ガス系消火剤を使う消火設備等は、置き終えたら終わりではありません。
ハロンを除くガス系消火剤を使う設備は、工事の届出から検査まで、データベースへの登録が絡んできます。
登録が済んでいるかどうかは、制御盤に貼られた小さなラベル一枚で検査官が確かめます。
今回はガス系消火剤のデータベース登録の仕組みと、検査でどこを見られるのかを解説します。
不活性ガス消火設備を入れたら、消防設備士さんから「データベースに登録しました」と言われました。
これは何のことですか。
それはガス系消火剤のデータベース登録制度のことです。
ハロン以外の薬剤を使う設備が対象になります。
うちの設備はハロンではないので、対象ということですね。
はい、登録が済むとラベルが発行され、制御盤に貼ることになります。
順番に見ていきましょう。
- ハロンを除くガス系消火剤はデータベースへの登録が必要です
- ハロンはハロンバンクという別の仕組みで管理されています
- 登録は工事着工の届出の際にガイドブックを使って行います
- 登録済みラベルは制御盤又は火災表示盤の表面に貼ります
- 検査ではラベルの貼付そのものを確認されます
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目次
なぜガス系消火剤はデータベースへの登録が必要になったのか

ハロン以外のガス系消火剤も、設置状況を国が把握する必要が出てきたのです。
気候変動に関する国際連合枠組み条約の京都議定書が発効したことをきっかけに、二酸化炭素やHFCといった地球温暖化ガスの排出抑制と、貯蔵容器等の再利用を進める方針が示されました。
容器を再利用するには、まずどこにどれだけの薬剤が設置されているのかを把握しなければなりません。
そこでハロンを除くガス系消火剤について、特定非営利活動法人「消防環境ネットワーク」がデータベースを構築することになりました。
建物側から見ると、これは単なる事務手続きではなく、設備が地球温暖化対策の対象として国に把握されている証にもなります。
温暖化対策の話が、うちの消火設備ともつながっているんですね。
そのとおりです。
次はどの薬剤が対象になるのかを見ていきましょう。
ハロン以外のどの消火剤が対象になるのか

ハロンだけは、もともと別の仕組みで管理されているからです。
ハロン2402・ハロン1211・ハロン1301の3種類は、平成6年の通知に基づくハロンバンクという仕組みで、すでに適切に管理されています。オゾン層保護の観点から生産が禁止された薬剤を、社会全体で回収・再利用する制度です。
今回のデータベース登録は、このハロンバンクの対象外にある薬剤、つまりハロンを除くその他のガス系消火剤を対象にしています。不活性ガス消火剤や、HFC-227eaなどのハロン以外のハロゲン化物消火剤が当てはまります。
自分の建物の設備がどちらに当てはまるかは、消火剤の名称で判断できます。名称に「ハロン」と付いていなければ、今回の登録制度の対象になると考えてください。
ハロンバンクという言葉は聞いたことがありますが、それとは別物なんですね。
はい、別の制度です。
ハロンかどうかだけで振り分けが決まります。
登録はいつどうやって行うのか

工事に取りかかる前の届出のときに行います。
消防法第17条の14は、甲種消防設備士が工事に着手する日の10日前までに、工事の種類や場所を消防長又は消防署長へ届け出ることを定めています。
ガス系消火剤を使う設備の工事では、この届出のタイミングに合わせて、届出者である消防設備士が「データ登録ガイドブック」を使ってデータベースへの登録を行う運用です。
建物の関係者が自分で入力する手続きではありませんが、工事の発注段階で登録まで含めて依頼しているかを確認しておくと、あとの工程で慌てずに済みます。
登録するのは設備を入れる前の、届出の段階なんですね。
そうです。
工事の見積りをもらう段階で、登録まで含めた依頼になっているか聞いてみてください。
登録済みラベルはどこに貼りどう記載するのか

このラベルの扱いは工事完了届のときに確認されます。
貼る場所は、消火設備等の制御盤又は火災表示盤の表面の見やすい位置と決められています。奥まった配管の陰などに隠してしまうと、あとで確認できなくなります。
工事完了から4日以内に行う工事完了の届出では、消防用設備等試験結果報告書の備考欄にラベルを貼付した旨が記載されているかも確認されます。書き忘れていた場合は、その場で記載するよう指導される仕組みです。
つまりラベルそのものと、書類上の記載の両方がそろって、初めて登録の手続きが完了したことになります。
ラベルを貼るだけでなく、書類にも書いてもらう必要があるんですね。
そのとおりです。
試験結果報告書の写しを保管しておくと、あとの確認がスムーズです。
検査ではラベルの何を確認されるのか

最後は設置後の検査で、現場のラベルそのものが見られます。
消防法第17条の3の2に基づく設置後の検査では、届出書類に登録済みラベルの記載があるかだけでなく、実際に制御装置又は火災表示盤の表面にラベルが貼られているかが確認されます。
書類上は記載があっても、現場でラベルが剥がれていたり貼り忘れていたりすれば、検査でその場が指摘されることになります。
検査を控えているなら、制御盤の表面にラベルが今も残っているかを、事前に一度自分の目で確かめておくと安心です。
書類だけじゃなく、現物のラベルも見られるんですね。
今度点検のときに確認してみます。
それが確実です。
ラベルの有無は、点検のついでに確認できます。
よくある質問
まとめ
ラベル一枚の裏に、届出から検査までの流れがあると分かりました。
今度確認してみます!
登録から検査まで、書類だけでは終わりません。
ラベルの現物確認まで含めてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- ガス系消火剤のデータベース登録に関する消防機関の対応について(平成18年3月27日消防予第121号・消防危第87号)
- ハロンバンクの運用等について(平成6年2月10日付け消防予第32号、消防危第9号)
- 消防法第17条の14(工事着工の届出)
- 消防法第17条の3の2(消防用設備等の設置後の検査)
- 消防法施行規則第31条の3第1項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。運用は所轄消防署ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





