タンクローリーに後から装置を足したい。
ポンプ、加熱装置、流れを確かめる覗き窓。どれも現場の必要から出てくる話です。
ところが同じ後付けでも、認められるものと認められないものがあります。
分かれ目はどちら側に取り付けるかでした。
セミトレーラーの移動タンク貯蔵所に、車両のエンジンで動くポンプを乗せたいのですが。
それは認められないとされました。ポンプの性能ではなく、けん引自動車とセミトレーラーが付け替わることが理由です。
では同じセミトレーラーでも、タンクに加熱装置や保温装置を付けるのはどうなりますか。
そちらは認めてさしつかえないとされています。タンクと一緒に動く側に付くものは通っているのです。
この記事の結論
- 被けん引車形式の移動タンク貯蔵所にポンプを設置することは認められないとされています
- 理由は、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されるため一体的な安全管理を行うことが困難であることによります
- 液体の硫黄を貯蔵するタンクに設ける加熱装置と保温装置は、認めてさしつかえないとされました
- ボトムローディング方式による危険物積込み設備は、その設置を認めてさしつかえないとされています
- 給油ホースの結合金具にサイトグラス及び弁を設けることは、さしつかえないとされました
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目次
被けん引車形式にポンプを乗せられるか

当該車両のエンジンを利用したポンプを設置することを認めてよいか、認められない場合は通常のタンクローリーに使われている場合と区別する理由は何かというものでした。
照会側の別添資料には、ポンプの駆動源は当該車両のエンジンとし外部エンジンは使用しないこと、タンク付属配管とポンプの間にニトリルゴム製の緩衝装置を設け走行中はホースを取り外して収納箱に収め配管の継手に盲蓋をすることまで記されていました。
答 1 前段 認められない。
後段 セミトレーラーにタンクが固定された移動タンク貯蔵所の場合、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるものであるので、一体的な安全管理を行うことが困難であることによる。
後段 セミトレーラーにタンクが固定された移動タンク貯蔵所の場合、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるものであるので、一体的な安全管理を行うことが困難であることによる。
退けられた理由は、ポンプの構造でも駆動源でもありませんでした。
ポンプはトラクター側に取り付けることになりますが、けん引自動車とセミトレーラーは交換的に結合されて使われます。
つまり今日この車を引いていた頭が、明日は別のタンクを引いている。その状態では一体的な安全管理が困難だという判断です。
なお照会にはホースの材質や緊急レバーの位置、エンジンからの熱の遮断についての問いも含まれていましたが、回答はいずれも1により承知されたいとして、前提が成り立たない以上答える必要がないという整理をしています。
液体の硫黄を運ぶタンクに加熱装置を付けられるか

硫黄は常温では固体なので、液体のまま運ぶには温度を保たなければなりません。
こちらも車両の形式は被牽引車形式のセミトレーラーです。
タンク形状 両端皿型の鏡板をもつ横型円筒形
タンク材質 鋼板第2種SS-41
タンク板厚 胴板厚4.5ミリメートル 鏡板厚4.5ミリメートル
タンク内容量 7,800リットル
間仕切 なし
防波板 横揺はタンクの断面積の40.5パーセントを有する2枚、縦揺は63.9パーセントを有する4枚を設置
タンク上部 マンホール、液充填用ハッチ、安全弁及び通気コックを設ける
タンクの固定 タンクは後方に傾斜をつけ付属設備と共に取付金具にてシャーシーに強固に取付ける
加熱装置 液取出時の最低液温を保つためタンクの内部には8本の加熱管を設け必要に応じ蒸気にて加熱可能な構造とする
保温装置 タンクの外部には片側アルミ箔付グラスウールを施しこれをアルミ薄材で被覆し保温装置とする
タンク材質 鋼板第2種SS-41
タンク板厚 胴板厚4.5ミリメートル 鏡板厚4.5ミリメートル
タンク内容量 7,800リットル
間仕切 なし
防波板 横揺はタンクの断面積の40.5パーセントを有する2枚、縦揺は63.9パーセントを有する4枚を設置
タンク上部 マンホール、液充填用ハッチ、安全弁及び通気コックを設ける
タンクの固定 タンクは後方に傾斜をつけ付属設備と共に取付金具にてシャーシーに強固に取付ける
加熱装置 液取出時の最低液温を保つためタンクの内部には8本の加熱管を設け必要に応じ蒸気にて加熱可能な構造とする
保温装置 タンクの外部には片側アルミ箔付グラスウールを施しこれをアルミ薄材で被覆し保温装置とする
答 添付された資料から判断すれば、認めてさしつかえない。
加熱管はタンクの内部に8本、保温材はタンクの外側です。どちらもタンクと一体で動きます。
前の項目のポンプがトラクター側だったのに対し、こちらはトレーラー側に収まっている点が違います。
加熱管については耐圧15キログラム毎平方センチメートル、気密10キログラム毎平方センチメートルで検査するとされ、蒸気の条件も10キログラム毎平方センチメートル130度と具体的に示されていました。
なお、この基準そのものは昭和43年4月10日付けの消防予第105号により示されたものです。
ボトムローディング方式の積込み設備は認められるか

従来のトップローディング方式はタンクの上から注ぎ入れる方式ですが、ボトムローディング方式は移動タンク貯蔵所の底部に配管を設け、そこから積み込みます。
積込み用のローディングアームの先端にはカプラーが取り付けられており、タンクローリーの配管の先端に設けられたアダプターに緊結した後、ローリーのタンク底弁を開いて危険物を積み込む仕組みです。
カプラー外筒の先端内側にカムが設けてあり、これがアダプター先端のフランジの突起に噛み合せる。カプラーをアダプターに充分はめ込んだ後、カプラーのハンドルを廻すとカプラーとアダプターは上述のカムにより緊結され、カプラーの内筒の先端のシールがアダプターのフランジ面に強く密着して完全にシールされた状態となり、積込み中油が外へ漏れるのを防ぐとともに、カプラーのバルブハンドルを操作しない限り当該緊結部がはずれない。
答 添付された資料から判断すれば、その設置を認めてさしつかえない。
上から注ぐ方式では、開いたハッチから蒸気が立ち上り、作業員はタンクの上に登ることになります。
底部で結合してしまえばその両方がなくなります。
外れないための仕掛けが二重になっている点も見どころで、カムによる機械的な緊結に加え、バルブハンドルを操作しない限り外れないという操作上の順序が組み込まれています。
積込み設備に求められた4つの措置

ボトムローディング方式に伴う移動タンク貯蔵所の構造は基本的には昭和54年1月30日付けの消防危第5号によるとしたうえで、積込み時等の安全対策として4つの措置が示されました。
① タンクの上部にベーパーリカバリーバルブを設け、更に集中配管方式のベーパーリカバリー配管によりベーパーをまとめ、先端のアダプターに積込設備側のベーパーリカバリー専用ホースを連結してベーパーを回収する構造とする
② 過剰積込み防止のため、タンク内各槽の上部にレベルセンサーを設け、液面がある一定値になつた場合センサーが感知し油の流れを遮断する構造とする
③ 移動貯蔵タンクのタンク底弁とアダプター間の配管部に発生する残油対策として払出配管を独立配管として保護枠を設置する。なお、配管部にも、タンク本体と同様の圧力検査を実施する
④ 通常の定量出荷コントロールとは別個に独立した過剰積込防止機構を備え、万一タンク室容量以上に積込みがなされようとした場合にこの積込みを自動的に遮断する
② 過剰積込み防止のため、タンク内各槽の上部にレベルセンサーを設け、液面がある一定値になつた場合センサーが感知し油の流れを遮断する構造とする
③ 移動貯蔵タンクのタンク底弁とアダプター間の配管部に発生する残油対策として払出配管を独立配管として保護枠を設置する。なお、配管部にも、タンク本体と同様の圧力検査を実施する
④ 通常の定量出荷コントロールとは別個に独立した過剰積込防止機構を備え、万一タンク室容量以上に積込みがなされようとした場合にこの積込みを自動的に遮断する
過剰積込みへの備えが②と④で二重になっているのが特徴です。
通常の出荷量の制御とは別に、それとは独立した機構をもう一つ持たせるという考え方で、片方が働かなくてももう片方が止めます。
回答はさらに、設置許可にあたって次の2点に留意し指導されたいとしています。
(1) ボトムローデイング方式により危険物を注入する移動タンク貯蔵所は、設問の2の措置を講じたものに限ること
(2) ローデイングアームの中間パイプにフレキシブルホースを使用する場合にあつては、フレキシブルホースの構造を昭和56年3月9日付け消防危第20号「可撓管継手の設置等に関する運用基準について」の別添「可撓管継手に関する技術上の指針」に準じたものとすること
(2) ローデイングアームの中間パイプにフレキシブルホースを使用する場合にあつては、フレキシブルホースの構造を昭和56年3月9日付け消防危第20号「可撓管継手の設置等に関する運用基準について」の別添「可撓管継手に関する技術上の指針」に準じたものとすること
結合金具にサイトグラスと弁を設けてよいか

貯蔵する危険物の流れの確認及び目視検査を行うため、結合金具にサイトグラス及び弁を設けることを認めてよいかというものでした。
取扱要領は、移動タンク貯蔵所の吐出口と緊結した後、結合金具のバルブを閉じた状態で吐出弁を開け、サイトグラスを覗いて危険物の目視検査を行つた後、結合金具のバルブを開けて取り扱うというものです。
サイトグラスは強化ガラス製で、耐圧試験圧力24キログラム毎平方センチメートル、最高使用温度300度という仕様が添えられていました。
答 設問の場合は、添付された資料から判断すれば、設問のサイトグラス及び弁を設置してさしつかえない。
なお、結合金具は、金属材料で作ることが原則であるので念のため申し添える。
なお、結合金具は、金属材料で作ることが原則であるので念のため申し添える。
認めたうえで、結合金具は金属材料で作ることが原則であるという一文が添えられました。
翌年の昭和57年4月19日付けの消防危第49号では、別の形のサイトグラスが問われています。
直径20ミリメートル、厚さ3ミリメートルの円板状で、材質は硬質塩化ビニールのものが2箇所付けられている例について、使用を認めてよいか、また移動タンク貯蔵所側または払出先タンク側のいずれにも使用してよいかという照会でした。
答 設問の場合は、添付された資料から判断すれば、1及び2いずれも使用を認めてさしつかえない。
金属材料が原則というのは結合金具の本体についての話であり、覗くための窓の部分まで金属にせよという趣旨ではないと読めます。
よくある質問
Q. 通常のタンクローリーならポンプを乗せてよいのですか?
照会は、認められない場合は通常のタンクローリーに使われている場合と区別する理由を尋ねていました。回答が挙げた理由は、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるため一体的な安全管理を行うことが困難であるというものです。車体とタンクが一体になっている形式にはこの事情が当てはまらないという読み方になります。
Q. 加熱装置は認められてポンプが認められないのはなぜですか?
液体の硫黄の事例では、加熱管はタンクの内部に、保温材はタンクの外側に設けられており、どちらもタンクと一体で動きます。一方ポンプはトラクター側に取り付けることになり、付け替わる側に載ることになります。回答が問題にしたのは装置の種類ではなく、一体的な安全管理ができるかどうかでした。
Q. ボトムローディング方式にすると何がよいのですか?
回答自体は方式の利点を説明していません。ただし示された措置を見ると、タンク上部のベーパーリカバリーバルブから蒸気を回収する構造が①に挙げられており、蒸気の扱いが設計に組み込まれていることが分かります。あわせて過剰積込みを止める機構が②と④で二重に求められています。
Q. サイトグラスは硬質塩化ビニールでもよいのですか?
昭和57年4月19日付けの消防危第49号は、直径20ミリメートル、厚さ3ミリメートルの円板状で材質が硬質塩化ビニールのサイトグラスについて、使用を認めてさしつかえないとしています。ただし昭和57年3月29日付けの消防危第39号には、結合金具は金属材料で作ることが原則であるという申し添えがあります。
まとめ
- 被けん引車形式の危険物移動タンク貯蔵所に当該車両のエンジンを利用したポンプを設置することは、認められないとされています
- 理由は、けん引自動車とセミトレーラーが交換的に結合されて使用されるため、一体的な安全管理を行うことが困難であることによります
- ホースの材質や緊急レバーの位置についての問いは、いずれも前段の結論により承知されたいとされました
- 液体の硫黄を貯蔵する移動タンク貯蔵所の加熱装置と保温装置は、認めてさしつかえないとされています
- ボトムローディング方式による危険物積込み設備は、その設置を認めてさしつかえないとされました
- ボトムローディング方式で注入する移動タンク貯蔵所は、ベーパー回収とレベルセンサーを含む4つの措置を講じたものに限られます
- ローディングアームの中間パイプにフレキシブルホースを使う場合は、可撓管継手に関する技術上の指針に準じたものとされています
- 給油ホースの結合金具にサイトグラス及び弁を設けることはさしつかえないとされ、結合金具は金属材料で作ることが原則である旨が申し添えられています
- 硬質塩化ビニール製のサイトグラスは、移動タンク貯蔵所側と払出先タンク側のいずれにも使用を認めてさしつかえないとされました
装置そのものより、どこに付くかを先に見るということですね。
付け替わる側か、一緒に動く側か。ここを外すと計画ごと組み直しになります。㈱防災屋でも設備計画の段階からご相談を承っています。
参考・出典
- 被けん引車形式の危険物移動タンク貯蔵所にポンプを乗せることの可否について(昭和57年4月28日 消防危第54号 消防庁危険物規制課長から茨城県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「9」〕
- 液体の硫黄を貯蔵する移動タンク貯蔵所の構造設備について(昭和56年12月9日 消防危第168号 危険物規制課長から和歌山県あて回答)〔昭和57年3月23日 消防危第37号「8」〕
- 移動タンク貯蔵所への危険物注入設備の構造及びそれに伴う移動タンク貯蔵所の構造について(昭和57年2月5日 消防危第15号 危険物規制課長から大阪府あて回答)〔昭和57年3月23日 消防危第37号「11」〕
- 給油ホースの結合金具について(昭和57年3月29日 消防危第39号 消防庁危険物規制課長から千葉県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「7」〕
- 危険物移動タンク貯蔵所の結合金具におけるサイトグラスの使用について(昭和57年4月19日 消防危第49号 消防庁危険物規制課長から神奈川県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「8」〕
- 危険物の規制に関する政令第27条第6項第4号ハ
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




