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夏に店で花火を売るとき消防の決まりはあるのか|火災予防条例が定めるがん具用煙火の貯蔵と取扱いを解説

夏の店の棚に並んだ商品の箱を写したがん具用煙火の貯蔵と取扱いの解説記事のアイキャッチ

夏が近づくと店先やレジのそばに花火の箱が並びます。
火薬を使う商品なので火薬類取締法の世界の物ですが、店で扱うぶんには許可も届出も求められません。
そのかわり置き方と使い方のほうを、市町村の火災予防条例が正面から縛っています。
季節が来ると急に現れる売り場なので、どの量からなにが必要になるのかを条文から確かめておきます

夏のあいだだけ店の入口に花火の棚を出しているのですが、消防に届け出るものなのでしょうか。

届出ではなく置き方のほうに決まりがあります。
量が増えると容器やおおいが必要になります。

花火はてっきり火薬類取締法だけの話だと思っていました。

そちらの法律は小さな量のおもちゃ花火をかなり適用除外にしています。
そのすきまを埋めているのが火災予防条例です。

この記事の結論
  • おもちゃの花火は火薬類取締法でいうがん具煙火にあたります
  • 火薬類取締法はがん具煙火に販売営業の許可を求めていません
  • 火災予防条例(例)第26条は消費と貯蔵と取扱いのすべてに決まりを置いています
  • 原料の火薬または爆薬が5キログラム以上になると容器かおおいが必要になります
  • 東京都火災予防条例は同じ第26条に直射日光を書き加えています

がん具用煙火は火薬類取締法のすきまを市町村の条例が埋めていると示した図解

おもちゃの花火はどの決まりで縛られるのか

左に平屋根の店舗中央に二枚の書類右に箱を並べた棚がある
花火なのだから火薬類取締法だけの話に見えます。
ところが店に置くところは消防の側の決まりが受け持ちます。
消防法第九条 かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める
受け皿は消防法第9条です
この条は炉やこんろの位置と構造と管理を市町村条例にゆだねる条として知られていますが、末尾にその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項という広い受け皿を置いています。
がん具用煙火は炉でもこんろでもありませんが、火を使う物であることに変わりはないので、この受け皿のほうに入ります。
消防庁がひな型として示している火災予防条例(例)では第26条がその条にあたります。
自分の店にかかるのは市町村が定めた条例なので、まずは市の例規集で火災予防条例を開いてみてください。

消防法の条文を探しても花火という言葉が出てこないわけですね。

はい、条文は市町村条例にゆだねています。
開くのは市の火災予防条例のほうです。

どの量から容器やおおいが必要になるのか

左に箱を二つ載せた荷台中央に天びん右に箱を積み上げた荷台がある
小さな箱を数個並べるだけなら気にするところはありません。
線を引いているのは火薬類取締法の側の数量です。
火薬類取締法施行規則第九十一条第二号 法第十一条第二項および第三項、第三十八条ならびに第四十六条第一項第二号の規定については、原料をなす火薬または爆薬の数量が二十五キログラム以下のがん具煙火(略)または原料をなす爆薬の数量が五キログラム以下の(略)がん具煙火の数量
火災予防条例(例)第26条第3項 火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)第91条第2号で定める数量の5分の1以上同号で定める数量以下のがん具用煙火を貯蔵し、又は取り扱う場合においては、ふたのある不燃性の容器に入れるか、又は防炎処理を施したおおいをしなければならない
線は二段構えで引かれています
まず火薬類取締法施行規則が、原料をなす火薬または爆薬が25キログラム以下のがん具煙火について、貯蔵の技術上の基準などを適用しないと定めています。
火災予防条例はその数量をそのまま借りてきて、5分の1以上その数量以下の範囲に入ったら容器かおおいを求めるという作りにしています。
一般のがん具用煙火なら火薬または爆薬で5キログラム以上25キログラム以下、クラッカーボールの類なら爆薬で1キログラム以上5キログラム以下がその範囲です。
数えるのは箱の数でも商品の重さでもなく原料をなす火薬または爆薬の量なので、仕入れの明細で確かめてください。

箱ごと量りに載せた重さではないのですね。

中に入っている火薬の量で数えます。
仕入先の資料に書かれていることが多いので確かめてみてください。

置き方と使い方になにを求められるのか

左にふたのある円筒形の容器中央に布で覆った荷台右に箱を置いた台がある
条文そのものはとても短く書かれています。
そのぶん一つずつの言葉を正確に読む必要があります。
火災予防条例(例)第26条 がん具用煙火は、火災予防上支障のある場所で消費してはならない
2 がん具用煙火を貯蔵し、又は取り扱う場合においては、炎、火花又は高温体との接近を避けなければならない
東京都火災予防条例第26条第2項 がん具用煙火を貯蔵し、又は取り扱う場合においては、炎、火花又は高温体との接近及び直射日光を避けなければならない。
求められていることは三つです
一つめは消費で、火災予防上支障のある場所で消費してはならないと書かれています。
二つめは貯蔵と取扱いで、炎と火花と高温体との接近を避けることが求められます。
三つめが量に応じた措置で、ふたのある不燃性の容器に入れるか、防炎処理を施したおおいをすることになります。
店の売り場に置き換えると、喫煙場所や厨房の火口から離し、範囲に入る量なら段ボールのまま積み上げないという話になります。

つまり段ボールのまま積んでおくのはまずいということですね。

量が範囲に入ったら不燃性の容器かおおいが要ります。
その前にまず置き場所を火の気から離してください。

実務で見落としやすいのはどこか

左に窓のそばの棚に禁止の印右に窓のない壁ぎわの棚にチェックの印がある
いちばん多いのは適用除外の読み違えです。
外れているのは火薬類取締法の条であって決まり全部ではありません。
火薬類取締法第五十一条第四項 がん具煙火については、前項に規定するもののほか、第五条、第十八条、第二十五条及び第二十六条の規定は、適用しない
5 前二項に規定するもののほか、第三条、第四条、第十一条第二項及び第三項(略)の規定は、各規定ごとに経済産業省令で定める数量以下のがん具煙火については、適用しない。
外れた条があるだけで自由になったわけではありません
火薬類取締法は、がん具煙火について販売営業の許可の条などを適用しないと定めており、少ない量なら貯蔵の技術上の基準の条も外れます。
そこだけを読むとなんの決まりも残らないように見えますが、外れたぶんを火災予防条例が拾っているという関係になっています。
もう一つ見落としやすいのが条例ごとの差で、東京都火災予防条例は同じ第26条第2項に直射日光を避けることまで書き加えています。
ひな型どおりの市もあれば書き足している市もあるので、自分の店の所在地の条例を読むほかありません。

許可が要らないと聞いていたので自由なのだと思い込んでいました。

許可の話と置き方の話は別の法律が受け持っています。
条例のほうは必ず読んでおいてください。

明日からなにを確認すればよいのか

左に制服の人中央に箱を並べた棚右にエプロンの人と台がある
立入検査で見られるのは書類だけではありません。
売り場そのものが検査の対象になります。
消防法第四条第一項 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(略)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。
見られるのは管理の状況です
条文は位置と構造と設備に並べて管理の状況を挙げているので、棚の置き場所や積み方はそのまま検査の対象になります。
花火の売り場は季節が来ると急に現れるため、前の年の検査では見られていないことがよくあります。
確かめるのは、置き場所が火の気から離れているか、量が条例の範囲に入っていないか、入っているなら容器かおおいがあるかの三つです。
売り場を組む前に自分の市の火災予防条例を開き、担当者と一緒に棚の位置を決めておくと迷いません。

季節ものなので消防計画にも書いていませんでした。

棚を出す前に置き場所を決めておきましょう。
写真を残しておくと次の検査で役に立ちます。

よくある質問

Q一箱だけ置く場合でも条例の対象になりますか?
A消費と貯蔵と取扱いの定めは量に関係なくかかります。容器やおおいを求める第3項だけが量で線を引いている作りです。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q花火を売るのに販売の許可は本当にいらないのですか?
A火薬類取締法第51条第4項が、がん具煙火について販売営業の許可の条を適用しないと定めています。ただし対象は同法施行規則が定めるがん具煙火に限られるので、打上げに使う煙火は別の扱いになります。
Qお客さまに店の前で使ってもらう場合はどうなりますか?
A消費については火災予防上支障のある場所で消費してはならないという定めがそのままかかります。どこがその場所にあたるかは周囲の状況で変わりますので、所轄消防署にご確認ください。
Q条例の条番号はどこの市でも同じですか?
Aひな型が第26条なので同じ番号の条例が多いのですが、削除や追加で番号がずれているものもあります。番号ではなくがん具用煙火という見出しで探すほうが確実です。

まとめ

おもちゃの花火は火薬類取締法でいうがん具煙火にあたります
受け皿は消防法第9条で火の使用に必要な事項を市町村条例にゆだねています
火災予防条例(例)第26条は消費と貯蔵と取扱いのすべてに決まりを置いています
貯蔵と取扱いでは炎と火花と高温体との接近を避けます
原料の火薬または爆薬が5キログラム以上25キログラム以下なら容器かおおいが要ります
東京都火災予防条例は同じ条に直射日光を避けることまで書いています
立入検査では管理の状況として売り場の置き方が見られます

来週の棚出しの前に市の火災予防条例を開いてみます。
置き場所も担当者と決めておきます。

季節ものこそ先に決めておくと迷いません
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第4項・第4条第1項・第9条
  • 火薬類取締法(昭和25年法律第149号)第2条第2項・第11条・第51条第4項・第5項
  • 火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)第1条の5・第91条第2号
  • 消防庁「火災予防条例(例)」(昭和36年11月22日自消甲予発第73号)第26条
  • 東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第26条
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)
  • 東京都例規集データベース

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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