大きな地震の朝、防火管理者が出勤できないと分かったら、病院の火災予防と初動対応は誰が引き継ぐのでしょうか。
患者や来院者がいる施設では、担当者が到着するまで何もしないわけにはいきません。
その場にいる職員へ頼むだけでは、判断できる範囲や連絡先が曖昧になります。平常時から代行者を指名し、必要な権限と資料を引き継ぎ、消防計画とBCPの指揮順をそろえることが重要です。
防火管理者が来られません。
誰が動けばええですか。
事前に指名した代行者が動きます。
名前だけ決めたら足りますか。
権限と連絡順も決めましょう。
- 病院では防火管理者が不在のときに備え代行者をあらかじめ指名します
- 代行者には判断できる範囲と連絡先を渡します
- 不在時の代行は防火管理者の選任変更ではありません
- 消防計画とBCPで代行順位と発動条件を一致させます
- 訓練では通報と避難と消防隊への引継ぎまで確認します
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目次
防火管理者が来られないとき病院は誰が動くのか

平常時に指名した代行者が防火管理の事務を引き継ぎます。
総務省消防庁の「病院等における防火・防災対策要綱」は、防火管理者が病院等に不在のとき、あらかじめ指名する者に防火管理の事務を行わせることを示しています。
代行者は災害当日に思いつきで選ぶのではありません。
誰が最初に代行するか、不在なら次に誰が引き継ぐか、いつ権限を戻すかまで決めます。
当直責任者なら自動で代行者ですか。
自動とは限りません。
消防計画で指名します。
どの病院と勤務時間を対象に確認するのか

建物だけでなく診療時間と夜間休日と勤務シフトまで確認します。
同じ病院でも、平日の昼間と夜間では在館する管理職、設備担当者、看護職員、警備員が変わります。
- 防火管理者と代行候補者の通常勤務時間
- 夜間休日に館内へ残る患者と職員
- 避難に支援が必要な病棟や区画
- 防災センターや守衛室の常駐体制
- 消防設備と館内放送の操作担当
- 管理権原者と所轄消防署への連絡経路
短時間の不在か、退職や長期離脱かも区別します。
短時間は指名済み代行者による継続、長期の空席は新たな防火管理者の選任、組織変更は消防計画と届出の見直しにつなげます。
夜勤帯も別に考えるんですか。
はい。
実際の勤務者で決めます。
代行者へ何をどの順番で引き継ぐのか

肩書ではなく実際に動くための権限と情報と道具を渡します。
病院等における防火・防災対策要綱は、消防計画に通報連絡、初期消火、避難誘導などの体制と対応方法を定める考え方を示しています。
- 不在を確認した時刻と代行開始を記録する
- 院内の被害と火災危険と設備を確認する
- 通報班と消火班と避難誘導班へ指示する
- 避難支援が必要な患者の区画を優先する
- 管理権原者とBCP対策本部へ報告する
- 消防隊へ設備と患者と危険区画を伝える
- 防火管理者へ判断と対応記録を引き継ぐ
緊急ファイルには、消防計画、院内図、設備配置図、連絡網、鍵の管理方法をまとめます。
館内放送を指示する権限、使用停止区画を決める権限、消防隊へ情報を渡す窓口を明確にします。
連絡網だけあれば動けますか。
連絡先だけでは足りません。
判断権限と資料も要ります。
代行者を防火管理者の交代と扱うと何を見落とすのか

不在時の代行は選任された防火管理者を入れ替える意味ではありません。
法令上の防火管理者は管理権原者が選任し、消防署へ届け出る立場です。
BCPの対策本部長と、防火管理の代行者が別人になることもあります。
人命安全と火災予防の判断経路、診療継続の判断経路、意見が分かれたときの優先順位を整理します。
- 代行開始の条件が口頭だけになっている
- 判断できる範囲が決まっていない
- BCP対策本部との報告先が二重になる
- 夜間の候補者も参集できない
- 鍵や消防計画が本人の席にしかない
- 対応記録を戻す方法が決まっていない
代行者を届け出るんですか。
選任変更とは別です。
消防計画の運用で整理します。
明日から不在時の引継ぎをどう確認するのか

消防計画とBCPを並べ代行者と順位と発動条件が同じか確認します。
内閣府の事業継続ガイドラインも、緊急時の体制、役割、指揮命令系統を明確にし、代行者と代行順位を定める考え方を示しています。
- 本人が来られない想定を一つ決める
- 昼間と夜間休日の代行者を並べる
- 代行開始と終了の条件を書き出す
- 権限と報告先を役割ごとに確認する
- 消防計画と院内図と鍵を取り出す
- 通報から消防隊引継ぎまで訓練する
- 訓練記録から両方の計画を直す
訓練では本人不在のまま開始し、記録を残しながら判断し、最後に防火管理者へ引き戻すところまで行います。
訓練は本人抜きでやるんですか。
不在想定で試します。
本当に引き継げるか分かります。
よくある質問
まとめ
代行者と権限を決めます!
消防計画とBCPを一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※本記事は公表されている法令および消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。代行者の指定方法や消防計画への記載と届出の要否は病院の規模と体制に応じて所轄消防署へ確認してください。人命安全、診療継続、患者情報の取扱い、職員の権限、夜間休日の勤務体制は院内規程とあわせてご検討ください。





