非常電源の自家発電設備では、絶縁抵抗を測ると聞いても、発電機だけを測ればよいのか、制御盤や始動用の回路まで含めるのか迷いやすいところです。
消防庁の点検要領は、総合点検で確認する電路を具体的に挙げています。
絶縁抵抗は発電機だけで終わらせず、点検要領に示された7つの回路・機器群を、停電と安全確認の手順のうえで確認します。
発電機の絶縁抵抗は、発電機だけ測ればよいのでしょうか。
いいえ。
主回路・界磁・制御回路など、点検要領が示す範囲を確認します。
回路が多いので、止めずに測ってもよいですか。
測定前に電源遮断と検電による安全確認を行うことが前提です。
- 自家発電設備の絶縁抵抗は総合点検の確認項目です。
- 対象には発電機の主回路・界磁回路・制御回路が含まれます。
- 電磁弁・始動補助装置用ヒータとそれぞれの回路も確認対象です。
- 各種電動機と始動電動機およびそれぞれの回路も確認します。
- 点検は電気主任技術者と防火管理者の立会いのもとで行うことが望ましいとされています。
対象範囲を回路図で照合してから点検します。
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目次
自家発電設備の絶縁抵抗はなぜ確認するのか

自家発電設備は、火災時などに消防用設備等へ電力を供給する非常電源です。総合点検では接地抵抗と並び、絶縁抵抗を確認します。
消防庁の点検要領は、非常電源として設置される自家発電設備について、電気事業法による自家用電気工作物としての適用を受けるため、施設に選任された電気主任技術者と防火管理者の立会いのもとで点検することが望ましいとしています。
抵抗値だけでなく、どの電路を確認したかが点検の中身になります。
総合点検では、電気の専門家との連携が必要なのですね。
はい。
消防用設備の点検と電気保安を切り離さずに計画します。
絶縁抵抗で確認する7つの範囲はどこか

点検要領の第24-5表の直前には、絶縁抵抗を確認する範囲が列挙されています。発電機の主回路は、主回路の遮断器または断路器の1次側までとされ、これに界磁回路、制御回路が続きます。
さらに、各種電磁弁と同回路、始動補助装置用の各種ヒータと同回路、各種電動機と同回路、始動電動機と同回路が挙げられています。
「発電機本体だけ」という捉え方では、始動や制御に関わる範囲を取りこぼします。
- 主回路(遮断器または断路器の1次側まで)
- 界磁回路と制御回路
- 各種電磁弁・始動補助装置用各種ヒータと各回路
- 各種電動機・始動電動機と各回路
始動に関係するヒータや電動機まで確認するのですね。
そうです。
点検票と回路図で対象の有無を一緒に確認します。
抵抗値はどのように判定するのか

第24-5表は、電路の使用電圧の区分ごとに必要な絶縁抵抗値を定めています。300ボルト以下で対地電圧150ボルト以下は0.1メガオーム、同150ボルト超300ボルト以下は0.2メガオーム、300ボルトを超えるものは0.4メガオームです。
高圧電路は別で、3,000ボルト高圧電路は3.0メガオーム、6,000ボルト高圧電路は6.0メガオームとされています。回路の電圧区分と測定値を対応させて判定します。
数値だけを横並びで比べず、どの回路をどの電圧区分で測ったかを記録で追える状態にします。
低圧と高圧では、見るべき値が違うのですね。
はい。
使用電圧の区分を先に確定してから判定します。
実務で見落としやすい注意点はなにか

絶縁抵抗の測定は、測定器を当てれば終わりではありません。点検要領は、接地抵抗の測定について、電源を確実に遮断し、さらに検電器等で完全に遮断され安全であることを確認してから測定すると明記しています。
絶縁抵抗でも、通電状態や接続された機器の条件を無視して実施すると、設備の停止や機器への影響につながります。点検手順・回路図・メーカーの指示を照合し、必要な知識と技能を持つ者が実施してください。
防火管理者は、自分で測定することより、対象範囲と安全手順が点検計画に入っているかを確認する役割があります。
点検日に設備を止められるか、先に調整しておく必要がありますね。
そのとおりです。
運用への影響と安全確保を事前に共有します。
点検前に何を確認すればよいのか

まず、現場の回路図と点検票を用意し、主回路・界磁回路・制御回路、始動装置に関係する機器が実際にどう構成されているかを点検業者と確認します。
次に、停電・切替・安全確認の段取りを施設運用側と調整します。すでに他の法令による点検が実施されている場合に、その測定値を用いることができる扱いもあるため、既存の保安記録もあわせて確認します。
点検後は、測定した回路、電圧区分、測定値、措置内容が点検記録で追えることを確かめましょう。
回路図と点検票を先にそろえれば、確認漏れを防げそうです。
はい。
対象・手順・記録の順に確認すると整理しやすくなります。
よくある質問
まとめ
✔ 自家発電設備の絶縁抵抗は総合点検の確認項目です。
✔ 主回路・界磁回路・制御回路を確認します。
✔ 電磁弁とヒータの回路も対象です。
✔ 電動機と始動電動機の回路も対象です。
✔ 基準値は使用電圧の区分で確認します。
✔ 測定前に安全な遮断状態を確認します。
✔ 回路図・点検票・記録を照合します。
次回点検では、回路図と記録の両方を確認します。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
監修:㈱防災屋
参考・出典
※本記事は公表されている消防庁資料に基づく一般的な解説です。個別の点検方法は設備の仕様、保安規程および所轄の運用に応じて確認してください。





