指定数量以上の危険物を、期間を区切って現場に置く。
その申請書の様式は、かつて消防本部ごとにまちまちでした。
平成31年、消防庁は仮貯蔵・仮取扱いの承認申請書と危険物保安監督者選任の実務経験証明書について共通の様式例を示しました。
通知が示したのは全国どこでも同じ書式で申請できる仕組みです。
仮貯蔵の申請書を出そうとしたら、消防本部ごとに書式が違うと言われました。
毎回一から作り直すのでしょうか。
いいえ、今は全国共通の標準書式があります。
まずはその中身から確認しましょう。
危険物保安監督者を選任するときの実務経験証明書も、書式で迷っていました。
それも同じ通知に含まれています。
対象になる2つの手続きを順に見ていきます。
- 危険物仮貯蔵・仮取扱い承認申請書と危険物保安監督者選任の実務経験証明書は、規制改革実施計画を受けて全国共通の標準書式が示されました
- 標準書式は消防法第10条第1項ただし書と危険物の規制に関する規則第48条の3に基づく手続きが対象です
- 別添1に承認申請書、別添2に実務経験証明書の様式例と記入要領が示され、電子データも消防庁ホームページで公開されています
- 通知は消防組織法第37条の助言として発出されたもので、地域の実情に応じた運用が認められています
- 仮貯蔵・仮取扱いの期間は10日以内と定められており、申請書にもその範囲で記入します
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目次
危険物の仮貯蔵申請書はなぜ全国共通になったのか

その様式が自治体ごとに違うことが、平成30年の規制改革実施計画で課題として取り上げられました。
通達や告示ではなく、規制改革実施計画という行政改革の枠組みが先にありました。
仮貯蔵・仮取扱いの承認申請と危険物保安監督者選任の実務経験証明は、事業者にとって珍しい手続きではありません。
それでも様式が消防本部ごとに違えば、複数の拠点を持つ事業者ほど負担が増えます。
そこで消防庁が全国消防長会や事業者団体の意見を聞いたうえで、標準的な様式例を作って周知したのがこの通知です。
うちは複数の事業所があるので、拠点ごとに書式が違うと地味に手間でした。
その手間を減らすために生まれた通知です。
次はどの手続きが対象になるかを確認しましょう。
標準書式はどの手続きを対象にしているのか

どちらも、指定数量以上の危険物を扱う事業者に関わる場面です。
指定数量以上の危険物は、原則として貯蔵所や取扱所でしか扱えません。
ただし所轄消防長又は消防署長の承認を受ければ、10日以内に限って例外的に仮の貯蔵・取扱いができます。
もうひとつは、危険物保安監督者を選任・解任するときに添える実務経験証明書です。
危険物の規制に関する規則第48条の3に基づく届出に、6月以上の実務経験を証明する書類として添付します。
仮貯蔵の話だと思っていたら、保安監督者の届出も同じ通知だったんですね。
はい、2つの手続きがセットで整理されました。
次は様式の中身を見ていきます。
標準書式は具体的に何を示しているのか

それぞれに記入例と記入要領までセットになっています。
別添1は仮貯蔵・仮取扱い承認申請書、別添2は実務経験証明書で、どちらも記入例と記入要領が付いています。
記入要領には項目ごとの書き方が番号付きで示されており、初めて申請する事業者でも迷いにくい作りです。
さらにWordやExcelなどの電子データが消防庁ホームページで公開されており、そのままパソコンで入力できます。
各自治体のホームページにも同じ様式データを掲載するよう、消防庁から配慮が求められています。
記入例まであるなら、初めての申請でも迷わずに済みそうです。
電子データを使えば手書きの手間も省けます。
ただし、そのまま使えるとは限りません。
標準書式のままでは通らないことがあるのはなぜか

しかし通知はそこまでは約束していません。
記入要領自体が、地域の実情に応じて欄を追加したり別紙を添付させたりする運用を認めています。
さらにこの通知は、消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されたものです。
助言は指導や勧告と並ぶ技術的な関与であり、所轄消防機関の判断を上書きする強制力は持ちません。
インターネットで見つけた様式をそのまま使う前に、所轄消防本部が独自の様式や添付書類を定めていないかを確かめておく必要があります。
せっかく共通書式があると思ったのに、結局は消防本部次第なんですね。
土台は共通でも、最後に確認するのは所轄消防機関です。
次は申請前の確認事項を整理します。
仮貯蔵を申請する前に何を確認すればよいのか

確認する順番を間違えると、期限が短い手続きだけに手戻りが響きます。
独自の様式や添付書類の指定があれば、そちらが優先されます。
様式が案内されていなければ、消防庁の標準書式を使えるか窓口に問い合わせます。
仮貯蔵・仮取扱いの期間は10日以内で記入する決まりなので、開始日と終了日を先に決めてから申請書に落とし込みます。
危険物保安監督者の実務経験証明書は、証明者となる事業所代表者の押印に時間がかかることがあるため、早めに動き出すと安心です。
様式より先に、うちの所轄消防本部の運用を確認する方が早そうです。
その一本の電話が一番の近道です。
次はよくある質問で細かい点を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
まず所轄消防本部に聞けばいいと分かりました。
すっきりしました。
標準書式、10日以内の期間、そして所轄消防機関への確認。
この3つを押さえれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物仮貯蔵・仮取扱い及び危険物保安監督者の選任に係る申請書類の標準書式について(平成31年2月14日消防危第34号、令和2年12月改正消防危第301号)
- 消防法第10条第1項
- 危険物の規制に関する規則第48条の3
- 消防組織法第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





