タンクローリーに後から装置を足したい。
ポンプ、加熱装置、流れを確かめる覗き窓。どれも現場の必要から出てくる話です。
ところが同じ後付けでも、認められるものと認められないものがあります。
分かれ目はどちら側に取り付けるかでした。
セミトレーラーの移動タンク貯蔵所に、車両のエンジンで動くポンプを乗せたいのですが。
それは認められないとされました。
ポンプの性能ではなく、けん引自動車とセミトレーラーが付け替わることが理由です。
同じ車両でも、タンクに加熱装置や保温装置を付けるのはどうでしょうか。
そちらは認めてさしつかえないとされています。
タンクと一緒に動く側に付くものは通っているのです。
- 被けん引車形式の移動タンク貯蔵所にポンプを設置することは認められないとされています
- 理由は、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されるため一体的な安全管理を行うことが困難であることによります
- 液体の硫黄を貯蔵するタンクに設ける加熱装置と保温装置は、認めてさしつかえないとされました
- ボトムローディング方式による危険物積込み設備は、その設置を認めてさしつかえないとされています
- 給油ホースの結合金具にサイトグラス及び弁を設けることは、さしつかえないとされました
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目次
被けん引車形式にポンプを乗せられるか

昭和57年4月28日付けの消防危第54号は、被けん引車形式の危険物移動タンク貯蔵所にポンプを乗せることの可否についての照会です。
当該車両のエンジンを利用したポンプを設置することを認めてよいか、認められない場合は通常のタンクローリーに使われている場合と区別する理由は何かというものでした。
照会側の別添資料には、ポンプの駆動源は当該車両のエンジンとし外部エンジンは使用しないこと、タンク付属配管とポンプの間にニトリルゴム製の緩衝装置を設け走行中はホースを取り外して収納箱に収め配管の継手に盲蓋をすることまで記されていました。
後段 セミトレーラーにタンクが固定された移動タンク貯蔵所の場合、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるものであるので、一体的な安全管理を行うことが困難であることによる。
退けられた理由は、ポンプの構造でも駆動源でもありませんでした。
ポンプはトラクター側に取り付けることになりますが、けん引自動車とセミトレーラーは交換的に結合されて使われます。
つまり今日この車を引いていた頭が、明日は別のタンクを引いている。その状態では一体的な安全管理が困難だという判断です。
なお照会にはホースの材質や緊急レバーの位置、エンジンからの熱の遮断についての問いも含まれていましたが、回答はいずれも1により承知されたいとして、前提が成り立たない以上答える必要がないという整理をしています。
付け替わる側に付けることが問題なのですね。
一体で管理できないためです。
設備を付ける位置を、先に決めてください。
液体の硫黄を運ぶタンクに加熱装置を付けられるか

昭和56年12月9日付けの消防危第168号は、液体の硫黄を貯蔵する移動タンク貯蔵所の構造設備についての照会です。
硫黄は常温では固体なので、液体のまま運ぶには温度を保たなければなりません。
こちらも車両の形式は被牽引車形式のセミトレーラーです。
タンク材質 鋼板第2種SS-41
タンク板厚 胴板厚4.5ミリメートル 鏡板厚4.5ミリメートル
タンク内容量 7,800リットル
間仕切 なし
防波板 横揺はタンクの断面積の40.5パーセントを有する2枚、縦揺は63.9パーセントを有する4枚を設置
タンク上部 マンホール、液充填用ハッチ、安全弁及び通気コックを設ける
タンクの固定 タンクは後方に傾斜をつけ付属設備と共に取付金具にてシャーシーに強固に取付ける
加熱装置 液取出時の最低液温を保つためタンクの内部には8本の加熱管を設け必要に応じ蒸気にて加熱可能な構造とする
保温装置 タンクの外部には片側アルミ箔付グラスウールを施しこれをアルミ薄材で被覆し保温装置とする
加熱管はタンクの内部に8本、保温材はタンクの外側です。どちらもタンクと一体で動きます。
前の項目のポンプがトラクター側だったのに対し、こちらはトレーラー側に収まっている点が違います。
加熱管については耐圧15キログラム毎平方センチメートル、気密10キログラム毎平方センチメートルで検査するとされ、蒸気の条件も10キログラム毎平方センチメートル130度と具体的に示されていました。
なお、この基準そのものは昭和43年4月10日付けの消防予第105号により示されたものです。
タンク側に付く装置は、認められているのですね。
一緒に動くためです。
装置の取付位置を、図面で確かめてください。
ボトムローディング方式の積込み設備は認められるか

昭和57年2月5日付けの消防危第15号は、移動タンク貯蔵所への危険物注入設備の構造及びそれに伴う移動タンク貯蔵所の構造についての照会です。
従来のトップローディング方式はタンクの上から注ぎ入れる方式ですが、ボトムローディング方式は移動タンク貯蔵所の底部に配管を設け、そこから積み込みます。
積込み用のローディングアームの先端にはカプラーが取り付けられており、タンクローリーの配管の先端に設けられたアダプターに緊結した後、ローリーのタンク底弁を開いて危険物を積み込む仕組みです。
上から注ぐ方式では、開いたハッチから蒸気が立ち上り、作業員はタンクの上に登ることになります。
底部で結合してしまえばその両方がなくなります。
外れないための仕掛けが二重になっている点も見どころで、カムによる機械的な緊結に加え、バルブハンドルを操作しない限り外れないという操作上の順序が組み込まれています。
底から積み込む方式も、認められるのですね。
構造の指針が示されています。
導入するなら、指針の内容を確認してください。
積込み設備に求められた4つの措置

同じ回答は、設置を認めるにあたって条件を付けています。
ボトムローディング方式に伴う移動タンク貯蔵所の構造は基本的には昭和54年1月30日付けの消防危第5号によるとしたうえで、積込み時等の安全対策として4つの措置が示されました。
② 過剰積込み防止のため、タンク内各槽の上部にレベルセンサーを設け、液面がある一定値になつた場合センサーが感知し油の流れを遮断する構造とする
③ 移動貯蔵タンクのタンク底弁とアダプター間の配管部に発生する残油対策として払出配管を独立配管として保護枠を設置する。なお、配管部にも、タンク本体と同様の圧力検査を実施する
④ 通常の定量出荷コントロールとは別個に独立した過剰積込防止機構を備え、万一タンク室容量以上に積込みがなされようとした場合にこの積込みを自動的に遮断する
過剰積込みへの備えが②と④で二重になっているのが特徴です。
通常の出荷量の制御とは別に、それとは独立した機構をもう一つ持たせるという考え方で、片方が働かなくてももう片方が止めます。
回答はさらに、設置許可にあたって次の2点に留意し指導されたいとしています。
(2) ローデイングアームの中間パイプにフレキシブルホースを使用する場合にあつては、フレキシブルホースの構造を昭和56年3月9日付け消防危第20号「可撓管継手の設置等に関する運用基準について」の別添「可撓管継手に関する技術上の指針」に準じたものとすること
条件として、いくつも措置が求められるのですね。
過剰な積込みへの備えが重なっています。
設備の仕様に、すべて反映してください。
結合金具にサイトグラスと弁を設けてよいか

昭和57年3月29日付けの消防危第39号は、給油ホースの結合金具についての照会です。
貯蔵する危険物の流れの確認及び目視検査を行うため、結合金具にサイトグラス及び弁を設けることを認めてよいかというものでした。
取扱要領は、移動タンク貯蔵所の吐出口と緊結した後、結合金具のバルブを閉じた状態で吐出弁を開け、サイトグラスを覗いて危険物の目視検査を行つた後、結合金具のバルブを開けて取り扱うというものです。
サイトグラスは強化ガラス製で、耐圧試験圧力24キログラム毎平方センチメートル、最高使用温度300度という仕様が添えられていました。
なお、結合金具は、金属材料で作ることが原則であるので念のため申し添える。
認めたうえで、結合金具は金属材料で作ることが原則であるという一文が添えられました。
翌年の昭和57年4月19日付けの消防危第49号では、別の形のサイトグラスが問われています。
直径20ミリメートル、厚さ3ミリメートルの円板状で、材質は硬質塩化ビニールのものが2箇所付けられている例について、使用を認めてよいか、また移動タンク貯蔵所側または払出先タンク側のいずれにも使用してよいかという照会でした。
金属材料が原則というのは結合金具の本体についての話であり、覗くための窓の部分まで金属にせよという趣旨ではないと読めます。
確認のための部品にも、判断があるのですね。
取扱いの手順まで見られます。
採用するなら、操作の要領を書面にしてください。
よくある質問
まとめ
- 被けん引車形式の危険物移動タンク貯蔵所に当該車両のエンジンを利用したポンプを設置することは、認められないとされています
- 理由は、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるため、一体的な安全管理を行うことが困難であることによります
- ホースの材質や緊急レバーの位置についての問いは、いずれも前段の結論により承知されたいとされました
- 液体の硫黄を貯蔵する移動タンク貯蔵所の加熱装置と保温装置は、認めてさしつかえないとされています
- ボトムローディング方式による危険物積込み設備は、その設置を認めてさしつかえないとされました
- ボトムローディング方式で注入する移動タンク貯蔵所は、ベーパー回収とレベルセンサーを含む4つの措置を講じたものに限られます
- ローディングアームの中間パイプにフレキシブルホースを使う場合は、可撓管継手に関する技術上の指針に準じたものとされています
- 給油ホースの結合金具にサイトグラス及び弁を設けることはさしつかえないとされ、結合金具は金属材料で作ることが原則である旨が申し添えられています
- 硬質塩化ビニール製のサイトグラスは、移動タンク貯蔵所側と払出先タンク側のいずれにも使用を認めてさしつかえないとされました
装置そのものより、どこに付くかを先に見るのですね。
すっきりしました。
付け替わる側か、一緒に動く側か。
ここを外すと計画ごと組み直しになります。
㈱防災屋でも設備計画の段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 被けん引車形式の危険物移動タンク貯蔵所にポンプを乗せることの可否について(昭和57年4月28日 消防危第54号 消防庁危険物規制課長から茨城県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「9」〕
- 液体の硫黄を貯蔵する移動タンク貯蔵所の構造設備について(昭和56年12月9日 消防危第168号 危険物規制課長から和歌山県あて回答)〔昭和57年3月23日 消防危第37号「8」〕
- 移動タンク貯蔵所への危険物注入設備の構造及びそれに伴う移動タンク貯蔵所の構造について(昭和57年2月5日 消防危第15号 危険物規制課長から大阪府あて回答)〔昭和57年3月23日 消防危第37号「11」〕
- 給油ホースの結合金具について(昭和57年3月29日 消防危第39号 消防庁危険物規制課長から千葉県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「7」〕
- 危険物移動タンク貯蔵所の結合金具におけるサイトグラスの使用について(昭和57年4月19日 消防危第49号 消防庁危険物規制課長から神奈川県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「8」〕
- 危険物の規制に関する政令第27条第6項第4号ハ
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




