BLOG

住宅用防災報知設備はなぜ警報器と別に定められているのか|受信機と補助警報装置の技術基準を解説

住宅用防災報知設備はなぜ警報器と別に定められているのかを示すアイキャッチ画像

住宅用防災機器と一口にいっても、実は2種類あることをご存知でしょうか。
多くの住宅で使われているのは、天井や壁に取り付けた警報器が単体で作動するタイプです。
これとは別に、複数の感知器を受信機でまとめて管理する住宅用防災報知設備という仕組みも法令上定められています。
この記事では、住宅用防災報知設備の仕組みと、その補助警報装置に求められる技術基準を解説します。

うちは寝室に警報器を1個つけただけなんですが、それで十分ですか。

住宅用防災警報器と住宅用防災報知設備は別物ですよ。
どちらを選ぶかで仕組みが変わります。

報知設備というのは初めて聞きました。

受信機でまとめて管理するタイプです。
順番に確認しましょう。

この記事の結論
  • 住宅用防災機器には住宅用防災警報器と住宅用防災報知設備の2種類があります
  • 後者は感知器・中継器・受信機・補助警報装置で構成されます
  • 設置場所の基準は寝室や直下階段などどちらを選んでも共通です
  • 補助警報装置の警報音は70デシベル以上の音圧を1分間以上継続できることが必要です
  • 補助警報装置には補助警報装置という文字などの表示義務があります

住宅用防災報知設備の補助警報装置の基準を機器の種類・設置場所・警報の伝え方・表示と点検の4手順で示した図解

住宅用防災報知設備とはどんな設備を指すのか

単体型の住宅用防災警報器と、感知器と受信機と補助警報装置で構成された住宅用防災報知設備を並べた様子
住宅用防災機器と一口にいっても、実は2つの種類に分かれます。
多くの住宅で使われているのは単体で作動する警報器のほうです。
住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第2条第2号 住宅用防災報知設備 住宅における火災の発生を未然に又は早期に感知し、及び報知する火災報知設備であつて、感知器、中継器、受信機及び補助警報装置で構成されたもの(中継器又は補助警報装置を設けないものにあつては、中継器又は補助警報装置を除く。)をいう。
住宅用防災報知設備は、複数の感知器を1台の受信機でまとめて管理する仕組みです。
一般的な住宅用防災警報器は、天井や壁に取り付けた1台1台が独立して音を出す単体型の警報器です。
これに対し住宅用防災報知設備は、各部屋の感知器が拾った火災信号を受信機に集約し、必要に応じて補助警報装置で住宅内の別の場所にも伝える仕組みになっています。
部屋数が多い住宅や、警報音の届きにくい間取りで採用が検討される設備です。
次の見出しでは、どちらを選んでも共通する設置基準を確認します。

警報器のほかにもう一つ種類があったんですね。

はい。
次は選び方の基準を見ていきます。

住宅用防災報知設備はどんな基準で設置場所を選べばよいのか

寝室の天井に取り付けた警報器と、階段の吹き抜け上部に取り付けた警報器
住宅用防災警報器か住宅用防災報知設備か、どちらを選ぶかは設置者の判断に委ねられています。
ただし設置しなければならない場所の基準は、法令で共通して定められています。
消防法施行令第5条の7第1項第1号 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、次に掲げる住宅の部分(略)に設置すること。イ 就寝の用に供する居室(略) ロ イに掲げる住宅の部分が存する階(避難階を除く。)から直下階に通ずる階段(屋外に設けられたものを除く。) ハ (略)総務省令で定める部分
設置場所の基準は、住宅用防災警報器を選んでも住宅用防災報知設備を選んでも変わりません。
条文はどちらの機器も併記した上で、寝室寝室がある階から直下階に下りる階段を基本の設置場所として挙げています。
そのため住宅用防災報知設備を選ぶ動機は設置場所が増えることではなく、複数の感知器を1か所で管理したい、離れた部屋にも警報を伝えたいといった運用面の事情にあります。
なお、スプリンクラー設備や自動火災報知設備を技術基準どおりに設置している場合は、その有効範囲内で設置を省略できる規定もあります。
自宅がどちらの機器で基準を満たしているかは、まず受信機のような操作盤があるかどうかで見分けられます。

寝室と階段は共通なんですね。

そうです。
設置場所の基準はどちらを選んでも変わりません。

補助警報装置には何が求められるのか

壁に取り付けられた補助警報装置から音波と光が同時に発せられている様子
住宅用防災報知設備の受信機が火災を検知しても、住宅の隅々まで確実に伝わるとは限りません。
そこで補助警報装置には一定の性能基準が定められています。
住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第9条 住宅用防災報知設備の補助警報装置の火災警報は、次に定めるところによらなければならない。一 警報音により火災警報を発する(略)補助警報装置における音圧は(略)無響室で(略)警報部の中心から前方一メートル離れた地点で測定した値が、七十デシベル以上であり、かつ、その状態を一分間以上継続できること。 二 警報音以外により火災警報を発する(略)補助警報装置にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるものであること。
補助警報装置の警報は、音の大きさだけでなく伝わり方そのものが基準の対象になっています。
警報音で知らせるタイプは70デシベル以上の音圧を1分間以上出し続けられることが条件です。
一方で、音だけに頼らない補助警報装置も認められており、光や振動など警報音以外の方法で住宅内の人に有効に伝えられれば基準を満たします。
就寝時や聴覚に配慮が必要な家族がいる住宅では、この代替手段が選択肢になります。
補助警報装置を選ぶときは、伝え方が住宅の間取りや家族構成に合っているかを確認してください。

補助警報装置にも基準があるんですね。

はい。
音の大きさだけでなく光や振動でもよいとされています。

実務で見落としやすいのはどこか

補助警報装置に刻まれた表示ラベルと、受信機から点線でつながれた補助警報装置
住宅用防災報知設備を導入すると決めたときに、見落としやすい点が2つあります。
ひとつは表示、もうひとつは補助警報装置の位置づけです。
住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第10条 住宅用防災報知設備の補助警報装置には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示しなければならない。一 補助警報装置という文字 二 製造年 三 製造事業者の氏名又は名称 四 この省令の規定に適合することを第三者が確認した場合にあつては、その旨及び当該第三者の名称
補助警報装置には、単体の警報器と同じように表示義務があります。
「補助警報装置」という文字のほか、製造年製造事業者の氏名または名称を見やすい箇所に表示しなければなりません。
もうひとつ見落としやすいのが、補助警報装置は住宅用防災報知設備を選んだからといって必ず設置しなければならない機器ではないという点です。
定義規定でも「中継器又は補助警報装置を設けないものにあつては、中継器又は補助警報装置を除く」とされており、必要に応じて追加する構成要素として位置づけられています。
すべての部屋に補助警報装置を付けるかどうかは、住宅の間取りや家族の状況に応じて判断できます。

補助警報装置は必ず付けないといけないんですか。

いいえ。
必要に応じて追加する任意の装置です。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを手にした人物が受信機の前で確認している様子
自宅の住宅用防災機器がどちらのタイプかを確認するところから始めましょう。
そのうえで、必要な性能が備わっているかを順番にチェックします。
消防法施行令第5条の7第2項 前項に規定するもののほか、住宅用防災機器の設置方法の細目及び点検の方法その他の住宅用防災機器の設置及び維持に関し住宅における火災の予防のために必要な事項に係る法第九条の二第二項の規定に基づく条例の制定に関する基準については、総務省令で定める
設置方法の細目や点検の方法は、最終的に市町村条例に委ねられています。
まず自宅の住宅用防災機器が住宅用防災警報器住宅用防災報知設備のどちらなのかを、受信機の有無で確認してください。
住宅用防災報知設備であれば、補助警報装置の有無と、その警報が音によるものか音以外の方法によるものかをあわせて確認します。
補助警報装置に表示された補助警報装置という文字や製造年から、基準に適合した製品かどうかの手がかりが得られます。
点検の周期や具体的な運用は市町村条例で定められているため、不明な点は所轄の消防署に確認するのが確実です。

まず自分の家がどちらのタイプか確認してみます。

それが最初の一歩です。
受信機があれば住宅用防災報知設備だと分かります。

よくある質問

Q住宅用防災報知設備を選べば補助警報装置も必ず設置しなければなりませんか?
Aいいえ。補助警報装置は必要に応じて設ける任意の構成要素で、設けない場合は中継器とあわせて除くことができます。
Q補助警報装置の警報は音でなければなりませんか?
Aいいえ。警報音のほか、光や振動など警報音以外の方法で有効に報知できるものであれば基準を満たします。
Q住宅用防災警報器と住宅用防災報知設備はどちらを選んでも設置場所の基準は同じですか?
Aはい。就寝の用に供する居室や直下階に通ずる階段など、消防法施行令が定める設置場所はどちらを選んでも共通です。
Q補助警報装置にはどんな表示が必要ですか?
A補助警報装置という文字・製造年・製造事業者の氏名または名称などを見やすい箇所に容易に消えないように表示する必要があります。

まとめ

住宅用防災機器には住宅用防災警報器と住宅用防災報知設備の2種類があります
住宅用防災報知設備は感知器・中継器・受信機・補助警報装置で構成されます
設置場所の基準は寝室や直下階段などどちらを選んでも共通です
補助警報装置の警報音は70デシベル以上を1分間以上継続できることが必要です
警報音以外の方法(光や振動など)で報知する補助警報装置も認められます
補助警報装置には補助警報装置という文字・製造年・製造事業者名などの表示義務があります
補助警報装置は必要に応じて追加する任意の構成要素であり、必ず設置しなければならないものではありません

分かりました!自分の家の設備を確認してみます!

確認して不明な点があれば相談してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の7
  • 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成17年総務省令第11号)第2条・第9条・第10条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
住宅用防災報知設備はなぜ警報器と別に定められているのかを示すアイキャッチ画像
住宅用防災機器と一口にいっても、実は2種類あることをご存知でしょうか。 多くの住宅で使われているのは、天井や壁に取り付けた警報器が単体で作動するタイプです。 これとは別に、複数の感知器を受信機でまとめて管理する住宅用防災...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →