消防用設備等の非常電源といえば、非常電源専用受電設備や自家発電設備、蓄電池設備を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実はもう一つ、キュービクル式の燃料電池設備という選択肢が加わっていることをご存知でしょうか。
消防庁は規制改革の方針を踏まえて省令を改正し、燃料電池設備を非常電源として使えるようにしました。
ただし、すべての消防用設備等に使えるわけではなく、対象外になる設備もはっきり決まっています。
非常電源って、専用受電設備か自家発電設備か蓄電池のどれかですよね。
実はもう一つ、燃料電池設備も選べるようになっています。
へえ、初めて聞きました。
どんな設備でも使えるんですか。
いいえ、対象外になる設備が決まっています。
順番に見ていきましょう。
- 消防用設備等の非常電源に、非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備に加えて燃料電池設備が選べるようになった
- 根拠は「消防法施行規則等の一部を改正する省令」(平成17年総務省令第33号)
- 対象外になるのは自動火災報知設備・非常警報設備・無線通信補助設備の3つ
- 燃料電池設備はキュービクル式であることと消防庁長官が定める基準への適合が必要
- 燃料電池設備の追加部分は、他の規定より1年遅い平成18年4月1日から施行された
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目次
消防用設備等の非常電源になぜ燃料電池設備が加わったのか

そこに新しく加わったのが、燃料電池設備です。
省令の名称は「消防法施行規則等の一部を改正する省令」(平成17年総務省令第33号)で、平成17年3月22日に公布されました。
背景にあるのは、当時進んでいた燃料電池の技術開発で、非常用電源としての性能が実用段階に達したという判断です。
同じ検討の中では、ナトリウム・硫黄電池やレドックスフロー電池、マイクロガスタービンといった技術も俎上に載っていました。
非常電源が増えるのはありがたいですけど、なんで燃料電池だったんですか。
規制改革の方針で、技術開発が進んだ設備から順に対象を広げていったんです。
どの消防用設備に燃料電池設備を使えるのか

除外される設備がはっきり決まっています。
逆に言えば、屋内消火栓設備や不活性ガス消火設備、誘導灯など、それ以外の消防用設備等には燃料電池設備を使えます。
なぜこの3つが除外されたのか理由までは書かれていませんが、火災の初期に確実な作動が求められる警報・通信系統だからと考えられます。
実務では、導入を検討している設備が対象に含まれるかどうかを最初に確認する必要があります。
うちの受信機の非常電源、燃料電池に変えられますか。
自動火災報知設備は対象外なので、蓄電池設備のままにしておく必要があります。
燃料電池設備にはどんな構造性能が求められるのか

構造と性能に細かい要件があります。
キュービクル式とは、機器を金属製の箱に収め、外部から容易に触れられないようにした構造のことです。
基準の中身は「燃料電池設備の基準」(平成18年消防庁告示第8号)に定められています。
同じ改正では、ナトリウム・硫黄電池やレドックスフロー電池は蓄電池設備の基準に、マイクロガスタービンは自家発電設備の基準にそれぞれ位置づける方針も示されていました。
キュービクル式って、普通の受変電設備の箱と同じイメージでいいんですか。
はい、機器を箱に収めて外部から触れにくくする考え方は共通です。
燃料電池設備を選ぶとき見落としやすいのはどこか

選ぶ前に確認しておきたい点です。
省令の公布自体は平成17年3月22日ですが、非常電源に燃料電池設備を加える第一の改正部分は平成18年4月1日からの適用です。
既存の設備台帳や見積りを確認する際は、この1年のずれを踏まえて実際に使える時期を確認する必要があります。
また、燃料電池設備には、直交変換装置を持つ一部の蓄電池設備のような非常電源から常用電源への自動切り替えという仕組みがなく、非常電源専用の設備として扱われます。
省令が出たらすぐ使えると思ってました。
燃料電池設備の追加部分だけは1年遅れの施行なので、時期の確認が必要です。
明日から何を確認しておけばよいのか

どれも設計や見積りの前に押さえておきたい項目です。
次に、燃料電池設備がキュービクル式であることと、消防庁長官が定める基準(燃料電池設備の基準)に適合していることを、製品の仕様書で確かめます。
既存の設備で燃料電池設備への更新を検討している場合は、平成18年4月1日以降の適用であることも踏まえてスケジュールを組みます。
最後に、燃料電池設備が常用電源と兼用できない非常電源専用の設備であることを、設計段階で関係者と共有しておきます。
導入前に何をチェックすればいいか、これで分かりました。
対象設備・キュービクル式・基準適合の3点を順番に確認していきましょう。
よくある質問
まとめ
対象設備と施行時期、忘れずに確認します。
それがいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「消防法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」(平成17年3月22日 消防予第54号消防庁予防課長・消防安第57号消防庁防火安全室長)
- 根拠省令 消防法施行規則等の一部を改正する省令(平成17年総務省令第33号)
- 根拠条文 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号、第19条、第24条の2の3、第28条の3
- 燃料電池設備の基準(平成18年消防庁告示第8号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





