地震後の巡回で、自家発電設備のサーモスタットに錆が見つかりました。
外側の錆だけに見えても、非常電源が必要ならそのまま試運転してよいのでしょうか。
サーモスタットは冷却水の流れを調節する部品です。消防庁の検討資料には、錆の発生による動作不良の事例が示されています。
試運転を保留し、冷却系統全体を専門点検してから復旧を判断します。
サーモスタットに錆があります。
始動して確認してええですか。
試運転を保留して状態を残します。
部品だけ替えれば戻せますか。
冷却水とラジエータも一緒に確認します。
- 錆を見つけたら試運転を保留します
- 錆の位置と冷却水温度と発見時刻を記録します
- サーモスタットと冷却系統を一体で点検します
- 停止中は代替電源と防火上の措置を実施します
- 整備後は管理下の試運転で復旧を決めます
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目次
地震後にサーモスタットへ錆が見つかったら試運転してよいのか

結論は、施設側の判断だけで試運転を始めないことです。
錆が表面だけなのか、弁の動きを妨げているのかは、外観だけで決められません。
消防庁の劣化点検資料には、自家発電設備でサーモスタットの錆発生により動作不良となった事例が掲載されています。
同じ資料は、ラジエータの腐食やVベルトの亀裂も同じ設備の劣化事例として示しています。
消防庁の点検要領では、ラジエータの変形、損傷、腐食、漏水、内部の汚れや詰まり、冷却水の状態、冷却ファンとVベルトを確認します。
サーモスタット一個の見た目だけでなく、冷却系統が正常に働くかを確認して復旧を決めます。
錆の範囲は外から見ただけでは分からへんのですね。
分解点検は専門家へ任せましょう。
どの冷却系統と温度調節部を確認対象にするのか

サーモスタットは単独で働く部品ではありません。
冷却水温度に応じた弁の動きが、ラジエータへ向かう冷却水の流れに関わります。
完成図書、取扱説明書、整備要領書で機種ごとの配置と指定値を確認し、次の範囲を一続きで見ます。
- サーモスタット本体、弁、ばね、ハウジング
- 冷却水の色、量、濁り、漏れ
- ラジエータ内部の汚れ、詰まり、腐食
- 冷却水ポンプ、ホース、配管、継手
- 冷却ファンとVベルト
- 温度計、温度センサ、警報、停止装置
- 非常電源を受ける消防用設備と停止中の代替措置
錆の原因が冷却水の劣化や水分の侵入にあれば、部品交換だけでは再発を防げません。
温度を調節する部品と熱を逃がす経路を同じ点検記録へ残します。
サーモスタットだけ見たら足りますか。
冷却水の通り道まで確認します。
錆の発見から運転保留と専門点検までどう進めるのか

発見時の状態を変えず、運転保留から専門点検へ引き継ぎます。
- 漏れ、蒸気、異臭、異音、温度上昇の有無を確認する
- 試運転と再始動を保留し、操作禁止を周知する
- 錆の位置、冷却水温度、液量、発見時刻を記録する
- 防火管理者、建物管理者、保守事業者へ連絡する
- 停止で影響する消防用設備と代替措置を確認する
- 専門家が冷却系統と温度調節部を点検し必要な整備を行う
- 整備後に管理下で試運転し復旧責任者が承認する
高温時にキャップやハウジングを開けると、熱い冷却水や蒸気で負傷するおそれがあります。
施設側で分解、清掃、注水、弁の手動操作を行いません。
停止中は、非常電源を受ける消防用設備への影響を確認します。
巡回、火気制限、代替電源、所轄消防署への相談を施設の消防計画とBCPに沿って組み合わせます。
錆を落とす前に記録するんですね。
触らず専門家へ引き継ぎます。
サーモスタットだけ交換すると何を見落とすのか

新品へ交換して弁が動いても、錆を生じさせた原因が残れば再発する可能性があります。
ハウジング内部、冷却水、ラジエータ、配管の腐食や汚れも確認します。
- 見える錆だけ落として試運転する
- 高温のまま冷却系統を開ける
- 指定外の冷却水や水を補給する
- 温度計や温度センサの誤差を確認しない
- ラジエータ内部の詰まりや腐食を見落とす
- 無負荷で始動できただけで復旧扱いにする
- 停止中に使えない消防用設備を共有しない
消防庁の点検要領は、運転時の各部温度、冷却水圧などが製造者の指定値と大差ないことを確認事項にしています。
部品交換の完了と、非常電源としての運転性能の回復は別です。
整備後は、漏れや異臭、不規則音、異常振動がなく、冷却水温度が安定することを管理下で確認します。
点検結果と試運転結果を復旧責任者が確認してから待機状態へ戻します。
新品に替えただけでは終わりやないんですね。
原因と運転性能まで確かめます。
明日から冷却系統の劣化にどう備えるのか

災害後に初めて部品の位置を探すと、運転保留や代替措置の判断が遅れます。
正常時の温度、冷却水、サーモスタット周辺の写真を平常時にそろえます。
- 完成図書で冷却系統と温度調節部の位置を確認する
- 正常時の冷却水温度と外観を記録する
- 冷却水の種類、交換日、補給量を台帳へ残す
- 錆、漏れ、濁り、温度上昇の運転保留基準を決める
- 分解せず確認できる範囲を巡回票へ入れる
- 保守事業者と復旧責任者への連絡順を決める
- 代替電源、専門点検、試運転、復旧承認を訓練する
運転保留から代替措置、専門点検、復旧承認までを一枚の手順書にします。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めておきます。
正常時の写真と温度を台帳へ入れます。
停止中の代替措置まで決めましょう。
よくある質問
まとめ
正常時の温度と外観を残します。
冷却系統を一体で備えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備・消火ポンプ等の劣化点検
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令、告示、点検基準、公的資料に基づく一般的な解説です。自家発電設備のサーモスタットに錆が見つかった場合は、施設側で分解、清掃、注水、試運転をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。漏れ、蒸気、異臭、異音、異常な温度上昇など緊急性がある場合は設備へ接近せず、施設の緊急手順と消防機関の指示を優先してください。個別の点検、整備、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と被害状況に応じて所轄消防署、消防設備業者、建物管理者へご確認ください。





