受信機を置かない自動火災報知設備があります。
特定小規模施設用自動火災報知設備のうち、すべての感知器を連動型警報機能付感知器にすれば、受信機そのものを省略できる構成です。
では受信機がない設備は、点検のときに何を見ればよいのか。
点検要領が示すのは受信機の代わりに感知器どうしのつながりを直接確かめる仕組みです。
うちの施設の火災報知設備、よく見たら受信機の箱がどこにも無いんです。
これって点検のしようがあるんでしょうか。
受信機が無いタイプですね。
点検要領にはこの構成専用の項目がちゃんと用意されています。
何をどう見れば点検したことになるのか、見当もつきません。
順番に見ていきましょう。
連動・無線・記録の3つが軸になります。
- 受信機を設けない構成の機器点検には「連動機能」という専用の項目があり、すべての連動型警報機能付感知器が連動していることを確認します
- 無線式の場合はさらに「無線機能」の項目があり、通信状態の確認または定期通信の記録確認のどちらかで判定します
- 点検票には感知器ごとに電池交換時期を記録する欄があり、ラベルの期限を確認して記入します
- 自動試験機能等対応型の感知器で構成していれば、試験機能に係る項目は省略できます
- 総合点検のうち受信機の作動を前提にした項目は、受信機が無い構成では対象外になります
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目次
連動機能はどうやって確認するのか

点検要領は、この確認を独立した項目として定めています。
ふつうの自動火災報知設備なら、受信機の表示や記録を見れば異常の有無が分かります。
ところが受信機を設けない構成には、その表示板がそもそもありません。
そこで点検要領は、所定の操作でどれか一つの感知器を作動させ、設置されているすべての感知器が連動して鳴るかどうかを直接確認する項目を独立して置いています。
一台でも連動しなければ不良として扱われるので、台数が多い施設ほど確認に時間がかかる点は見積りの段階で伝えておくと安心です。
受信機が無いぶん、この連動確認がいちばん大事な項目になるんですね。
そのとおりです。
点検のときは全部屋を回って作動を見届けるつもりでいてください。
無線機能はどうやって確認するのか

点検要領は確認の仕方を二通り用意しています。
アの方法は、感知器・中継器・地区音響装置・発信機のそれぞれについて、所定の操作でそのつど通信状態を確かめるやり方です。
イの方法は、機器が自分で定期的に通信を確かめ続ける状態保持機能を持っている場合に使えます。この場合は毎回操作で確かめ直さなくても、異常が記録・保持表示されていないことを読めば足ります。
どちらの方法が使えるかは機器の仕様で決まるので、取扱説明書でこの機能の有無を確認しておくと、点検のたびに迷わずにすみます。
うちの機器がどちらの確かめ方になるのか、業者さんに聞いてみます。
それが確実です。
状態保持機能の有無で点検の手間が変わります。
電池交換時期はどこに記録するのか

点検票の記載要領には、この電池の扱いだけの専用ルールがあります。
受信機があれば電源の異常は盤の表示でまとめて把握できますが、受信機がない構成では感知器そのものに貼られたラベルが情報源になります。
点検のたびにラベルの電池交換期限を読み、別添の管理表に書き込んでおけば、次の点検や交換のタイミングを取り違えにくくなります。
感知器を交換したときは、古い機器の番号ではなく交換後の機器製造番号を備考欄に残す決まりなので、入れ替えた直後の記入漏れに注意してください。
電池が切れそうな感知器がどれか、一覧で分かるということですね。
はい、前回の点検票を見れば分かります。
管理表はファイルせず毎回同じ場所に綴じておいてください。
自動試験機能があれば何を省略できるのか

鍵になるのは感知器が「対応型」かどうかです。
一般的留意事項(6)は、受信機を設けない連動型警報機能付感知器だけの構成であっても、使っている感知器が自動試験機能等対応型であれば自動試験機能を有するものとして扱うと定めています。
その場合、試験機能に係る項目については省略できるので、連動機能や無線機能の確認の一部または全部を、機器自身の自己診断記録を読む作業に置き換えられることになります。
ただし対応型かどうかは感知器の型式で決まるため、見た目だけでは判断できません。設置時の資料や型式を確認してから省略の可否を判断してください。
受信機が無いから省略できない、というわけではないんですね。
そのとおりです。
決め手は受信機の有無ではなく感知器の型式です。
総合点検ではどの項目が対象外になるのか

受信機が無い構成では、後者がそもそも成り立ちません。
「同時作動」は受信機が正常に作動することを判定文言に含み、「総合作動」は受信機の常用電源を遮断する操作から始まります。どちらも受信機があることが前提です。
受信機を設けない構成にはこの前提そのものが無いため、この二項目は点検のしようがなく、対象外として扱われます。
残るのは、感知器の感度試験と地区音響装置の音圧測定です。この二つは受信機の有無にかかわらず必要なので、総合点検がまるごと不要になるわけではない点は取り違えないでください。
無くなるのは一部で、感度と音圧はちゃんと残るんですね。
はい、そこは変わりません。
点検票にどの項目が対象外と書いてあるかを見積りで確認しておいてください。
よくある質問
まとめ
受信機が無くても、見るところがちゃんとあると分かりました。
これで点検業者さんとも話せます。
連動機能、無線機能、そして電池の管理表。
この3つを点検票で確かめれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日付け消防予第172号)第33 特定小規模施設用自動火災報知設備
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第33・別記様式第33
- 消防法施行令第29条の4第1項
- 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号)第2条・第3条
- 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第2条第19号の6
※本記事は公表されている法令および点検要領に基づく一般的な解説です。個別の設備の構成や機器の仕様によって扱いが異なる場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署または点検業者にご確認ください。





