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自動火災報知設備のR型受信機はなぜ共通線の上限を気にしなくてよいのか|固有信号方式の配線に求められる耐熱性能を解説

自動火災報知設備のR型受信機とGR型受信機に接続される固有信号の配線が共通線の上限を外れる代わりに屋内消火栓と同じ耐熱電線基準を準用する仕組みを示すアイキャッチ画像

自動火災報知設備の配線というと、感知器から受信機までの回路を思い浮かべる方が多いはずです。
ところが同じ消防法施行規則第24条の中に、R型受信機とGR型受信機に接続される配線だけに適用される特別な号があります。
共通線の本数制限を受けない代わりに、屋内消火栓設備と同じ耐熱電線の基準を満たすことが求められているのです。
この記事ではその条文の構造と、現場で見分けるポイントを整理します

うちの建物はR型受信機だと聞きましたが、配線の決まりも違うのでしょうか。

はい、違います。
R型・GR型は共通線の本数制限から外れる代わりに、別の基準を借りているんです。

本数制限が無いなら、配線はどんな電線でもよいということですか。

いいえ、そうではありません。
今日はどの配線にどの基準が使われているか、条文を順に整理しましょう。

この記事の結論
  • 感知器回路の共通線は、原則として一本につき七警戒区域以下にする必要がある
  • R型受信機・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器や中継器の回路は、この上限の対象外である
  • その代わりこの配線には、屋内消火栓設備と同じ耐熱電線の基準(第十二条第一項第五号)が準用される
  • 受信機から地区音響装置までの配線にも同じ耐熱基準が準用される
  • 信号を無線でやり取りする区間は、この耐熱配線の基準そのものが適用されない

R型受信機に接続される固有信号の配線が共通線の上限を外れる代わりに屋内消火栓と同じ耐熱電線基準を準用する仕組みを示す図解

自動火災報知設備の配線はどんな原則で決まっているのか

受信機に向かって複数の配線が一本の共通線にまとまっていくイラスト
感知器から受信機までの配線を一本ずつ引くと本数が膨らむため、戻り側をまとめる共通線という考え方が使われます。
ただしこのまとめ方には上限があります。
【消防法施行規則第24条第一号ヘ】感知器回路の配線について共通線を設ける場合の共通線は、一本につき七警戒区域以下とすること。ただし、R型受信機及びGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器又は中継器が接続される感知器回路にあつては、この限りでない。
共通線は原則として一本で七警戒区域までしかまとめられません
一本の線が切れたときに巻き添えになる範囲を広げすぎないための上限です。
ところが同じ号のただし書に、R型受信機とGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器や中継器の回路は、この限りでないと書かれています。
つまりR型・GR型に特有の配線だけ、この上限から外れているのです。
上限が無いからといって基準そのものが無いわけではなく、次の号に別の条件が用意されています。

七警戒区域という数字は聞いたことがありましたが、例外があるとは知りませんでした。

同じ号の中に例外が書かれているので見落としやすいところです。
次はその例外の中身を見ていきましょう。

R型受信機とGR型受信機の配線だけ例外があるのはなぜか

複数の細い線が一本にまとまる受信機と一本ずつ独立した線が伸びる受信機を並べたイラスト
七警戒区域の上限は同じ号の中の話でしたが、条文はすぐ手前の号でもう一つの規定を置いています。
こちらは上限の話ではなく、配線そのものの基準です。
【消防法施行規則第24条第一号ホ】R型受信機及びGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器及び中継器から受信機までの配線については、第十二条第一項第五号の規定に準ずること。
号ホと号ヘは同じ対象を指しています
「R型受信機及びGR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器及び中継器」という言い回しが、号ホの配線基準と号ヘの共通線の適用除外の両方に共通して使われています。
条文はこの二つを分けて書いていますが、指している配線は同じ回路です。
号ホが指す「第十二条第一項第五号」は、屋内消火栓設備の操作回路の配線について定めた号で、次の見出しで内容を確認します。
まずはここまでで、R型・GR型の固有信号回路が「上限からは外れるが、別の配線基準は満たす」という二段構えになっていることを押さえてください。

号ホと号ヘがセットになっているとは、条文を並べて読まないと気づきませんね。

号だけを見て判断すると見落としがちです。
次は借りている先の第十二条を見てみましょう。

屋内消火栓と同じ耐熱電線基準とは具体的に何を求めているのか

金属管に保護された配線が壁の中を通り屋内消火栓箱につながるイラスト
号ホが指す先は、もともと屋内消火栓設備の操作回路のために書かれた条文です。
中身を確認すると、求められているのは電線の種類と敷設方法の二点です。
【消防法施行規則第十二条第一項第五号】操作回路又は第三号ロの灯火の回路の配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、次のイ及びロに定めるところによること。イ 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。ロ 金属管工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事又はケーブル工事(不燃性のダクトに布設するものに限る。)により設けること。ただし、消防庁長官が定める基準に適合する電線を使用する場合は、この限りでない。
求められているのは電線そのものの耐熱性と、敷設方法の二点です
電線は六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を持つものを使い、金属管工事や金属ダクト工事など、火災の熱から電線を守る方法で設けます。
一般の照明やコンセントの配線と同じ電線・同じ通し方をしていれば、この基準を満たしていない可能性があります。
R型・GR型の固有信号回路は、共通線の本数制限からは外れても、この耐熱性と保護方法までは外れないという点を混同しないでください。
改修工事でこの部分の電線だけを一般電線に交換してしまう事例があるため、図面と現物を照合する価値があります。

見た目では電線の種類まで分からない気がします。

電線の被覆に規格の刻印があります。
竣工図書の使用電線欄も合わせて確認してください。

地区音響装置の配線にも同じ基準が使われているのか

受信機から壁の音響装置へ伸びる配線とアンテナ記号の無線信号を対比させたイラスト
同じ第十二条第一項第五号は、感知器や中継器の配線だけでなく別の号でも引用されています。
今度は受信機から地区音響装置までの配線です。
【消防法施行規則第24条第五号ホ】受信機から地区音響装置までの配線は、第十二条第一項第五号の規定に準じて設けること。ただし、ト及び次号ニの消防庁長官の定める基準により受信機と地区音響装置との間の信号を無線により発信し、又は受信する場合にあつては、この限りでない。
地区音響装置までの配線にも同じ耐熱電線基準が及びます
ベルやスピーカーを鳴らす地区音響装置の配線が焼け落ちてしまうと、警報そのものが伝わらなくなるためです。
ただし条文にはただし書があり、受信機と地区音響装置の間の信号を無線でやり取りする場合は、この耐熱配線の基準自体が適用されません。
無線化された区間は物理的な電線が存在しないため、電線の耐熱性を問う基準がそもそも当てはまらないという整理です。
無線式だからといって設備全体の配線基準を考えなくてよいわけではなく、有線区間が残っていればそこには引き続き基準が適用されます。

無線式なら耐熱電線を気にしなくてよいというのは意外でした。

信号が無線に置き換わった部分だけの話です。
建物全体が無線化されているとは限りません。

改修や点検の前に何を確認すればよいのか

受信機の配線図を確認する点検員とチェックリストのイラスト
ここまでの条文を実務に落とし込むと、確認すべき順番が見えてきます。
最後に確認の進め方を整理します。
【消防法施行規則第24条第一号ヘ・第一号ホ・第五号ホ(要約)】R型受信機・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器及び中継器の配線並びに受信機から地区音響装置までの配線は、共通線の七警戒区域の上限を受けない代わりに、第十二条第一項第五号の耐熱電線基準を満たすこと。
まず受信機の方式を確認するところから始めます
設備がR型又はGR型であれば、固有信号の感知器・中継器回路と地区音響装置への配線が耐熱電線基準の対象になっているはずです。
竣工図書や工事記録で使用電線の型番と敷設方法を確認し、金属管工事等で保護されているかを見ます。
無線式の設備であれば、どの区間が無線に置き換わっているかを配置図で確認し、残っている有線区間だけ基準の対象になることを押さえてください。
共通線の本数を数えるときも、R型・GR型の固有信号回路をP型と同じ数え方で計上しないよう注意してください。

まずは受信機の方式を確認するところから始めてみます。

受信機の銘板に方式が書かれています。
不明な点があれば竣工図書と合わせてご相談ください。

よくある質問

Q自動火災報知設備の配線はすべて共通線でまとめられますか?
Aいいえ。共通線は一本につき七警戒区域以下とする上限がありますが、R型受信機・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器や中継器の回路には、この上限は適用されません。
QなぜR型受信機とGR型受信機だけ扱いが違うのですか?
A両受信機に接続される固有の信号を有する感知器・中継器の配線は、共通線の上限が適用されない代わりに、屋内消火栓設備と同じ耐熱電線の基準(第十二条第一項第五号)を満たすことが求められているためです。
Q地区音響装置の配線にも同じ耐熱基準は適用されますか?
Aはい。受信機から地区音響装置までの配線にも第十二条第一項第五号の規定が準用されます。ただし信号を無線でやり取りする場合はこの限りではありません。
Q無線式の設備であれば配線の基準を確認しなくてよいですか?
A無線により信号を発信・受信する部分は耐熱配線の基準の対象外になりますが、有線区間が残っていればその部分には引き続き基準が適用されます。設備全体の構成を確認してください。

まとめ

自動火災報知設備の配線基準は消防法施行規則第24条に定められている
感知器回路の共通線は原則一本につき七警戒区域以下
R型受信機・GR型受信機に接続される固有の信号を有する感知器・中継器の回路は、この上限の対象外
その代わりこの配線には屋内消火栓設備と同じ耐熱電線の基準(第十二条第一項第五号)が準用される
受信機から地区音響装置までの配線にも同じ耐熱基準が準用される
信号を無線でやり取りする区間は、この耐熱配線の基準そのものが適用されない
改修や増設の際は、受信機の方式を確認してから配線基準を当てはめる

R型受信機の配線が屋内消火栓と同じ基準を借りていたとよく分かりました。
竣工図書を確認してみます。

その配線基準の確認から、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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