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急速充電設備は異常が起きたら自動で止まるのか|省令が求める停止の条件と蓄電池を内蔵する場合の追加措置を解説

建物の駐車場に立つ電気自動車の急速充電設備を写した記事のアイキャッチ画像

駐車場に電気自動車の充電器を置く建物が増えました。
消防の側から見ると、これは対象火気設備等のひとつとして条例の基準がかかる設備です。
かかるのは置き場所や固定の話だけではなく、充電中に異常が起きたときの止まり方まで及びます。
この記事では急速充電設備にどんな停止の措置が求められるのかを条文から解説します。

駐車場に充電器を入れる話が出ています。
置き場所を決めれば終わりでしょうか。

省令には設備そのものが備える停止の仕組みまで並んでいます。
置き場所はそのうちの一部です。

それは機器のメーカーが見る話ではないのですか。

基準を満たした設備かどうかは建物の側が届出で示すことになります。
どの条文が当たるかを知っておくと話が早いです。

この記事の結論
  • 急速充電設備の安全の措置は消防法施行令第5条第2項を受けた省令第16条に置かれています。
  • 第16条は11の号からなり急速充電設備を名指しする号は第9号から第11号までの三つです。
  • 第9号は11の項目からなりそのうち自動的に停止させることを求める項目は五つあります。
  • 充電を始めさせない場面は絶縁とコネクターの接続の二つに分かれています。
  • 蓄電池を内蔵していると第10号の四つの項目が上乗せされます。

急速充電設備に求められる措置を充電を始める前と充電している間と異常を見つけたときと蓄電池を内蔵する場合に分けてまとめた図解

急速充電設備の安全の措置はどの規定で決まるのか

建物の横に充電器が一台立っている様子を描いた図
充電器の基準は、消防用設備等のように国が直接に定めている決まりではありません。
市町村の火災予防条例へ送るための基準として、省令に並んでいます。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第2項 前項に規定するもののほか、対象火気設備等の位置、構造及び管理に関し火災の予防のために必要な事項に係る条例制定基準については、対象火気設備等の種類ごとに総務省令で定める。 省令第16条 令第五条第二項の規定により、第四条から前条までに規定するもののほか、対象火気設備等の位置、構造及び管理に関し火災の予防のために必要な事項に係る条例は、次の各号に定めるところにより制定されなければならない。 九 急速充電設備にあっては、次に掲げる措置を講ずること。
決めているのは市町村の条例です。
省令はその条例をどう作るかの基準で、建物にそのまま当たるのは条例の条文のほうです。
この省令のなかで急速充電設備という語がいちばん多く出てくるのが第16条で、18回を数えます。
第16条は11の号からなり、そのうち急速充電設備を名指しする号は第9号から第11号までの三つです。
筐体の材料や固定の方法は別の条にあるので、まず自分が読むのがどの条なのかを分けてください。

ひとつの条にまとまっているわけではないのですね。

位置と構造と管理で条が分かれています。
止まり方の話は第16条にまとまっています。

充電を始める前になにを確かめさせるのか

充電器から伸びたケーブルのコネクターが電気自動車の差込口に当てられている様子を描いた図
第9号は11の項目からなり、その前半は充電が始まる手前を扱っています。
条文は始まってから止めるより先に、始めさせない場面を置いています。
省令第16条 九 イ 充電を開始する前に、急速充電設備と電気自動車等との間で自動的に絶縁状況の確認を行い、絶縁されていない場合には、充電を開始しないこと。 ロ コネクターと電気自動車等が確実に接続されていない場合には、充電を開始しないこと。 ハ コネクターが電気自動車等に接続され、電圧が印加されている場合には、当該コネクターが当該電気自動車等から外れないようにすること。
始めさせない場面は二つです。
イが絶縁の確認で、ロがコネクターの接続の確認です。
どちらも人が確かめるのではなく、設備の側が自動的に確認して開始しないことを求めています。
続くハは向きが逆で、電圧が印加されている間はコネクターが外れないようにすることを求めています。
現場で見るとすれば、充電中にコネクターが軽く抜ける状態になっていないかという一点になります。

差し込んだあとは抜けないほうがよいのですね。

条文は電圧が印加されている場合と限っています。
抜き差しの様子を一度見ておいてください。

充電している間はどんな異常で自動的に止まるのか

充電器の横に計器と開閉器の箱が並び電気自動車がケーブルにつながっていない様子を描いた図
第9号の後半は、充電が始まってからの話に変わります。
どの異常でどうするのかが、項目ごとに書き分けられています。
省令第16条 九 ニ 漏電、地絡及び制御機能の異常を自動的に検知する構造とし、漏電、地絡又は制御機能の異常を検知した場合には、急速充電設備を自動的に停止させること。 ホ 電圧及び電流を自動的に監視する構造とし、電圧又は電流の異常を検知した場合には、急速充電設備を自動的に停止させること。 ヘ 異常な高温とならないこと。また、異常な高温となった場合には、急速充電設備を自動的に停止させること。
自動的に停止させることを求める項目は五つです。
上に挙げたニとホとヘのほかに、充電用ケーブルを冷やす液体を使うものについてのヌと、複数のケーブルで同時に充電するものについてのがあります。
ヌは液体の流量と温度の異常、ルは出力の切替えに係る開閉器の異常を、それぞれ検知して止めることを求めています。
どれも自動的に検知するか自動的に監視する構造としたうえで、異常を検知したら止めるという同じ形で書かれています。
つまりこの号が求めているのは、止める判断を人に委ねないという設計です。

五つとも設備が勝手に止まるということですか。

条文はそう書いています。
ヌとルはその機能を持つものに限った書き出しなので当たらない機種もあります。

蓄電池を内蔵しているとなにが上乗せされるのか

側面を開けた幅の広い充電盤と細い充電ポストにそれぞれ電池の束が収まっている様子を並べた図
充電器のなかには、蓄電池を内蔵して電力をためておく型のものがあります。
その型に当たると、第9号の上にもう一段の号が乗ります。
省令第16条 十 急速充電設備のうち蓄電池を内蔵しているものにあっては、前号に掲げる規定のほか、当該蓄電池(主として保安のために設けるものを除く。)について次に掲げる措置を講ずること。 イ 電圧及び電流を自動的に監視する構造とし、(略)自動的に停止させること。 ロ 異常な高温とならないこと。 ハ 温度の異常を自動的に検知する構造とし、異常な高温又は低温を検知した場合には、(略)自動的に停止させること。 十一 急速充電設備のうち分離型のものにあっては、充電ポストに蓄電池(主として保安のために設けるものを除く。)を内蔵しないこと。
上乗せされるのは四つの項目です。
上に挙げたイとロとハのほかにニがあり、こちらは制御機能の異常を検知して止めることを求めています。
四つのうち自動的に停止させることまで求めているのは三つで、ロだけは異常な高温とならないことという一文で終わります。
見落としやすいのはハで、ここだけは異常な高温だけでなく低温も検知して止める対象に入っています。
さらに第11号は、分離型のものについて充電ポストの側には蓄電池を内蔵しないことと書いています。

分離型なら本体の側なら入れてよいのですね。

条文が内蔵しないと書いているのは充電ポストの側だけです。
仕様書のどちらに電池が載っているかを見てください。

明日からどこを確認すればよいのか

点検票を持つ人と押しボタンの付いた充電器とコネクターを掛けた受けを描いた図
条文の並びが分かれば、現場で見る順番も決まります。
先に紙で見て、そのあと現物で見るという二段になります。
省令第3条 二十一 急速充電設備(電気を設備内部で変圧して、電気自動車等(略)にコネクター(略)を用いて充電する設備(全出力二十キロワット以下のものを除く。)をいい、分離型のもの(略)にあっては、充電ポストを含む。 省令第16条 九 ト 急速充電設備を手動で緊急に停止することができる装置を、当該急速充電設備の利用者が異常を認めたときに、速やかに操作することができる箇所に設けること。 リ コネクターについて、操作に伴う不時の落下を防止すること。ただし、コネクターに十分な強度を有するものにあっては、この限りでない。
先に見るのは全出力の数字です。
省令第3条第21号は全出力20キロワット以下のものを急速充電設備から外しているので、仕様書のこの欄で当たるかどうかが決まります。
当たるなら次は分離型かどうかを見て、分離型なら充電ポストの側も同じ設備として扱われることを押さえます。
現物では、利用者が異常に気づいたときに速やかに操作できる箇所に手動の緊急停止の装置があるかを見ます。
第9号から第11号までのうちただし書きを持つのはリだけなので、そのほかは例外なしに読むことになります。

まず仕様書の全出力を見ればよいのですね。

そこで外れればこの条は当たりません
消防計画の点検の欄に緊急停止の装置を足しておくと次から早いです。

よくある質問

Q家庭用の普通充電のコンセントもこの基準の対象になりますか?
A省令第3条第21号は急速充電設備から全出力20キロワット以下のものを除いています。仕様書の全出力の欄で判断することになるので、実際の当てはめは所轄消防署にご確認ください。
Q充電するのが自動車でなくても対象になりますか?
A同じ号の電気自動車等には、電気を動力源とする自動車のほかに原動機付自転車と船舶と航空機その他これらに類するものが挙げられています。自動車だけに限った書き方ではありません。
Q手動の緊急停止の装置はどこに付ければよいのですか?
A第9号トは利用者が異常を認めたときに速やかに操作することができる箇所としか書いていません。高さや位置の数値までは条文にないので、個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Qこの省令の号をそのまま守らなければならないのですか?
Aこの省令は市町村が条例を定めるときの基準です。実際に建物にかかるのは市町村の火災予防条例なので、条例の条文と併せて所轄消防署にご確認ください。

まとめ

急速充電設備の安全の措置は令第5条第2項を受けた省令第16条に置かれています。
第16条は11の号からなり急速充電設備を名指しするのは第9号から第11号までです。
第9号は11の項目からなり自動的に停止させることを求める項目は五つです。
充電を開始しないことを求める項目は絶縁と接続の二つです。
蓄電池を内蔵していると第10号の四つの項目が上乗せされます。
第10号ハだけは異常な高温だけでなく低温も止める対象にしています。
分離型のものは充電ポストの側に蓄電池を内蔵しないこととされています

まず仕様書の全出力から見てきます!

全出力と分離型かどうかで読む号が決まります
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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第16条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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