消防用設備等の検査は、誰がどのように行うのか。
検査する側の消防職員には資格が必要なのか。防火対象物の指定はどう決まるのか。
検査を受ける側だけでなく、検査を行う側の仕組みにも実務上のルールがあります。
質疑応答が示したのは検査や指定の制度は個々の対応ではなく一般的な基準や体制で運用されるという考え方です。
検査する消防職員にも資格は要るんですか。
そこが意外なところです。
検査対象の建物はどうやって決まるんですか。
それも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
この記事の結論
- 検査に当たる消防職員は消防設備士免状を取得する必要はありません
- 防火対象物の指定は個別ではなく一般的な基準の形で行われます
- 市町村における指定は条例化せず公示することで足ります
- (15)項対象物の延べ面積は1,000平方メートルとしてよいとされました
- 消防長の行う検査は消防機関の責任において実施するものです
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目次
検査に当たる消防職員は消防設備士免状を取得すべきか

その設備を検査する側の消防職員にも、同じ資格が求められるのでしょうか。
問 消防用設備等の検査に当る消防職員は、消防設備士免状を取得すべきではないか。
答 法令上は消防設備士免状を取得する必要はない。
消防設備士の資格は、消防用設備等の工事・整備を行う側に求められるものであり、それを検査する消防職員には法令上の要件として求められていません。工事する側と検査する側とで、資格の要否が異なるということです。
検査に来る職員が資格証を提示しないからといって、それだけで検査の正当性を疑う必要はありません。
消防職員による検査を受ける立場にあるなら、この違いを理解したうえで検査に対応してください。
工事する側と検査する側で違うんですね。
この違いを理解して対応してください。
検査対象の防火対象物はどのように指定されるか

その指定は、建物を一つひとつ選んで行われるものなのでしょうか。
問 消防法施行令第35条第1項第2号又は第36条第2項第2号の規定により消防長又は消防署長が防火対象物を指定する場合、個別に指定すればよいか。その場合、指定した防火対象物の関係者に対し通知する必要があるか。
答 防火対象物を個別に指定するのではなく、防火対象物の用途、規模、構造、都市計画法の地域指定等を考慮して、一般的な基準の形で指定されたい。なお、該当する防火対象物に対する個々の通知は、自由である。
用途・規模・構造・都市計画法の地域指定などの要素を考慮した一般的な基準を作り、その基準に当てはまる建物が結果として指定される、という仕組みです。個々の建物への通知を行うかどうかは、各消防機関の任意とされています。
自分の建物が検査対象になっているか気になるなら、個別の通知を待つのではなく、基準そのものを確認したほうが確実です。
通知が来ないと対象外というわけじゃないんですね。
基準そのものを
確認したほうが確実です。
市町村における防火対象物の指定は条例化すべきか

条例として定めなければ、正式な指定として認められないのでしょうか。
問 消防法施行令第35条第1項第2号及び第36条第2項第2号の指定は各市町村まちまちに決めてよいか、又は条例化すべきか。
答 市町村の実態に応じて指定すればよく、指定する場合は消防長又は消防署長が指定し、公示することで足りる。
市町村ごとに実態が異なることを前提に、消防長又は消防署長が指定し公示するという形で足りるとされています。条例を制定するという重い手続きを経なくても、指定自体は有効に成立します。
市町村によって指定の基準や公示のしかたにばらつきが出るのは、この仕組み上ある程度織り込み済みということです。
複数の市町村にまたがって施設を展開しているなら、それぞれの公示内容を個別に確認してください。
市町村ごとにばらつきがあるのは意外でした。
公示内容を個別に確認してください。
(15)項の防火対象物の延べ面積は1,000平方メートルとしてよいか

用途によって、その基準を変えることは認められているのでしょうか。
問 消防用設備等の検査対象物のうち消防長、消防署長が指定する防火対象物の延べ面積は300平方メートルとしないで、例えば、(15)項対象物の場合は1,000平方メートルとしてよろしいか。
答 お見込みのとおり。
一般的な目安は300平方メートルとされる一方、(15)項のような用途特性を踏まえて1,000平方メートルという、より緩やかな基準を設定することも認められました。用途ごとにリスクの度合いが異なることが反映されています。
一律の数字だけを見て検査対象かどうかを判断すると、実際の指定内容とずれる可能性があります。
延べ面積で検査対象かどうかを見極めたいなら、用途区分ごとの具体的な指定基準を確認してください。
用途によって基準の面積が変わるんですね。
用途区分ごとの
指定基準を確認してください。
消防長の行う検査は業者への立会いだけで足りるか

それとも、消防機関が独自に検査体制を整えて臨むべきものなのでしょうか。
問 消防法施行規則第31条の3第2項による消防長(署長)の行う消防用設備等の検査は、業者による検査に立会ってチェックすれば足りるのか、それとも消防機関が検査器具、機器等いっさい準備して行うのか。
答 消防機関の責任において消防用設備等の検査を行うものである。なお、検査要領については、おって示す予定である。
消防長が行う検査は、業者の検査に同席してチェックするだけの受け身なものではなく、消防機関の責任において、検査器具や機器を用意したうえで実施するものとされています。検査の主体はあくまで消防機関側にあるということです。
検査を受ける立場からすれば、消防機関自身が主体的に検査を行っている、という前提で対応することになります。
業者の検査に立会うだけだと思っていました。
消防機関が
主体的に検査を行っています。
よくある質問
Q検査に来た消防職員に資格証の提示を求める必要がありますか?
A回答は、検査に当たる消防職員は消防設備士免状を取得する必要はないとしています。工事・整備側とは要件が異なります。
Q通知が来なければ検査対象ではないと考えてよいですか?
A回答は、指定は一般的な基準の形で行われ、個々の通知は自由としています。通知の有無だけでは判断できません。
Q検査対象の指定基準は条例を確認しないと分かりませんか?
A回答は、条例化せず消防長又は消防署長の指定・公示で足りるとしています。公示内容の確認が必要です。
Q検査対象の延べ面積の基準は用途にかかわらず一律ですか?
A回答は、(15)項対象物について1,000平方メートルとしてよいとしています。用途によって基準は変わります。
まとめ
✔検査に当たる消防職員に免状は不要です
✔防火対象物の指定は一般的な基準の形で行われます
✔市町村の指定は公示で足り条例化は不要です
✔(15)項対象物の延べ面積基準は1,000平方メートルにできます
✔消防長の検査は消防機関の責任で実施されます
✔共通するのは個々の対応ではなく制度としての基準や体制で運用される点です
検査する側にもいろいろ決まりがあるんですね。
今度検査を受けるときの見方が変わりそうです。
個々の対応ではなく
制度としての基準で運用されています。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防用設備等の検査、点検等について〔検査に当る消防職員は消防設備士免状を取得すべきか〕(昭和50年6月16日 消防安第65号 安全教急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 同前〔消防長又は消防署長が防火対象物を指定する場合の基準について〕(同日 同号)
- 同前〔市町村における防火対象物の指定について〕(同日 同号)
- 同前〔消防法施行令別表第1(15)項に該当する防火対象物の延べ面積は1,000平方メートルとしてよいか〕(同日 同号)
- 同前〔消防長の行う消防用設備等の検査について〕(同日 同号)
- 消防法施行令第35条、第36条、消防法施行規則第31条の3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





