行田市で倉庫や事務所に消防用設備等を付けたとき、消防検査を受けるかどうかは国の法令だけでは決まりません。
消防法施行令は、倉庫や事務所など特定防火対象物以外の建物について、検査と有資格者による点検の対象を消防長の指定に任せています。
行田市と羽生市は延べ面積300平方メートル、四日市市は500平方メートルと1,000平方メートル、堺市は用途ごとに3段階と、指定の線は市ごとに違います。
この記事では国の条文から各市の告示・要綱までをたどり、4市の指定を表で比べます。
行田市の倉庫に自動火災報知設備を付けることになりました。
延べ面積は400平方メートルほどですが、消防検査は要りますか。
倉庫は国の法令だけでは検査の対象になりませんが、行田市は300平方メートル以上を指定しています。
まず告示の中身から確かめましょう。
隣の羽生市や、三重の四日市市でも同じ扱いですか。
羽生市は行田市と同じ数字ですが、四日市市や堺市は用途ごとに面積を変えています。
市ごとの指定を並べて見ていきましょう。
- 消防法施行令第35条第1項第3号は、共同住宅・工場・倉庫・事務所など特定防火対象物以外の用途で延べ面積300平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が指定するものを検査の対象にしています
- 行田市と羽生市は、第3号に並ぶ用途をすべて延べ面積300平方メートル以上で指定しており、政令が指定を認める範囲をそのまま対象にしています
- 四日市市は用途ごとに500平方メートルと1,000平方メートルに分け、(12)項ロ・(13)項ロ・(17)項・(18)項は検査の指定に挙げていません
- 堺市は300・500・1,000平方メートルの3段階で、(18)項のアーケードは道路の全面をおおうものに限っています
- 有資格者による点検の指定は、4市とも延べ面積1,000平方メートル以上で、違いは堺市が(18)項を道路の全面をおおうものに限っている点だけです
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目次
消防検査と有資格者の点検はどの建物が対象になるのか

検査を受ける建物は消防法施行令第35条に、消防設備士等に点検させる建物は第36条に並んでいます。
第35条第1項の第1号・第2号・第4号は、旅館・病院・飲食店・物品販売店舗などの特定防火対象物を、用途や延べ面積や階段の条件で直接対象にしています。
これに対して第3号の共同住宅・学校・工場・倉庫・事務所などは、延べ面積が300平方メートル以上でも、指定がなければ検査の対象になりません。
点検も同じ形で、第36条第2項第2号は延べ面積1,000平方メートル以上のうち指定するものを消防設備士等に点検させるとしています。
指定のしかたについて国の質疑応答は、市町村の実態に応じて指定し、公示すれば足りるとしています(記事末の関連記事の1本目で解説しています)。
倉庫や事務所は、国の法令だけでは検査の対象が決まらないのですね。
そのとおりです。
管轄の消防長がどの用途を何平方メートルから指定しているかで、設置届と検査の要否が変わります。
行田市と羽生市はどの建物を指定しているのか

どちらも、政令の第3号と第2号に並ぶ用途を1つも外していません。
消防法施行令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が300平方メートル以上のもの
第2条 政令第35条第1項第3号の規定により指定する防火対象物は、政令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項に掲げる防火対象物で延面積300m2以上のものとする。
第3条 政令第36条第2項第2号の規定により指定する防火対象物は、政令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項に掲げる防火対象物で延面積1,000m2以上のものとする。
検査は(5)項ロの共同住宅から(18)項のアーケードまで、延べ面積300平方メートル以上のすべてが対象です。
点検は、行田市の消防本部告示第2号と羽生市の要綱第3条により、同じ用途で延べ面積1,000平方メートル以上のすべてが消防設備士等の点検の対象です。
政令の第3号は「300平方メートル以上のもののうち」から指定する形なので、両市はその範囲を丸ごと指定していることになります。
行田市・羽生市で倉庫や事務所を300平方メートル以上で建てるなら、設備を付けたあとに設置届を出して検査を受ける前提で工程を組みます。
400平方メートルの倉庫なら、行田市では検査を受けることになりますね。
はい、(14)項の倉庫で300平方メートル以上なので指定に入ります。
工事が終わったら4日以内に設置届を出します。
四日市市は面積の線をどこに引いているのか

検査のほうは、用途によって面積の線を2つに分けています。
1 検査対象物 令別表第1 5項ロ、7項、8項、9項ロ、10項、12項イ、13項イ及び14項に掲げる防火対象物で、延べ面積が500平方メートル以上のもの並びに11項、15項及び16項ロに掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの。
2 点検対象物 令別表第1 5項ロ、7項、8項、9項ロ、10項から15項まで、16項ロ、17項及び18項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの。
共同住宅・学校・工場・駐車場・倉庫などは延べ面積500平方メートル以上、神社や寺院の(11)項、事務所などの(15)項、特定用途を含まない複合用途の(16)項ロは1,000平方メートル以上です。
映画スタジオ等の(12)項ロ、格納庫の(13)項ロ、重要文化財等の建造物の(17)項、アーケードの(18)項は、検査の指定に挙がっていません。
一方で点検は、行田市・羽生市と同じく第2号の用途すべてを1,000平方メートル以上で指定しています。
四日市市で400平方メートルの倉庫に設備を付けてもこの告示の指定には当たりませんが、600平方メートルなら検査の対象です。
つまり同じ400平方メートルの倉庫でも、行田市と四日市市で扱いが違うのですね。
そのとおりです。
建物の所在地で指定の線が変わるので、管轄の告示を先に確かめます。
堺市と並べると何が違うのか

4市を並べると、同じ政令の規定から3通りの線が引かれていることが分かります。
1 消防法施行令第35条第1項第3号により、消防長が火災予防上必要があると認めて指定する防火対象物は、次に掲げるものとする。
(1) 消防法施行令別表第1、12項ロ、13項、17項に掲げるもので、延面積300平方メートル以上のもの
(2) 消防法施行令別表第1、5項ロ、7項、8項、9項ロ、10項、12項イ、14項に掲げるもので、延面積500平方メートル以上のもの
(3) 消防法施行令別表第1、11項、15項、16項ロに掲げるもので、延面積1,000平方メートル以上のもの
(4) 消防法施行令別表第1、18項に掲げるもののうち、道路の全面をおおうもので、延面積300平方メートル以上のもの
| 令別表第一 | 主な用途 | 行田市・羽生市 | 四日市市 | 堺市 |
|---|---|---|---|---|
| (5)項ロ | 寄宿舎・共同住宅 | 300 | 500 | 500 |
| (7)項 | 学校 | 300 | 500 | 500 |
| (8)項 | 図書館・博物館 | 300 | 500 | 500 |
| (9)項ロ | (9)項イ以外の公衆浴場 | 300 | 500 | 500 |
| (10)項 | 停車場 | 300 | 500 | 500 |
| (11)項 | 神社・寺院 | 300 | 1,000 | 1,000 |
| (12)項イ | 工場・作業場 | 300 | 500 | 500 |
| (12)項ロ | 映画スタジオ等 | 300 | 指定なし | 300 |
| (13)項イ | 駐車場・車庫 | 300 | 500 | 300 |
| (13)項ロ | 格納庫 | 300 | 指定なし | 300 |
| (14)項 | 倉庫 | 300 | 500 | 500 |
| (15)項 | 事務所など | 300 | 1,000 | 1,000 |
| (16)項ロ | 特定用途を含まない複合用途 | 300 | 1,000 | 1,000 |
| (17)項 | 重要文化財等の建造物 | 300 | 指定なし | 300 |
| (18)項 | アーケード | 300 | 指定なし | 300(道路の全面をおおうもの) |
堺市は駐車場・映画スタジオ等・格納庫・重要文化財等の建造物を300平方メートルから指定し、四日市市はこのうち駐車場だけを500平方メートルから指定しています。
共同住宅や倉庫などは四日市市と堺市がそろって500平方メートル、事務所などは1,000平方メートルです。
アーケードは、堺市が道路の全面をおおうものに限り、四日市市は指定せず、行田市・羽生市は限定なしで300平方メートルからです。
点検の指定は、堺市が(18)項を道路の全面をおおうものに限るほかは、4市とも延べ面積1,000平方メートル以上で並んでいます。
共同住宅の管理組合だと、市によって検査の有無が変わることもあるのですね。
300から500平方メートルの間の建物で差が出ます。
延べ面積を図面で確かめておきましょう。
明日から自分の建物で何を確かめればよいのか

指定に当たった場合の届出の期限と、点検結果の報告の回数は、消防法施行規則が定めています。
二 令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
1つ目は、建物の用途が令別表第一の何項に当たるかを、建築確認や消防の届出の書類で確かめることです。
2つ目は、延べ面積を図面で確かめ、管轄の告示や要綱の面積の線と比べることです。
3つ目は、検査の指定に当たるなら工事完了から4日以内の設置届と検査を工程に入れ、点検の指定に当たるなら消防設備士等に点検を頼むことです。
指定に当たらない建物でも点検そのものは関係者が自ら行い、倉庫や事務所などは3年に1回その結果を報告します。
うちの倉庫は自分たちで点検して、3年に1回報告すればよいのですね。
点検の指定に当たらなければその形です。
面積が線に近いときは、所轄の消防署に指定の有無を確かめてから決めましょう。
よくある質問
まとめ
まず倉庫の延べ面積を図面で確かめて、行田市の告示と照らします!
指定に当たるかが分かれば、設置届の段取りも決まります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の2、第17条の3の3、第17条の14
- 消防法施行令第35条、第36条
- 消防法施行規則第31条の3、第31条の6
- 行田市「消防機関の検査を受けなければならない防火対象物の指定について」(平成12年8月1日 消防本部告示第1号)、「消防用設備等の点検をさせなければならない防火対象物の指定について」(平成12年8月1日 消防本部告示第2号) 行田市「例規集」のページ
- 羽生市火災予防要綱(平成16年消防本部告示第2号)第2条・第3条 羽生市例規集
- 四日市市「消防法施行令第35条第1項第3号及び第36条第2項第2号の規定による防火対象物の指定について」(昭和50年10月13日 消防長告示第1号) 四日市市消防本部「審査基準・告示・ガイドライン」のページ
- 堺市「火災予防上必要がある防火対象物の指定について」(平成20年10月1日 消防局告示第10号) https://www.city.sakai.lg.jp/reiki/reiki_honbun/s000RG00001062.html
※本記事は各市が公開している告示・要綱と法令に基づく一般的な解説です。運用基準・告示・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個々の建物が指定に当たるかどうかは用途の判定や延べ面積の算定によって変わるため、工事の前に所轄の消防署にご確認ください。





