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粉末消火設備の貯蔵容器等はなぜ置き場所まで条文で決まっているのか|貯蔵タンクの規格と加圧用ガス容器の基準を解説

粉末消火設備の貯蔵容器等はなぜ置き場所まで条文で決まっているのかを消防法施行規則第二十一条から解説する記事のアイキャッチ画像

粉末消火設備の貯蔵容器等は、ただ床に置いてあるだけの部品ではありません。
設置する場所そのものにも、条文で細かい制限が定められています。
さらに貯蔵タンクや安全装置、蓄圧式か加圧式かによって備えるべき部品も、それぞれ規格が決まっています。
この記事では、消防法施行規則第二十一条から貯蔵容器等・貯蔵タンクに求められる設置場所と部品の規格を解説します

うちの粉末消火設備の貯蔵容器、屋外の日当たりのいい場所に置いてあるんですが、これって問題ないんでしょうか。

実は貯蔵容器等の設置場所にも条文で決まりがあります。
防護区画の外であること、温度や日射も条件に入っています。

貯蔵容器そのものにも規格があるんですか。

はい。
日本産業規格に適合するものか、それと同等以上の強度・耐食性を持つものと定められています。

この記事の結論
  • 粉末消火設備の貯蔵容器等は防護区画以外の場所で、温度四十度以下・温度変化が少ない場所に設置する
  • 貯蔵タンクは日本産業規格B八二七〇に適合するもの、またはこれと同等以上の強度・耐食性を持つものを使う
  • 貯蔵容器等には消防庁長官が定める基準の安全装置を設ける
  • 蓄圧式で内圧力一メガパスカル以上のものには容器弁加圧式には放出弁を設ける
  • 貯蔵容器等には残留ガスの排出装置を、配管にはクリーニング装置を設ける

粉末消火設備の貯蔵容器等の設置場所と貯蔵タンクの規格・安全装置・加圧用ガス容器の関係を示す図解

粉末消火設備の貯蔵容器等はどんな場所に設置しなければならないのか

防護区画の外の日陰に置かれた貯蔵容器等と温度計の図
貯蔵容器等はどこにでも置いてよいわけではありません。
条文は、設置してよい場所の条件を具体的に定めています。
六 貯蔵容器は、次のイからハまでに定めるところにより設けること。イ 防護区画以外の場所に設けること。ロ 温度四十度以下で温度変化が少ない場所に設けること。ハ 直射日光及び雨水のかかるおそれの少ない場所に設けること。(第十九条第五項第六号。粉末消火設備の貯蔵容器等にはこの規定が準用される)
貯蔵容器等は防護区画の中に置くことができません
消火剤を放出する部屋の中に容器があると、放出時の圧力変化や熱の影響を容器自体が受けてしまい、点検や補修のために立ち入ることも難しくなるためです。
温度は四十度以下で変化が少ない場所という条件も付いています。
貯蔵容器等の内圧は温度に左右されるため、直射日光の当たる屋上や、暖房設備の近くは避けなければなりません。
直射日光及び雨水のかかるおそれの少ない場所も条件に含まれており、容器の腐食や劣化を防ぎます。

うちの貯蔵容器、屋外の機械室に置いてあって夏場はかなり暑くなるんですが、それも問題になりますか。

四十度を超えるようであれば基準を満たさない可能性があります。
点検業者に設置環境も含めて確認してもらいましょう。

貯蔵タンクや貯蔵容器等にはどんな規格の部品が必要なのか

貯蔵タンクと規格マークと安全装置の断面を示す図
貯蔵容器等そのものにも、素材や部品ごとに条文で規格が定められています。
とくにタンク型の大容量設備では、この規格が安全性を左右します。
三 貯蔵容器等は、第十九条第五項第六号の規定の例によるほか、次のイからホまでに定めるところによること。イ 貯蔵タンクは、日本産業規格B八二七〇に適合するもの又はこれと同等以上の強度及び耐食性を有するものを用いること。ロ 貯蔵容器等には、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置を設けること。ハ 貯蔵容器(蓄圧式のものでその内圧力が一メガパスカル以上となるものに限る。)には、消防庁長官が定める基準に適合する容器弁を設けること。ニ 加圧式の貯蔵容器等には、消防庁長官が定める基準に適合する放出弁を設けること。
貯蔵タンクには、日本産業規格B八二七〇への適合、またはこれと同等以上の強度・耐食性が求められます。
規格に適合しない自作のタンクや、耐食性の劣る素材は使えません。
貯蔵容器等には消防庁長官が定める基準の安全装置を必ず設けます。
方式によって備える部品が変わる点も見落としやすいところです。
蓄圧式で内圧力一メガパスカル以上のものには容器弁、加圧式には放出弁が必要で、両方まとめて備える設備ではありません。

容器弁と放出弁って、見た目で区別がつくものなんでしょうか。

設備台帳に蓄圧式か加圧式かの記載がありますので、まずそちらで確認するのが確実です。
現場の判断だけに頼らないようにしましょう。

加圧式はなぜ貯蔵容器等の近くに加圧用ガス容器が必要なのか

貯蔵容器のすぐ隣に接続された小型の加圧用ガス容器の図
加圧式の粉末消火設備には、貯蔵容器等とは別にもう一つ容器が要ります。
消火剤を押し出すためのガスを蓄えた、加圧用ガス容器です。
五 加圧用ガス容器は、貯蔵容器等の直近に設置され、かつ、確実に接続されていること。五の二 加圧用ガス容器には、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置及び容器弁を設けること。
加圧用ガス容器は貯蔵容器等の直近に設置し、確実に接続しなければなりません。
離れた場所に置くと、配管が長くなり接続不良や損傷のリスクが増えるためです。
加圧用ガス容器そのものにも安全装置及び容器弁を設けることが義務づけられています。
小さな容器ですが、貯蔵容器等を動かす起点になる重要な部品です。
点検では、加圧用ガス容器が貯蔵容器等のすぐそばにあるか、接続部にゆるみが無いかを確認します。

加圧用ガス容器が貯蔵容器等から少し離れた棚に置かれているのを見たことがあるんですが、これは問題ですか。

条文は直近設置を求めていますので、離れているようであれば点検業者に相談したほうがよいでしょう。

残留ガスの排出装置とクリーニング装置を見落としていないか

配管の途中にあるクリーニング装置と排出装置を指さす技術者の図
消火剤を放出したあと、設備の中に何も残らないわけではありません。
放出後の処理のための部品も、条文で決められています。
四 貯蔵容器等には残留ガスを排出するための排出装置を、配管には残留消火剤を処理するためのクリーニング装置を設けること。
貯蔵容器等には残留ガスの排出装置を、配管には残留消火剤を処理するクリーニング装置を、それぞれ設けなければなりません。
消火剤を放出したあと、配管の中に粉末消火剤が残ったままだと、次に設備を使うときに詰まりや誤作動の原因になります。
貯蔵容器等の側もガスが残っていると内圧が不安定なまま放置されることになります。
点検表には貯蔵容器や選択弁の項目は載っていても、排出装置とクリーニング装置は見落とされがちな部分です。
配管の末端や継手付近に、これらの装置が設けられているかを点検のたびに確認します。

クリーニング装置って、点検のときにどこを見ればよいものなんでしょうか。

配管図面に記載されている位置を確認し、実際に設けられているかを点検資格者に確認してもらう形になります。

貯蔵容器等まわりの点検では明日からなにを確認すればよいのか

クリップボードを持ち貯蔵容器等の周囲を点検する技術者の図
ここまでの内容を、明日からの点検で確認できる形にまとめます。
一つずつ現場で照らし合わせてみてください。 まず設置場所を見ます
防護区画の外にあるか、温度が四十度以下で安定しているか、直射日光や雨水がかかっていないかを確認します。
次に貯蔵タンクや貯蔵容器等の規格です。
表示や刻印から規格適合品かどうかを確認し、蓄圧式なら容器弁、加圧式なら放出弁が備わっているかを見ます。
最後に加圧用ガス容器の設置位置と、残留ガスの排出装置・クリーニング装置の有無まで一通り確認できれば、この条文が求める範囲はひととおり網羅できます。

設置場所から部品の規格まで、一通り自分でも確認できそうです。

はい。
不明な点があれば、消防用設備等の点検であわせて確認してもらいましょう。

よくある質問

Q貯蔵容器等を屋内の機械室に置く場合、温度管理はどう確認すればよいか?
A条文は四十度以下で温度変化が少ない場所であることを求めています。空調のない機械室では季節による温度変化も含めて確認し、必要に応じて設置環境の見直しを点検業者に相談します。
Q貯蔵タンクが規格に適合しているかは、どこで確認できるのか?
Aタンク本体の銘板や刻印に規格適合の表示があるのが一般的です。表示が見当たらない場合や判読できない場合は、設計図書や点検記録とあわせて業者に確認します。
Q加圧用ガス容器の本数は貯蔵容器等の数に対して決まっているのか?
A条文は本数そのものは定めておらず、貯蔵容器等の直近設置と確実な接続を求めています。必要な本数は放射に必要な圧力から設計段階で決まるため、設備図面で確認します。
Qクリーニング装置が無い設備を見つけたらどうすればよいか?
A条文で設置が義務づけられているため、基準を満たしていない状態にあたります。速やかに点検業者へ連絡し、配管の改修方法を相談します。

まとめ

貯蔵容器等は防護区画以外の場所で、温度四十度以下・温度変化が少ない場所に設置する
貯蔵タンクは日本産業規格B八二七〇に適合するもの、またはこれと同等以上の強度・耐食性を持つものを使う
貯蔵容器等には消防庁長官が定める基準の安全装置を設ける
蓄圧式で内圧力一メガパスカル以上のものには容器弁加圧式には放出弁を設ける
加圧用ガス容器は貯蔵容器等の直近に設置し、確実に接続する
貯蔵容器等には残留ガスの排出装置を、配管にはクリーニング装置を設ける
防火管理者は設置場所・部品の規格・加圧用ガス容器を日常点検の中で確認する

貯蔵容器等の設置場所と部品の規格、次の巡視でしっかり見てみます!

粉末消火設備の点検でご不明な点があれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第二十一条第四項第三号・第四号・第五号・第五号の二(粉末消火設備の技術上の基準)
  • 消防法施行規則第十九条第五項第六号(不活性ガス消火設備の技術上の基準・準用元)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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