まとめてよい部分です

送油管は農道等を横断する部分だけ金属管とする

ゴムホースの送油管が農道を横断する部分だけ金属管になっているイラスト

六つめは、タンクからバーナーまでの送油管です。
ここだけは、照会どおりには認められませんでした。

照会はバーナーへの送油管は耐油性ゴムホースを使用せしめ金属管の連結部については、バンド等でしめてはずれないよう考慮することの可否を尋ねています。
回答は6 タンクからバーナーへの送油管で、農道等を横断する部分は、金属管を使用すること。その他の部分については設問のとおりでさしつかえないです。

全部をゴムホースにすることは認められず、農道等を横断する部分だけ金属管を求めています。
人や車が通る場所ではホースが踏まれ、傷んで漏れるおそれがあるためです。

逆にいえば、それ以外の区間は耐油性ゴムホースでよいということになります。
横断部だけ金属です

季節的使用なら休止届と使用開始届で手続を省略できる

基礎からタンクを撤去する矢印とカレンダーと届出書類が並ぶイラスト

七つめが、この回答でもっとも実務の負担を軽くする部分です。
暖房用の設備なので、使うのは寒い時期だけという事情があります。

照会は季節的使用であるので、最初の設置の場合のみ危険物の規制に関する政令第11条の規定に定める手続きをなさしめるものとし使用期間が終るとタンクのみは収去され、また使用期間が始まるとタンクのみを設置するものであればとしたうえで、次の扱いを提案しました。
提案は使用期間が終りタンクのみが収去される場合は、休止届を提出せしめ、再び使用開始する場合は使用する日の10日前までに使用開始届を提出せしめ、現地で設置の状況を検収するのみとし危険物の規制に関する政令第11条の規定に定める手続きを省略することというものです。
回答は7 さしつかえないです。

毎シーズン設置と撤去をくり返しても、手続は最初の一度だけ。
あとは休止届と、使用する日の10日前までの使用開始届で足ります。

そして回答は最後に、適用範囲を限定する一文を置いています。

回答はなお、この回答は、住宅等から遠く離れた田畑の中に設置される屋外タンク貯蔵所に限り適用されるものであるので念のため申し添えると結んでいます。

市街地の施設に持ち込める緩和ではありません。
田畑の中に限られます

よくある質問

Q. ビニールハウスの暖房用タンクは農道から離す必要がありますか?
当該タンクの周囲に政令第11条第2号に規定された空地が確保されていれば、特に農道の境界線からの距離を考慮する必要はないとされています。
Q. 液面計は硝子管でもよいですか?
連通管式で材質を硝子管とし、管の上下にコックを設け、金属管等で防護し、計量する時以外はコックを閉じるよう指導することについて、さしつかえないと回答されています。
Q. 送油管は全部ゴムホースでよいですか?
よくありません。タンクからバーナーへの送油管で農道等を横断する部分は金属管を使用することとされ、その他の部分については耐油性ゴムホースでさしつかえないとされています。
Q. 冬だけ使う設備でも毎年手続が必要ですか?
必要ありません。使用期間が終わりタンクのみが収去される場合は休止届を提出し、再び使用開始する場合は使用する日の10日前までに使用開始届を提出して現地で設置の状況を検収するのみとする扱いが、さしつかえないとされています。

まとめ

  • 照会の施設は人家から50メートル以上はなれた広い農地にある容量800リットルから1,200リットルの灯油タンクである
  • 政令第11条第2号の空地が確保されていれば特に農道の境界線からの距離を考慮する必要はない
  • 液面計は連通管式で硝子管とし上下にコックを設け金属管等で防護すればさしつかえない
  • タンクの基礎は政令第11条第5号による地震及び風圧に耐えるものであればさしつかえない
  • 標識と掲示板は同一の畑や田の場合は1か所にまとめて掲示しタンクごとに品名と数量を記入する
  • 消火設備は複数のタンクがあっても最大容量のタンクに適応する第5種消火設備を1個以上でよい
  • 送油管は農道等を横断する部分に金属管を使用しその他の部分は耐油性ゴムホースでさしつかえない
  • 季節的使用の場合は休止届と使用する日の10日前までの使用開始届により手続を省略できる
  • この回答は住宅等から遠く離れた田畑の中に設置される屋外タンク貯蔵所に限り適用される

畑の真ん中やから緩めてもろたけど、街中では通らんのやな。

そのとおりです。
農業用の燃料タンクの届出や特例の相談も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第11条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第23条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第32条 e-Gov法令検索
  • ハウス園芸用等の暖房用燃料の貯蔵取り扱いについて(昭和45年8月4日付け消防予第158号 予防課長から鹿児島県あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

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