地震後、自家発電設備の制御盤に過速度停止の表示が残っていることがあります。
表示だけを消して再始動すると、ガバナや回転数検出部の異常を残したまま原動機を動かすおそれがあります。
BCPでは停止状態を維持し、警報が出た原因と保護装置の作動を確認します。
過速度停止の表示が出ています。
解除して始動してええですか。
始動せず状態を残します。
表示灯だけ確認したら足りますか。
停止装置と保護回路も確認します。
- 過速度停止表示が出たら停止状態を維持します
- 警報名と計器指示と発見時刻を操作前に記録します
- ガバナと回転数検出部と保護回路を確認します
- 作動値は設備仕様と点検要領で判定します
- 整備後は管理下で回転数と負荷作動を確認します
▼

目次
過速度停止装置が作動したときは始動してよいのか

警報の原因を確認するまでリセットも再始動もしません。
過速度停止装置は、原動機の回転数が設定範囲を超えたときに燃料供給などを止め、機械を保護する装置です。
消防庁の点検要領は、保護装置について各検出器を作動させ、作動値、遮断、表示、警報を確認する構成です。
過回転停止装置は原動機を守る重要な停止機能です。
表示の解除は原因の除去ではありません。
実際の回転数、ガバナ連動機構、回転数検出部、保護回路を照合します。
点灯だけでは判断できへんのですね。
指示値まで確認しましょう。
どの設備と条件を確認するのか

保護装置の構成は機種で異なります。
完成図書、取扱説明書、保護装置の設定表で、その設備に何が付いているかを確認します。
- 警報名、発生時刻、停止前後の計器指示
- ガバナと燃料調整機構の外観
- 回転数検出器と配線
- 過回転停止装置の作動機構
- 停止ソレノイドと燃料遮断部
- 制御盤の保護回路と端子
- 製造者が指定する設定値と復帰条件
保護装置は、検出、遮断、表示、警報がつながって初めて機能します。
機械側と電気側を一続きで確認します。
表示灯だけ見ても足りませんか。
ガバナと検出回路まで見ます。
作動したときは何をするのか

始動保留、状態記録、連絡、専門点検、再試験の順で進めます。
- 異音、振動、煙、燃料漏れがないか離れて確認する
- 停止状態を維持しリセット禁止を周知する
- 警報名、計器指示、発見時刻を記録する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- ガバナ、回転数検出器、停止機構、保護回路を点検する
- 整備後に設定値と作動値を照合する
- 管理下で始動、回転安定、電圧確立、負荷作動を試験する
始動を保留する間は、非常電源を受ける消防用設備への影響を確認します。
必要に応じて巡回、火気制限、代替電源、所轄消防署への相談を組み合わせます。
始動前に表示と時刻を残します。
停止中の安全措置も決めましょう。
見落としやすい点はどこか

実際に回転数が上昇した場合と、検出器や配線の異常で警報が出た場合は、表示だけでは区別できません。
地震後はガバナ連結部のずれ、端子の緩み、センサー損傷も確認します。
- 警報を消すだけで復旧扱いにする
- 停止前の回転数や異音を記録しない
- ガバナ連結部のずれを見落とす
- 回転数検出器と端子の損傷を見落とす
- 燃料遮断機構の動きを確認しない
- 保護装置の設定値と作動値を照合しない
- 無負荷始動だけで負荷作動を確認しない
消防庁の点検要領は、保護装置の作動値、遮断、表示、警報を確認する考え方です。
始動成功だけで正常と決めず、回転数が安定することまで確認します。
始動できても確認は終わりやないんですね。
装置の性能まで確認します。
明日から何を確認すればよいのか

平常時から、正常な回転数、警報表示、保護装置の設定値を記録します。
正常時と比較できる記録があれば、災害後の異常を早く絞り込めます。
- 警報名、発生時刻、停止前後の計器指示を確認する
- 正常な回転数と警報表示を記録する
- ガバナと停止機構の位置を図示する
- 回転数検出器と保護回路を確認項目にする
- 設定値、作動値、点検記録をそろえる
- 停止中の代替電源と安全措置を決める
- 専門点検から復旧承認まで訓練する
始動保留から代替措置、点検、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めます。
正常値を確認票へ入れます。
迷わない手順にしておきましょう。
よくある質問
まとめ
表示だけで判断せず状態を残します。
過速度停止装置を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。過速度停止表示が出た場合は、自己判断で警報解除、再始動、ガバナや燃料遮断部の操作をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、整備、再始動、負荷試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





