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共同住宅用非常警報設備の音響装置はなぜ廊下型と階段室型で置き方が違うのか|起動装置の高さと一回線十五台までの上限も解説

共同住宅用非常警報設備の音響装置・起動装置・操作部の設置基準を示すアイキャッチ

共同住宅用非常警報設備には、音響装置の置き方や起動装置の高さまで細かい数値が決められています。
建物が廊下型か階段室型かによって、音響装置を置く間隔の決め方そのものが変わってくるためです。
さらに起動装置の高さや、一回線に接続できる機器の数にも上限があります。
今回は共同住宅用非常警報設備の音響装置・起動装置・操作部の設置基準を、告示と省令の条文から解説します。

うちのマンションの非常ベル、どこにでも適当に付いているのかと思っていました。

いいえ、建物の型ごとに置き方の基準が決まっているんです。

起動装置の高さにも決まりがあるんですか。

はい、順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 音響装置の音圧は、音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上と定められている
  • 一の起動装置の操作によって、当該特定共同住宅等に設ける音響装置を一斉に鳴動させることができる仕組みになっている
  • 廊下型特定共同住宅等は、廊下の各部分から一の音響装置までの水平距離が二十五メートル以下となるように設ける
  • 階段室型特定共同住宅等は、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに音響装置を設けることができる
  • 起動装置は床面からの高さが〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所に設ける

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共同住宅用非常警報設備の音響装置・起動装置・操作部の設置基準を示す図解

音響装置はなぜ九十デシベル以上・一斉に鳴動する仕組みなのか

複数の階の音響装置が同時に音波を発するイラスト
共同住宅用非常警報設備は、自動火災報知設備とは別に設けられる独立した警報設備です。
まずこの設備の心臓部にあたる音響装置が、どんな音圧・鳴らし方で設けられているのかを条文から確認します。
問1 共同住宅用非常警報設備の音響装置は、どのように定めるところにより設けることとされているか。
答1 音響装置は、非常ベル又は自動式サイレンの音響装置とし、次に定めるところによること。音圧は、音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上であること。一の起動装置の操作によって、当該特定共同住宅等に設ける音響装置を一斉に鳴動させることができること。(住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準・平成十八年消防庁告示第十九号第四第一号(一)(二))
音圧の基準は九十デシベル以上です。
これは一般の非常ベルやサイレンにも共通する数値で、共同住宅だからといって緩められているわけではありません。
共同住宅用ならではの特徴は、むしろ鳴らし方のほうにあります。
一の起動装置を押せば、その特定共同住宅等に設けたすべての音響装置が一斉に鳴動する仕組みになっているのです。

自火報みたいに、火元の階だけ鳴るわけじゃないんですね。

はい、非常警報設備はまず一斉に知らせる仕組みなんです。

廊下型特定共同住宅等ではなぜ音響装置を二十五メートル間隔で置くのか

廊下に等間隔で並ぶ音響装置のイラスト
一斉に鳴る仕組みだとしても、そもそも音響装置をどれくらいの間隔で置けばよいのでしょうか。
建物の型によって基準が分かれる、その一つ目を確認します。
問2 廊下型特定共同住宅等では、音響装置をどのように設けることとされているか。
答2 廊下型特定共同住宅等にあっては、廊下の各部分から一の音響装置までの水平距離が二十五メートル以下となるように設けること。(同告示第四第一号(三))
廊下型特定共同住宅等は、各階の住戸が共用の廊下でつながっている構造です。
この型では水平距離二十五メートルという数値で、廊下のどこにいても音が届く範囲を確保しています。
廊下の端から端まで一様に歩いて聞こえる距離で区切る、という発想です。

廊下の長さに合わせて、何台か並べて置く感じなんですね。

はい、廊下型はこの水平距離で判断します。

階段室型特定共同住宅等ではなぜ「階数三以内ごと」でよいのか

階段室に三階ごと設置された音響装置のイラスト
廊下型とは別の型として、階段室型特定共同住宅等があります。
この型では、廊下型のような水平距離ではなく別の物差しが使われています。
問3 階段室型特定共同住宅等では、音響装置をどのように設けることとされているか。
答3 階段室型特定共同住宅等にあっては、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに設けること。(同告示第四第一号(四))
階段室型特定共同住宅等は、各住戸が共用の廊下を介さず階段室から直接出入りする構造です。
この型では水平距離ではなく、階数三以内ごとという縦方向の物差しで音響装置を配置します。
横につながる廊下が無い分、階段室を縦にたどる形で音が届く範囲を区切っていると考えられます。

廊下型はメートル、階段室型は階数で数えるんですね。

はい、建物の構造に合わせた物差しの違いです。

起動装置はなぜ各階の階段付近・床から〇・八〜一・五メートルの高さと決まっているのか

階段付近に設置された起動装置と高さを示すイラスト
音響装置を鳴らす側の起動装置についても、置き場所と高さが定められています。
一般の非常警報設備の基準がどこまで引き継がれ、どこが共同住宅用として読み替えられているのかを確認します。
問4 共同住宅用非常警報設備の起動装置は、どのように設けることとされているか。
答4 起動装置は、規則第二十五条の二第二項第二号の二(イを除く。)の規定によるほか、各階ごとに、階段付近に設けること。ただし、階段室型特定共同住宅等にあっては、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに設けることができることとする。(同告示第四第二号) なお、同号の規定により、床面からの高さが〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所に設け、起動装置の直近の箇所に表示灯を設けることとされている。(消防法施行規則第二十五条の二第二項第二号の二ロ・ハ)
一般の非常警報設備の起動装置には「各階の各部分から歩行距離五十メートル以下」という設置間隔の基準がありますが、共同住宅用ではこの歩行距離の規定が除外され、代わりに「各階ごとに、階段付近」という置き場所の指定に読み替えられています。
高さは〇・八メートル以上一・五メートル以下という、一般の非常警報設備と共通の基準がそのまま使われます。
住戸ごとに廊下や階段室が分かれている共同住宅では、歩行距離で間隔を測るより階段の近くに置くほうが実際に押しやすいと考えられます。

五十メートルの基準だけ、共同住宅では要らなくなるんですね。

はい、その分だけ階段付近という指定に変わっています。

操作部の一回線あたり音響装置・表示灯はなぜ十五以下と決まっているのか

操作部から音響装置と表示灯に配線が分岐するイラスト
最後に、起動装置と連動して警報を発する操作部そのものの基準を確認します。
問5 共同住宅用非常警報設備の操作部は、どのように設けることとされているか。
答5 操作部(起動装置と連動し、又は手動により警報を発するものをいう。)は、次に定めるところによること。点検に便利で、かつ、雨水等のかかるおそれの少ない場所に設けること。一回線に接続することができる音響装置及び表示灯の個数は、それぞれ十五以下とすること。(同告示第四第三号(一)(二))
設置場所は点検に便利で雨水等のかかるおそれの少ない場所という条件です。
そして一回線に接続できる音響装置及び表示灯の個数は、それぞれ十五以下と上限が決まっています。
一回線に機器を詰め込みすぎないことで、一部の配線が断線したときに影響が及ぶ範囲を絞り込んでいると考えられます。

台数を絞ることで、故障したときの影響範囲も絞れるんですね。

はい、回線ごとに台数を区切る考え方です。

よくある質問

Q共同住宅用非常警報設備の音響装置は、どのくらいの音圧で鳴らなければなりませんか?
A音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上であることとされています。また一の起動装置の操作によって、当該特定共同住宅等に設ける音響装置を一斉に鳴動させることができる仕組みになっています。
Q廊下型特定共同住宅等と階段室型特定共同住宅等で、音響装置の置き方はどう違いますか?
A廊下型特定共同住宅等は、廊下の各部分から一の音響装置までの水平距離が二十五メートル以下となるように設けます。階段室型特定共同住宅等は、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに設けることとされています。
Q起動装置はどこに、どのくらいの高さに設ければよいですか?
A各階ごとに階段付近へ設けます(階段室型特定共同住宅等は階数三以内ごとでもよいとされています)。高さは床面から〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所とし、直近に表示灯を設けることとされています。
Q一回線に接続できる音響装置や表示灯の数に上限はありますか?
Aあります。一回線に接続することができる音響装置及び表示灯の個数は、それぞれ十五以下とすることとされています。

まとめ

✔共同住宅用非常警報設備の音響装置は、音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上の音圧が必要である
✔一の起動装置の操作で、音響装置を一斉に鳴動させることができる仕組みになっている
✔廊下型特定共同住宅等は、一の音響装置までの水平距離が二十五メートル以下となるように設ける
✔階段室型特定共同住宅等は、一階及び当該階から上方に数えた階数三以内ごとに音響装置を設けることができる
✔起動装置は各階の階段付近に設け、床面からの高さは〇・八メートル以上一・五メートル以下とする
✔起動装置の直近には表示灯を設けることとされている
✔一回線に接続できる音響装置及び表示灯の個数は、それぞれ十五以下とされている

共同住宅用非常警報設備の置き方の基準がよくわかりました。

建物が廊下型か階段室型かをまず確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成十八年五月三十日消防庁告示第十九号)第四
  • 消防法施行規則第二十五条の二第二項第二号の二

※本記事は公表されている法令および告示に基づく一般的な解説です。設計・施工に関する個別の判断は、所轄消防署または消防設備士にご確認ください。

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