BLOG

受信機の前に物を置くとなぜ指摘されるのか|自動火災報知設備の維持の基準と警戒区域一覧図の備え付けを解説

受信機の前に段ボールと脚立が置かれた防災センターの写真

立入検査で防災センターに入った検査員が、まず受信機の前の床を見ることがあります。
段ボールや脚立が置かれていると、その場で写真を撮られることもあります。
消防法は消防用設備等について、設置するだけでなく維持することまで関係者に求めているからです。
受信機のまわりの状態そのものが 自動火災報知設備の維持の問題になります

受信機の前に置いていた荷物のことを立入検査で言われました。
設備そのものは正常に動いているのに、なぜ指摘されるのでしょうか。

動くかどうかとは別に、消防法施行規則が維持の基準を置いているためです。
受信機の付近に操作上支障となる障害物がないことは、その基準にはっきり書かれています。

壁に貼ってある図面のことも聞かれました。
あれは掲示しておかないといけないものだったのですね。

それが警戒区域一覧図です。
受信機の付近に備えておくことと定められているので、外したままにはできません。

この記事の結論
  • 自動火災報知設備には設置の基準とは別に維持の基準が置かれています
  • 受信機の付近に操作上支障となる障害物がないことが求められています
  • 操作部の各スイッチが正常な位置にあることも維持の基準です
  • 受信機の付近には警戒区域一覧図を備えておくこととされています
  • 感知器は火災の感知を妨げるような措置がなされていないことが求められます

受信機のまわりであけておく場所と一覧図と感知器の三点を示した図解

自動火災報知設備は設置したあとも基準がかかるのか

受信機と天井の感知器と見回る人が並んだ室内を描いたイラスト
工事が終わって検査済証が出れば、そこで話が終わると考えられがちです。
ところが消防法の条文は、設置と維持を並べて書いています。
消防法第17条第1項 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。 消防法施行規則第24条の2 自動火災報知設備の維持に関する技術上の基準は、前条に定めるもののほか、次のとおりとする。
基準は設置で終わりません
自動火災報知設備を設置する建物は消防法施行令第21条で定められ、設置の細目は消防法施行規則第24条に置かれています。
そのうえで規則は第24条の2という別の条を立て、維持に関する技術上の基準をまとめています。
つまり工事のときに満たしていればよい基準と、日々の状態として保たなければならない基準が、条を分けて書き分けられているということです。
立入検査で受信機のまわりを見られるのは、この第24条の2があるからだと考えるとわかりやすくなります

設置の基準と維持の基準が別々にあるとは知りませんでした。
点検業者に任せていれば足りると思っていました。

点検は決められた周期で行うものです。
維持のほうは日々の状態の話なので、建物側で見ておく部分が残ります。

受信機のまわりはどこまで空けておくのか

段ボールでふさがれた受信機の前と通路の空いた受信機の前を並べたイラスト
受信機は壁に掛かっているので、前の床は物を置きたくなる場所です。
規則が求めているのは、その床の状態そのものです。
消防法施行規則第24条の2第1号 受信機は、次のイからニまでに定めるところにより維持すること。 イ 受信機の付近に当該受信機の操作上支障となる障害物がないこと。 ロ 操作部の各スイツチが正常な位置にあること。
基準は面積ではなく操作で決まります
規則は何メートル空けなさいという書き方をしておらず、操作上支障となる障害物がないことと定めています。
そのため扉が最後まで開くか、盤面のスイッチに手が届くか、火災の表示を正面から読めるかが判断のもとになります。
もう一つのロは、地区音響を止めたままにしていないかという話につながる項目で、スイッチが定位から外れていると盤面に注意を促す表示が出ます。
スイッチ注意の表示が点いたままの受信機は、火災が起きても想定どおりに働かないおそれがあるので、見つけたらその場で戻すか点検業者に連絡してください

盤面に注意の表示が出ていたのを見たことがあります。
あれは故障ではなかったのですね。

スイッチが定位から外れていることを知らせる表示です。
どのスイッチが戻っていないかわからないときは、触らずに点検業者へ連絡してください。

受信機のそばに警戒区域一覧図はいるのか

受信機の横の壁に掛けられた区域の一覧図を指し示す人を描いたイラスト
受信機のランプは、どの区域で感知したかを番号や名称で示します。
その番号を建物の場所に置き換えるための図面が必要になります。
消防法施行規則第24条の2第1号ハ 受信機の付近に警戒区域一覧図を備えておくこと。ただし、前条第九号において準用する第十二条第一項第八号の規定により総合操作盤が設置されている場合は、この限りでない。 同号ニ アナログ式中継器及びアナログ式受信機にあつては当該中継器及び受信機の付近に表示温度等設定一覧図を備えておくこと。
一覧図は備え付けが義務です
規則は警戒区域一覧図を受信機の付近に備えておくことと定めていて、これは設置のときだけの話ではなく維持の基準として置かれています。
ただし書きがあり、総合操作盤が設置されている場合は要しないとされていますが、総合操作盤があるのは大規模な建物に限られます。
またアナログ式の中継器や受信機を使っている建物では、表示温度等設定一覧図も付近に備えておくこととされています。
改装で部屋の名称や区画が変わったのに図だけが古いままという建物は多いので、間取りを変えた記憶があるなら図と現場を突き合わせてください

一覧図はテナントが入れ替わったときのままになっています。
部屋の名前が今と違っていても問題ないでしょうか。

火災のときに場所を探せない図では役に立ちません。
区画を変えたなら感知器の配置も動いている可能性があるので、あわせて点検業者に見てもらってください。

感知器や発信機で見落としやすいのはどこか

覆いをかぶせた天井の感知器と段ボールでふさがれた発信機を並べたイラスト
受信機は目につく場所にあるので気づかれますが、天井と壁は見過ごされます。
規則は感知器と発信機についても維持の基準を置いています。
消防法施行規則第24条の2第2号 感知器は、次のイ及びロに定めるところにより維持すること。 イ 炎感知器以外の感知器にあつては感知区域、炎感知器にあつては監視空間又は監視距離が適正であること。 ロ 火災の感知を妨げるような措置がなされていないこと。 同条同項第3号 発信機及び中継器は、その附近に当該機器の操作上支障となる障害物がないように維持すること。
感知器は覆ってはいけません
ほこりよけや塗装養生のためにかぶせた袋をそのままにしている建物がありますが、これは火災の感知を妨げる措置にあたります。
イのほうは配置の話で、炎感知器以外は感知区域が、炎感知器は監視空間または監視距離が適正であることを求めています。
監視空間は規則第23条第4項第7号の四ロに置かれた言葉で、壁で区画された区域の床面から高さ1.2メートルまでの空間を指すので、そこに背の高い棚を入れると条件が変わります。
発信機についても附近に操作上支障となる障害物がないように維持することとされているので、押しボタンの前に什器を寄せる置き方は避けてください

厨房の感知器に油よけの袋をかけたままにしていました。
汚れを防ぐためだったのですが、外したほうがよいのですね。

すぐ外してください。
汚れが問題になる場所には、その環境に合う感知器の種別があるので点検業者に相談するのが早道です。

明日からなにを確認すればよいのか

点検表を持つ人と受信機と蓄電池の箱が並んだ室内を描いたイラスト
条文を覚えていなくても、受信機の前に立てば確かめられることがあります。
電源まわりは表示の色で見分けられるようになっています。
消防法施行規則第24条の2第4号 自動火災報知設備の常用電源、非常電源及び予備電源は、次に定めるところにより維持すること。 イ 常用電源が正常に供給されていること。 ロ 非常電源及び予備電源の電圧及び容量が適正であること。 消防法第17条の3の3 第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(略)について、総務省令で定めるところにより、定期に、(略)点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない
まず受信機の前を空けてください
床の荷物をどけるだけで、規則が求める操作できる状態に戻ります。
次に盤面を見て電源の表示が点いているか、注意を促す表示が出ていないかを確かめ、非常電源や予備電源に異常の表示が出ていないかもあわせて見ておきます。
そのうえで一覧図が現在の間取りと合っているかを確かめ、合っていなければ次の点検のときに業者へ伝えてください。
気づいたことは日付と写真で残しておくと、立入検査で聞かれたときにそのまま説明の材料になります

つまり盤の状態と部屋の状態の両方を見ておけばよいのですね。
同じ位置から写真を撮って残しておきます。

その進め方で問題ありません。
毎回同じ位置から撮っておくと、荷物が少しずつ増えていく変化にも気づけます。

よくある質問

Q受信機の前は何メートル空ければよいのでしょうか?
A消防法施行規則第24条の2第1号イは距離ではなく操作上支障となる障害物がないことと定めています。扉が最後まで開き、盤面のスイッチに手が届き、表示を正面から読める状態が保てているかで判断してください。
Q警戒区域一覧図に決まった様式はありますか?
A規則は受信機の付近に備えておくことを求めていますが、様式そのものは条文に書かれていません。総合操作盤が設置されている場合は要しないというただし書きがあるので、自分の建物がどちらにあたるかは所轄消防署にご確認ください。
Q感知器にほこりよけの袋をかけてもよいですか?
A同条同項第2号ロは火災の感知を妨げるような措置がなされていないことと定めています。工事中に養生した場合も外し忘れが起きやすいので、工事が終わったら天井を見上げて確かめてください。
Q維持の基準を満たしていれば点検は要らないのですか?
A別の義務です。消防法第17条の3の3は消防用設備等について定期に点検させ、その結果を消防長または消防署長に報告することを関係者に求めています。日ごろの目視は有効ですが法定の点検の代わりにはならないので、周期と報告の要否は所轄消防署に確かめてください。

まとめ

消防法は消防用設備等を設置するだけでなく維持することも求めています
自動火災報知設備の維持の基準は消防法施行規則第24条の2に置かれています
受信機の付近に操作上支障となる障害物がないことが求められています
操作部の各スイッチが正常な位置にあることも維持の基準です(同条第1号ロ)
受信機の付近には警戒区域一覧図を備えておくこととされています(同号ハ)
感知器は火災の感知を妨げる措置がなされていないことが求められます(同条第2号ロ)
発信機の附近も操作上支障となる障害物がないように維持します

さっそく受信機の前の荷物を片づけます。
警戒区域一覧図が今の間取りと合っているかも見てきます。

よい進め方です。
自動火災報知設備の点検や改修でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法第4条第1項(立入検査)
  • 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第23条(自動火災報知設備の感知器等に関する基準)
  • 消防法施行規則第24条(自動火災報知設備に関する基準の細目)
  • 消防法施行規則第24条の2(自動火災報知設備の維持に関する技術上の基準)
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
受信機の前に段ボールと脚立が置かれた防災センターの写真
立入検査で防災センターに入った検査員が、まず受信機の前の床を見ることがあります。 段ボールや脚立が置かれていると、その場で写真を撮られることもあります。 消防法は消防用設備等について、設置するだけでなく維持することまで関...