飲食店の厨房ではLPガスのコンロや設備が毎日使われています。
令和2年に福島県郡山市で起きた爆発事故は、配管の腐食からガスが漏れたことが疑われました。
この事故を受けて消防庁は、一定量のLPガスを扱う飲食店へ防火対策の注意喚起を行うよう各消防本部に求めました。
この記事では対象になる基準と点検すべき内容を解説します。
うちの店もLPガスを使っていますが、何か対応が必要でしょうか。
貯蔵量によっては消防への届出と点検の徹底が必要です。
まず事故の概要から確認しましょう。
事故のニュースは見ましたが自分の店に関係あるとは思いませんでした。
300キログラム以上を扱う店舗なら対象です。
基準を順番に見ていきます。
- 令和2年に福島県郡山市の飲食店で発生した爆発事故を受け、消防庁が注意喚起を求めました。(消防予第235号)
- 対象は消防法施行令別表第一(3)項ロの飲食店のうち、LPガスを300キログラム以上貯蔵・取扱いする店舗です。(消防法第9条の3)
- ガス機器の定期点検と異常時の使用中止が求められています。
- 防火管理者の選任状況や消防用設備等の点検状況も同時に確認されます。
- 休業や再開のときはLPガス販売事業者への連絡が必要です。
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目次
飲食店の爆発事故はなぜ消防庁の注意喚起を招いたのか

飲食店の厨房は火を使う設備が集中する場所です。
そこでガス配管に不具合があると被害が大きくなります。
爆発が起きたのは調理場ではなく、屋内のガス配管そのものでした。
死者1名、負傷者19名という被害の大きさが、全国の消防本部に注意喚起を出す動機になりました。
消防庁はこの事故のあと、同じような被害を繰り返さないため、対象となる飲食店へ点検の徹底を指導するよう各消防本部に求めました。
まずはどの店舗が対象になるのかを見ていきます。
うちも古い店舗なので配管が心配です。
古い配管ほどリスクが高くなります。
次は対象になる範囲を確認します。
どの飲食店が注意喚起の対象になるのか

対象になるかどうかは、建物の用途と貯蔵量で決まります。
条文を確認するのが確実です。
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の10第1項第3号 液化石油ガス 300キログラム
対象は消防法施行令別表第一(3)項ロにあたる飲食店のうち、この量を扱うと届け出ている店舗です。
ビルの一部に飲食店が入る(16)項イの複合用途の建物でも、消防本部が必要と判断すれば対象に含まれます。
貯蔵量は店舗ごとの仕様書や契約内容で決まるため、LPガス販売事業者に確認するのが早道です。
対象に当たるかどうかは所轄消防署でも確認できます。
うちはテナントですが対象になりますか。
貯蔵量が基準を超えていればテナントでも対象です。
次は具体的に何を求められるかを見ます。
通知は何を求めているのか

求められているのは大きな工事ではありません。
日常の点検と、異常時の対応を整えることです。
ガス機器は定期的な清掃とメンテナンスを行い、異変を感じたら直ちに使用を中止します。
配管に破損や腐食が見つかったときも同様で、自己判断で使い続けないことが前提です。
これとは別に、防火管理者の選任や消防用設備等の点検状況に違反があれば、この機会にあわせて是正するよう求められています。
点検記録を残しておくと、違反の有無をすぐに答えられます。
清掃だけでもいいということですか。
清掃に加えて緊急連絡先の把握まで含みます。
次は見落としやすい点を確認します。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としが起きやすいのは、休業中の店舗と複合用途の建物です。
通知の書きぶりを丁寧に読む必要があります。
長期間ガスを使わない店舗ほど、再開時の点検が抜けやすくなります。
休業や再開のタイミングでは、LPガス販売事業者への連絡を業務の手順に組み込んでおくと抜け漏れを防げます。
また本通知は助言として発出されたものなので、実際の指導や運用は所轄の消防本部の判断に委ねられています。
複合用途の建物でテナントとして入っている場合は、ビル管理者と情報を共有しておくことも欠かせません。
休業中は特に何もしていませんでした。
再開前の連絡を忘れやすいポイントです。
次は明日からの確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

順番はガス機器の状態確認から始めます。
最後に体制面の確認まで進めれば抜けがありません。
破損や腐食、異臭がないかを点検し、異常があれば使用を中止して連絡します。
次に貯蔵量が300キログラムを超えているかを仕様書や契約書で確かめます。
最後に防火管理者の選任状況と消防用設備等の点検状況を見直し、違反があれば是正します。
立入検査や電話指導で聞かれても答えられるよう、点検記録をまとめておくと安心です。
まずは配管を見るところから始めます。
それが確実な第一歩です。
点検記録も残していきましょう。
よくある質問
まとめ
ガス配管の状態を明日から確認してみます。
防火管理者の選任も見直します。
点検の記録づくりまで一緒に整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条の3
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(3)項ロ・(16)項イ
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第1条の10第1項第3号
- 「福島県郡山市で発生した爆発事故を踏まえた飲食店の防火対策に係る注意喚起等について」(令和2年8月7日消防予第235号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





