地震後に発電機室を確認したら、自家発電設備の近くに水たまりができていることがあります。
発電機が架台の上に載っていれば、すぐ始動してよいのか迷う場面です。
しかし、水の侵入経路や電気系統の乾燥状態が分からないまま始動すると、設備の損傷を広げるおそれがあります。
BCPでは水の範囲を記録する、始動を保留する、原因と乾燥状態を確認する、再試験後に復旧するという順番を決めておきます。
床が少し濡れているだけなら始動してもええですか?
水源と電気系統を確認するまで始動を保留します。
水を拭けば復旧できますか?
漏水原因と乾燥状態まで確認して復旧します。
- 発電機室に水たまりがあれば始動を保留します
- 水の範囲と侵入経路を記録します
- 屋根・壁・冷却水配管・床排水を確認します
- 専門業者が電気系統の乾燥と損傷を点検します
- 再試験と復旧承認をBCP記録へ残します
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目次
地震後に発電機室へ水たまりがあったら始動してよいのか

水たまりを見つけたら、水源と電気系統の状態が分かるまで始動を保留します。
水たまりの広さだけで、始動できるかどうかは判断できません。
消防庁の「第24 非常電源(自家発電設備)」は、発電機室またはキュービクル内に水の浸透、水たまり、冷却水配管からの漏水がないことを目視で確認するよう示しています。
原動機と発電機には漏れや腐食などがなく、巻線や導電部周辺が乾燥していることも確認事項です。
非常電源である自家発電設備が使えない間は、消防用設備への電源供給にも影響します。
代替電源と施設運用の制限を同時に決めておくことがBCP上の要点です。
小さい水たまりでも同じですか?
大きさより水源と周辺設備を確認します。
どの場所と水の侵入経路を確認するのか

水たまりの位置だけでなく、上流側の侵入経路と濡れた設備を一続きで確認します。
清掃前に境界、深さ、水の色、広がった方向を記録します。
- 発電機室またはキュービクル内の水たまりの位置
- 水の境界、深さ、色、広がった方向
- 屋根排水と壁・床の配管貫通部
- 屋外キュービクルの換気口と雨水侵入防止装置
- 冷却水配管、継手、弁の周辺
- ケーブル溝と床排水口の内部
- 発電機の巻線、導電部、制御盤の周辺
消防庁告示の自家発電設備の基準では、キュービクル式自家発電設備の主要な機器を箱の底面から10センチメートル以上高い位置に設けるか、同等以上の防水措置を講じることが示されています。
屋外用キュービクルの換気口には、雨水などの浸入を防止する措置も必要です。
ただし、機器が高い位置にあっても、床の水たまりを放置してよいという意味ではありません。
ケーブル溝や低い位置の端子、床下経路まで確認します。
雨水か冷却水かも分けて見るんですね。
清掃前の記録が原因特定に役立ちます。
水たまりを見つけたら何をするのか

記録、始動保留、影響確認、原因調査、乾燥、再試験の順で進めます。
施設担当者が濡れた設備に触れたり、始動を繰り返したりしません。
- 立入範囲を区切り、水の範囲と水源候補を記録する
- 試運転と手動始動操作をいったん保留する
- 非常電源を受ける消防用設備を確認する
- 代替電源と施設運用の制限を決める
- 専門業者が侵入経路と漏水箇所を確認する
- 設備仕様に沿って乾燥と電気的な点検を行う
- 再試験後に復旧責任者が運用再開を承認する
水の排出や拭き取りは、原因確認や感電防止の措置と切り離して考えません。
濡れた制御盤、端子、ケーブルには触れず、電源の扱いは設備仕様を把握した専門業者へ任せます。
復旧まで時間がかかる場合は、非常電源の供給先を確認し、警戒強化、使用範囲の制限、代替電源などを施設の関係者と所轄消防署へ相談します。
まず始動を止めて影響先を確認します。
代替措置まで同じ手順に入れます。
水を拭き取れば復旧と思うと何を見落とすのか

床面が乾いて見えることと、設備が安全に始動できることは同じではありません。
見えない溝や機器内部に水分が残っている場合があります。
- 水たまりの大きさだけで原因を決める
- ケーブル溝や床下の残水を見落とす
- 巻線や導電部の乾燥前に始動する
- 冷却水配管の小さな漏れを放置する
- 屋外キュービクルの雨水侵入防止装置を見ない
- 床排水口の詰まりを解消しない
- 原因と試験結果を残さず復旧する
消防庁の点検要領は、原動機と発電機に漏れや変形、損傷、腐食などがないことに加え、巻線と導電部周辺が乾燥していることを確認事項としています。
表面を拭いただけでは、この確認を終えたことになりません。
水源を止める、残水を除く、必要な乾燥と点検を行う、再試験するという順番を崩さないことが大切です。
床が乾いても内部は別なんですね。
乾燥と損傷の確認後に再試験します。
明日から発電機室の浸水にどう備えるのか

平面図と設備台帳に浸水経路、確認箇所、復旧条件をまとめます。
災害後に初めて水源や連絡先を探す運用をやめます。
- 発電機室の低い場所と床排水口を平面図へ記入する
- 屋根排水、壁貫通部、換気口の経路を確認する
- 冷却水配管と継手の位置を記録する
- ケーブル溝、制御盤、発電機架台の高さを確認する
- 代替電源と施設運用の制限を決める
- 専門業者、管理責任者、所轄消防署への連絡順を決める
- 乾燥後の試験項目と復旧承認の様式を決める
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な経営資源について代替手段や復旧手順を整備し、教育・訓練と点検・見直しを続ける考え方を示しています。
水たまりを発見したときの始動保留と原因確認から復旧承認までの連絡経路を消防計画とBCPへ反映します。
浸水経路も平面図へ入れておきます。
平常時の準備が復旧判断を早めます。
よくある質問
まとめ
水を拭いただけで始動せんようにします。
原因確認と乾燥と再試験まで一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源(自家発電設備)
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。発電機室やキュービクル内に水たまりを確認した場合は、自己判断で始動や電気機器への接触をせず、設備仕様を把握した消防用設備の専門業者へ相談してください。個別の始動保留、代替措置、排水・乾燥、試運転、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





