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危険物施設の警報設備はどうやって決まるのか|自動火災報知設備が必須になる条件と代替規定を解説

危険物施設の警報設備はどう決まるのかのアイキャッチ画像

危険物を貯蔵し、または取り扱う施設には、消防用設備等とは別に警報設備の設置義務があります。
危険物の規制に関する政令第二十一条が、指定数量の倍数に応じてこの義務を定めています。
すべての施設が同じ扱いを受けるわけではなく、施設の種類や規模によって求められる設備が変わります。
この記事では、警報設備の区分と自動火災報知設備が必須になる条件を条文から整理します。

うちの施設は危険物を扱っていますが、警報設備は消防用設備の点検に入っていますよね。

実は危険物施設の警報設備は、危険物の規制に関する政令第二十一条という別の条文で義務付けられています。

消防用設備の基準とは、別物なんですか。

はい、指定数量の倍数によって設置義務の有無が変わる仕組みです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 指定数量の倍数が十以上の製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)には、危険物の規制に関する政令第二十一条により警報設備の設置が義務付けられています
  • 警報設備は自動火災報知設備・電話・非常ベル装置・拡声装置・警鐘の五種類に区分されます
  • 施設の用途・規模・指定数量の倍数によっては、自動火災報知設備そのものの設置が必須になります
  • 自動信号装置を備えた第二種または第三種の消火設備は、自動火災報知設備とみなされる規定があります
  • 自動火災報知設備を設けるときは、警戒区域の面積や非常電源など細かな設置基準を満たす必要があります

危険物施設の警報設備の決め方を示す図解、指定数量十以上が対象・移動タンクは対象外・警報設備は五種類・一部は自動火災報知設備が必須という四段階の流れを示す

危険物施設になぜ警報設備が必要なのか

貯蔵施設の壁に警報ベルが取り付けられているイメージ
危険物を扱う施設では、初期の対応が被害の広がりを大きく左右します。
そのための法的な仕組みを確認します。
危険物の規制に関する政令第二十一条(警報設備の基準) 指定数量の倍数が十以上の製造所等で総務省令で定めるものは、総務省令で定めるところにより、火災が発生した場合自動的に作動する火災報知設備その他の警報設備を設置しなければならない
警報設備は消防用設備等とは別の根拠で義務付けられています。
危険物の規制に関する政令が定める警報設備は、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などの消火設備とは別の条文に基づく、独立した設置義務です。
危険物施設は火気管理を徹底していても、静電気や設備の不具合などで出火のおそれがゼロにはなりません。
早期に火災を検知し、周囲や消防機関へ知らせる体制があるかどうかで、初期消火や避難にかけられる時間が変わります。
まずは自分の施設が設置義務の対象になるかどうかを、次の要件で確認してください。

消防用設備の点検とは別に確認しないといけないんですね。

はい、政令第二十一条は消防用設備等とは別の根拠です。
次は対象になる施設を見ていきましょう。

どんな施設に警報設備の設置義務が及ぶのか

タンクローリーは対象外、固定された貯蔵タンクは対象というイメージ
警報設備の対象になるのは、どんな施設なのかを確認します。
除外される施設が一つだけあります。
危険物の規制に関する規則第三十六条の二(警報設備を設置しなければならない製造所等) 令第二十一条の総務省令で定める製造所等は、製造所等のうち移動タンク貯蔵所以外のものとする。
対象になるのは移動タンク貯蔵所を除くすべての製造所等です。
製造所・貯蔵所・取扱所という製造所等のうち、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)だけが警報設備の対象から外れています。
ただし対象になるからといって全施設に義務が生じるわけではなく、政令第二十一条の指定数量の倍数が十以上という条件を満たして初めて設置義務が発生します。
指定数量の倍数が十未満の小規模な施設は、この時点で警報設備の設置義務そのものがありません。
自施設が製造所等のどの区分に当たり、指定数量の倍数がいくつかを、まず特定してください。

うちは屋内貯蔵所ですが、指定数量の倍数を数えたことがないです。

倍数が十以上かどうかがまず分かれ目です。
次は警報設備の中身を見ましょう。

警報設備には何種類あり自動火災報知設備はいつ必須になるのか

五種類の警報設備の機器が並んでいるイメージ
警報設備は五種類に区分されています。
そのうえで、自動火災報知設備そのものが必須になる施設もあります。
危険物の規制に関する規則第三十七条(製造所等の警報設備) 令第二十一条の規定により、警報設備は、次のとおり区分する。一 自動火災報知設備 二 消防機関に報知ができる電話 三 非常ベル装置 四 拡声装置 五 警鐘 同規則第三十八条第一項 令第二十一条の規定により、製造所等の警報設備の設置の基準は、次のとおりとする。一 次に掲げる製造所等には、自動火災報知設備を設けること。(略)二 前号に掲げるもの以外の製造所等(移送取扱所を除く。)で、指定数量の倍数が十以上のものにあつては、前条第二号から第五号までに掲げる警報設備のうち一種類以上設けること
警報設備は自動火災報知設備を含む五種類の中から選びます。
規則第三十七条が定める五種類は、自動火災報知設備・消防機関に報知ができる電話・非常ベル装置・拡声装置・警鐘です。
規則第三十八条第一項第一号は、延べ面積や指定数量の倍数、貯蔵倉庫の軒高などの条件を満たす施設に自動火災報知設備そのものを義務付けています。
それ以外の指定数量の倍数十以上の施設は、電話・非常ベル装置・拡声装置・警鐘のうち一種類以上を設ければ足ります。
自施設がどちらの扱いになるかは、面積・倍数・構造など複数の基準を個別に照らし合わせて判断してください。

うちは倍数が十以上ですが、自動火災報知設備は必須なんですか。

延べ面積や倍数の基準次第です。
次は見落としやすい代替規定を見ましょう。

自動火災報知設備の代わりに使える設備はあるのか

信号装置付きのスプリンクラーヘッドと通常のスプリンクラーヘッドを比べているイメージ
自動火災報知設備が必須の施設でも、別の設備で代用できる規定があります。
見落としやすいポイントです。
危険物の規制に関する規則第三十八条第三項 自動信号装置を備えた第二種又は第三種の消火設備は、第一項の基準を適用するにあたつては、自動火災報知設備とみなす
消火設備が警報設備を兼ねられる場合があります。
第二種(スプリンクラー設備)または第三種(水噴霧・泡・不活性ガス等の消火設備)に自動信号装置が備わっていれば、それだけで自動火災報知設備の設置義務を満たしたものとみなされます。
これは自動火災報知設備を別途二重に設けなくてよいという意味で、消火設備を選ぶ段階で確認しておく価値があります。
逆に言えば、自動信号装置のない消火設備だけでは、このみなし規定は使えません。
新設や改修の設計段階で、消火設備の仕様に自動信号装置が含まれているかを確認してください。

消火設備と警報設備を別々に見積もっていました。

自動信号装置付きなら重複を避けられます。
最後に設置基準を見ましょう。

自動火災報知設備を設けるときは何を守ればよいのか

担当者が警報設備の制御盤を確認しているイメージ
自動火災報知設備そのものを設けるときの技術基準を確認します。
警戒区域の区切り方が中心です。
危険物の規制に関する規則第三十八条第二項 自動火災報知設備の設置の基準は、次のとおりとする。一 自動火災報知設備の警戒区域は、建築物その他の工作物の二以上の階にわたらないものとすること。(略)二 一の警戒区域の面積は、六百平方メートル以下とし、その一辺の長さは、五十メートル以下とすること。(略)四 自動火災報知設備には、非常電源を附置すること。
警戒区域は面積と階をまたがない原則で区切ります。
一つの警戒区域は原則として二つ以上の階にまたがらせず、面積は六百平方メートル以下・一辺の長さは五十メートル以下に区切ります。
主要な出入口から内部を見通せる場合は面積の上限が緩和される規定もありますが、まずは原則の数値を押さえてください。
自動火災報知設備には非常電源の付置も必須で、停電時に検知機能が失われないようにする趣旨です。
設計や増改築の際は、警戒区域の区切り方と非常電源の有無を図面レベルで確認してください。
  • 自施設の指定数量の倍数が十以上かどうかを確認する
  • 移動タンク貯蔵所以外に該当し、警報設備の対象になっているかを確認する
  • 自動火災報知設備が必須の施設に該当するかを、面積・倍数・構造の基準で確認する
  • 消火設備に自動信号装置が備わっていれば、みなし規定を使えないか確認する
  • 警戒区域の面積・非常電源など設置基準の細目は所轄消防署に確認する

まずは指定数量の倍数を数え直してみます。

それが第一歩です。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q危険物施設の警報設備は消防用設備等の点検に含まれますか?
A警報設備は危険物の規制に関する政令第二十一条に基づく別の設置義務ですが、実務上は消防用設備等点検と合わせて確認されることが一般的です。点検の要否は所轄消防署にご確認ください。
Q指定数量の倍数が十未満なら警報設備は一切不要ですか?
A政令第二十一条に基づく設置義務は生じません。ただし、施設の実情に応じて任意で設置することは可能です。
Q自動火災報知設備を設置すれば、他の警報設備は不要になりますか?
A自動火災報知設備が必須の施設ではそれ自体で義務を満たします。それ以外の施設は五種類のうち一種類以上を選べばよく、自動火災報知設備を選んでも構いません。
Q自動信号装置付きの消火設備があれば、警戒区域の基準は関係ありませんか?
A自動火災報知設備とみなされる場合でも、みなされた設備自体が実際に火災を検知し通報できる性能を持つ必要があります。細目の適合は所轄消防署にご確認ください。

まとめ

指定数量の倍数が十以上の製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)には警報設備の設置義務があります
警報設備は自動火災報知設備・電話・非常ベル装置・拡声装置・警鐘の五種類に区分されます
面積や倍数などの基準を満たす施設には自動火災報知設備そのものの設置が必須です
それ以外の施設は残り四種類のうち一種類以上を設ければ足ります
自動信号装置を備えた第二種・第三種の消火設備は自動火災報知設備とみなされます
警戒区域は六百平方メートル以下・一辺五十メートル以下に区切ります
自動火災報知設備には非常電源の付置も必須です

警報設備にも細かいルールがあることがよく分かりました。
助かります

まずは指定数量の倍数から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第二十一条
  • 危険物の規制に関する規則第三十六条の二
  • 危険物の規制に関する規則第三十七条
  • 危険物の規制に関する規則第三十八条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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