条例が国の基準より厳しい設置義務を課している消防用設備等を、もし別の設備に替えたら、扱いはどう変わるのでしょうか。
置き換えの根拠になる条例の規定によって、消防用設備等として扱われるかどうかが分かれます。
消防予第126号は、この代替設備の留意事項を整理した通知です。
代替設備が消防用設備等とみなされるかどうかは、条例がどちらの根拠規定を使っているかで決まります。
うちの建物、条例で上乗せされた設備を別の設備に替えたいんですが、点検とかの扱いは変わるんですか。
条例がどちらの根拠規定を使っているかで変わります。
まず整理してみましょう。
根拠規定で扱いが変わるって、どういうことですか。
消防用設備等とみなされるかどうかが分かれます。
条文を順番に見ていきましょう。
- 消防予第126号は、条例が設置義務を課している消防用設備等を代替設備等に替える場合の留意事項を整理した通知です(平成16年)。
- 代替設備を認める根拠規定には、令第29条の4に準じた条例規定と第32条に準じた条例規定の2つの型があります。
- 令第29条の4に準じた条例規定による代替設備は、令第7条第7項により消防用設備等とみなされます。
- みなされた設備には点検・報告義務や消防設備士の業務独占の規定が適用されます。
- 第32条に準じた条例規定による代替設備は消防用設備等に該当しないため、同様の措置は関係者への指導で促すものとされています。
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目次
代替設備の留意事項はなぜ通知で示されたのか

ただ、条例が独自に上乗せした設置義務についても同じことができるのかは、長く整理されていませんでした。
この通知は、国の基準とは別に条例が独自に設置義務を課している設備等についても、同じように代替設備を使えるよう考え方を示したものです。
条例の設置義務そのものは変わっていませんが、代替の道が整理された点が今回のポイントです。
条例の上乗せ基準にも、代替設備を使う道が用意されました。
国の基準だけじゃなくて、条例の上乗せ基準にも代替設備が使えるようになったんですね。
そうです。
パッケージ型消火設備等の省令ができたのを機に、考え方が整理されました。
代替設備が問題になるのはどの消防用設備等か

条例が独自の判断で上乗せした設備等だけが対象になります。
これは国の基準の上乗せであって、国の基準そのものを緩める規定ではありません。
つまり対象は、どの建物にも一律にある設備ではなく、地域の条例が独自に加えた設備等に限られます。
条例が地域の事情で上乗せした設備等だけが、この通知の対象です。
自分の建物の設備が条例の上乗せかどうかは、どう確認すればいいんですか。
所轄の市町村の火災予防条例を確認するのが確実です。
国の基準より多い設備があれば、その部分が対象です。
代替設備を認める根拠には2つの型があるとどう整理されたのか

通知は、市町村が選べる根拠規定を2つの型に整理しました。
| 根拠規定の型 | 内容 |
|---|---|
| 令第29条の4に準じた条例規定 | 条例に、国の令第29条の4と同じ仕組みの規定を新たに置く方法 |
| 第32条に準じた条例規定 | すでにある条例の特例規定(令第32条に準じたもの)を根拠にする方法 |
違いは、根拠になる条文の作り方にあります。
前者は国の仕組みをそのまま条例に写した規定、後者は市町村がもともと持っていた特例規定を使う方法です。
この違いが、次の章で説明する扱いの分かれ目になります。
根拠規定の作り方によって、あとの扱いが変わってきます。
同じ代替設備なのに、根拠規定が2つもあるのはなぜですか。
市町村ごとに条例の作り方が違うためです。
どちらを選ぶかは市町村の判断になります。
みなし規定の有無で何が変わるのか

これが実務上もっとも見落としやすいポイントです。
そのため、定期的な点検・報告義務(法第17条の3の3)や、工事・整備を消防設備士に限る業務独占(法第17条の5)、甲種消防設備士による着工届(法第17条の14)の規定がそのまま適用されます。
一方、第32条に準じた条例規定による代替設備は、このみなし規定の対象外です。
その場合でも通知は、同じ水準の点検や工事管理を関係者に指導するよう消防機関に求めています。
みなし規定が効くかどうかで、点検や工事の義務の根拠が変わります。
みなされなかった設備は、点検しなくていいってことですか。
いいえ、そうではありません。
法律上の義務ではなく、指導として同じ対応が求められます。
代替設備を使うときに何を確認すればよいか

確認の起点は、いつも条例の規定そのものです。
令第29条の4に準じた規定であれば、点検・報告や着工届まで消防用設備等と同じ扱いになると考えます。
第32条に準じた規定であれば、法律上のみなし規定は無いものの、同水準の管理を自主的に行う前提で動きます。
いずれの場合も、設置・維持の前提は消防長又は消防署長の判断を受けていることです。
条例の根拠規定を確認することが、最初の一歩になります。
つまり、まず条例の規定の型を確認するところから始めるんですね。
そのとおりです。
型が分かれば、点検や届出の扱いも自然に決まります。
よくある質問
まとめ
根拠規定の違いがよく分かりました!
条例の確認さえ押さえれば大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第126号「消防法第17条第2項の規定に基づく条例により設置義務を課している消防用設備等の代替設備等を用いる場合の留意事項について」(平成16年7月23日、消防庁予防課長)
- 消防法第17条第2項・第17条の3の3・第17条の5・第17条の14、消防法施行令第29条の4第1項・第7条第7項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





