夏祭りや縁日の露店でカセットこんろが爆発する事故が起き、消防庁は全国の消防機関に注意喚起の通知を出しました。
対象になるのは祭礼や花火大会などで火気を使う露店等で、開設には事前の届出も義務づけられています。
この記事では通知が示すカセットこんろとガスコンロ等の具体的な留意事項と、実務で見落としやすい落とし穴を解説します。
露店を出すか運営に関わるなら、この記事を読めば今日中に必要な対策が分かります。
うちの施設でも夏祭りを開催するんですが、露店の火気って何か注意することがあるんでしょうか。
夏祭りの会場でカセットこんろが爆発する事故があってから、消防庁が注意喚起の通知を出しています。
まずは通知の中身を確認しましょう。
露店を出すのは委託業者なので、うちが直接関わることはないと思っていました。
施設で行事を開くなら、主催者として届出や指導の窓口になることもあります。
順番に見ていきましょう。
- 東京都江東区の夏祭り会場でカセットこんろが爆発する事故が起き、消防庁は露店等の火気の取扱いに注意を求める通知を出しました
- 対象は祭礼・縁日・花火大会等の催しで対象火気器具等を使用する露店等で、火災予防条例第45条第6号により開設の事前届出が義務です
- 通知はカセットこんろとガスコンロ等それぞれについて具体的な取扱いの留意事項を示しています
- カセットボンベは異常に熱せられると内部が高圧になり爆発するおそれがあるため、大きな調理器具で覆ったり複数台並べたりしてはいけません
- プロパンガスボンベは日陰の風通しの良い場所に設置し、転倒しないよう鎖等で固定することも求められています
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目次
夏祭りの露店はなぜ火気の取扱いに注意が必要になったのか

平成26年8月、東京都江東区で開かれた夏祭り会場の露店で、カセットこんろが爆発する事故が発生しました。
消防庁はこれを受け、露店等での火気の取扱いに改めて注意を求める通知を発出しています。
事故を機に、消防庁は改めて指導の徹底を求めています。
実はその前年にも、京都府福知山市の花火大会でガソリンによる火災が発生し、死者3名・負傷者56名を出す被害が起きていました。
このときも消防庁は消防予第321号・消防危第155号(平成25年8月19日)で同様の注意喚起を行っていましたが、翌年また別の火気事故が起きたことになります。
夏祭りや花火大会は毎年ある行事だからこそ、油断せず基本を確認しておくことが被害を防ぐ近道です。
なお本通知は、消防組織法第37条に基づく消防庁長官の助言として発出されています。
うちも去年、敷地内で夏祭りをしたんですが、露店の火の始末までは確認していませんでした。
露店の火気は届出や具体的な取扱いのルールが決まっています。
次で対象を確認しましょう。
対象になるのはどんな行事のどんな露店なのか

対象になるのは、祭礼や花火大会など多数の者が集まる催しで火気を使う露店等です。
実はこうした露店を開設すること自体に、事前の届出義務が定められています。
露店の開設そのものが届出の対象になる行為です。
祭礼・縁日・花火大会・展示会など、多数の人が集まる催しで対象火気器具等を使う露店等を開くときは、あらかじめ所轄の消防長又は消防署長への届出が必要になります。
ここでいう対象火気器具等には、カセットこんろのような移動式のこんろや、ガスコンロ、発電機なども含まれます。
消防予第324号の通知は、この届出制度を前提としたうえで、実際の使用場面での具体的な注意事項を追加で示すものです。
自分の施設や町内会が主催する行事で火気を使う露店を出すなら、まず届出の要否を所轄消防署に確認しておきましょう。
届出がいるなんて知りませんでした。
うちの地域の夏祭りは大丈夫でしょうか。
対象火気器具等を使うかどうかで判断が変わります。
まずは所轄消防署に確認するのが確実です。
通知は露店の火気にどんな取扱いを求めているのか

通知はカセットこんろとガスコンロ等について、それぞれ具体的な留意事項を示しています。
どちらも事故の原因を踏まえた、現場で実行しやすい内容です。
カセットこんろの事故は「異常な加熱」が引き金になります。
本体やボンベが熱せられ続けるとボンベ内部が高圧になり爆発するおそれがあるため、ボンベカバーまで覆うような大きな調理器具を使わない、2台以上を並べて使わない、炭の火おこしに使わないという3点が示されています。
ガスコンロ等を使う場合は、火災予防条例が定める事項に加えて消火器の設置が必要です。
ゴムホースの接続部はホースバンド等で締め付け、適正な長さで取り付けたうえで、ひび割れ等の劣化がないか点検することも求められます。
プロパンガスボンベは直射日光の当たらない通気性の良い場所に置き、転倒しないよう鎖等で固定してください。
大きな鍋で覆った方が火力を活かせると思っていました。
まさか爆発の原因になるとは。
その使い方が一番危険なんです。
カセットボンベは覆わず、風通しを確保してください。
実務で見落としやすいのはどこか

通知の内容は届出さえ済ませば終わりではありません。
当日の使用方法そのものが対策の中心になっている点を見落とさないようにしましょう。
カセットこんろ・ガスコンロ・ガソリンでは、注意すべき原理がそれぞれ違います。
消防予第324号が扱うのはカセットボンベの過熱による爆発とガス機器の劣化・転倒ですが、同じ露店でも発電機用のガソリンを扱うなら、引火点の低さと蒸気の拡散という別の危険が加わります。
実際にこの通知には、前年に発生した京都府福知山市の花火大会火災(発電機用ガソリンが原因)を受けた消防予第321号・消防危第155号が別紙として添付されており、2つの通知は対象とする器具も注意点も異なります。
届出を済ませたことで安心してしまい、当日の使用方法や器具ごとの注意点の確認がおろそかになる例が見受けられます。
ガソリンの取扱いについては別記事で詳しく解説しているので、あわせて確認しておいてください。
うちの祭りでは発電機も使うので、ガソリンの扱いも気になります。
ガソリンは別の注意点があります。
次で明日からの確認事項をまとめます。
明日から露店を出すときに何を確認すればよいのか

ここまでの内容を、露店を出す前と当日に分けて確認しましょう。
祭礼や花火大会を主催する立場でも、出店する側の立場でも使えるチェックポイントです。
まず開催前に、対象火気器具等を使う露店等の開設を所轄消防署へ届け出ましょう。
当日はカセットこんろのボンベカバーを大きな調理器具で覆わない、2台以上を並べない、炭の火おこしに使わないことを店舗ごとに確認してください。
ガスコンロ等を使う店舗には消火器の設置とホース接続部の点検を、プロパンガスボンベを使う店舗には日陰への設置と鎖等での転倒防止の固定を求めてください。
発電機やガソリンを使う店舗があれば、別記事の注意点もあわせて確認しておくと安心です。
これらは主催者だけでなく、露店を出す事業者自身の自主的な確認にもつながる内容です。
今度の祭りの担当者に、届出とこんろの扱いを伝えておきます。
それが一番の近道です。
気になる点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
露店の火気の取扱いがよく分かりました!
まずは開設前の届出から確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 夏祭り、花火大会等の行事に対する火災予防指導等の徹底について(平成26年8月5日 消防予第324号)
- 多数の観客等が参加する行事に対する火災予防指導等の徹底について(平成25年8月19日 消防予第321号・消防危第155号)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
- 火災予防条例(例)第45条第6号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





