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特定小規模施設用自動火災報知設備はなぜ感知器を壁に設けてよいのか|受信機を省略できる条件と非常電源の基準も解説

感知器を壁に取り付けてよい条件を示すイメージ

自動火災報知設備の感知器は、天井に取り付けるのが原則です。
けれど特定小規模施設用自動火災報知設備には、条件を満たせば壁に設けてよいという例外があります。
さらに感知器の組み合わせ次第では、受信機そのものを省略できる場合もあります。
感知器を壁に設けられる条件と、受信機を省略したときの非常電源の基準を解説します。

自火報の感知器って、天井に付けるものだと思ってました。

実は特定小規模施設用なら、条件付きで壁にも設けられるんです。

受信機も省略できるって聞いたんですが、本当ですか。

はい、感知器の種類と警戒区域の数によっては省略できます。

この記事の結論
  • 感知器は居室及び床面積が2平方メートル以上の収納室のうち、床面積30平方メートル以下の部分に限り壁へ設置できます
  • 壁に設ける場合は天井から下方0.15メートル以上0.5メートル以内の位置と定められています
  • すべての感知器が連動型警報機能付感知器で警戒区域が一つなら、受信機を設けないことができます
  • 受信機を省略した場合の非常電源は、電池の72時間点滅表示+1分間作動か停電後10分間作動のいずれかを満たす電池とします
  • 設置時の検査でも点検報告でも、壁設置・受信機省略の適用状況を記録に残すことが実務のポイントです

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特定小規模施設用自動火災報知設備の感知器が壁に設置できる条件と受信機を省略できる条件を示す図解

なぜ天井設置が原則なのに壁に設けてよい場合があるのか

特定小規模施設の居室で感知器を壁面へ設置するイメージ

特定小規模施設用自動火災報知設備は、通常の自動火災報知設備とは別の基準で作られています。
感知器の設置場所にも、天井だけでなく壁を選べる例外が用意されています。

問1 特定小規模施設用自動火災報知設備の感知器は、居室であればどんな場所でも壁に設けてよいか。
答1 居室及び床面積が2平方メートル以上の収納室のうち、床面積が30平方メートル以下のものに限り、壁への設置が認められます。

壁への設置は無条件では認められません。
対象になるのは居室と床面積2平方メートル以上の収納室で、かつその部屋の床面積が30平方メートル以下の場合に限られます。
倉庫や機械室、廊下や階段といった場所は、この壁設置の対象には含まれていません。
根拠は特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第3条第2項第三号です。
床面積が30平方メートルを超える部屋では、原則どおり天井への設置が必要になります。

うちの管理人室、床面積が広いんですけど壁でもいいんでしょうか。

30平方メートルを超えるなら、天井への設置が必要になりますよ。

壁に設ける場合天井からどのくらいの位置にすればよいのか

壁に設ける感知器の取り付け位置の離隔距離を示すイメージ

壁への設置が認められても、どこに付けてもよいわけではありません。
感知器の種類ごとに、離す距離が細かく決められています。

問2 感知器を壁に設ける場合、取り付け位置に決まりはあるか。
答2 天井から下方0.15メートル以上0.5メートル以内の位置にある壁の屋内に面する部分に設けなければなりません。

位置は感知器の種類によらず同じ範囲に収めます。
差動式・定温式・補償式スポット型は壁又ははりから0.4メートル以上離れた天井か、この壁の範囲のいずれかを選べます。
煙感知器は0.6メートル以上離れた天井か、同じ壁の範囲のいずれかになります。
根拠は特定小規模施設用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成20年消防庁告示第25号)第二の一です。
壁に付ける場合の0.15メートルから0.5メートルという範囲は、感知器の種類が変わっても共通です。

煙感知器と熱感知器で、離す距離が違うんですね。

天井に付けるときだけ違いが出て、壁の範囲は共通ですよ。

受信機を省略できるのはどんな条件のときか

連動型警報機能付感知器で受信機を省略する特定小規模施設用自動火災報知設備のイメージ

特定小規模施設用自動火災報知設備は、受信機の設置も前提です。
ただし感知器の組み合わせ次第で、この受信機を省略できる例外があります。

問3 特定小規模施設用自動火災報知設備は、必ず受信機を設けなければならないか。
答3 すべての感知器が連動型警報機能付感知器であって、警戒区域が一の場合には、受信機を設けないことができます。

省略できるのは2つの条件が同時に揃ったときだけです。
1つ目はすべての感知器が連動型警報機能付感知器であること、2つ目は警戒区域が一つであることです。
どちらか一方でも欠けると、通常どおり受信機の設置が必要になります。
根拠は同告示第二の五ただし書です。
警戒区域が二つ以上に分かれる施設では、この省略は使えません。

受信機を置く場所がなくて困っていたんです。

警戒区域が一つで感知器が連動型なら、省略できる場合がありますよ。

受信機を省略した場合非常電源はどう確保すればよいのか

受信機を省略した場合の電池を非常電源とするイメージ

受信機が無くても、非常電源そのものは必要です。
省略した場合に限って、電池を非常電源として使うための特別な条件があります。

問4 受信機を設けない場合、非常電源はどのような基準になるか。
答4 電池の電圧低下を72時間以上点滅表示等で自動的に表示した後1分間以上有効に作動できるとき、または停電後10分間以上有効に作動できる容量の電池が設けられているとき、その電池を非常電源とすることができます。

非常電源の要件は2パターンのどちらかを満たせばよい仕組みです。
電池式の連動型感知器なら電圧低下を72時間以上点滅等で表示し1分間以上作動できること、電池以外の電源なら停電後10分間以上作動できる電池を備えることが条件です。
条件を満たさない電池は、非常電源として認められません。
根拠は同告示第二の七です。
非常電源が停電時に自動で切り替わる仕組みになっているかも、あわせて確認しておきたい点です。

受信機が無いと、停電のときの電源はどうなるのか心配です。

電池が条件を満たしていれば、そのまま非常電源として使えますよ。

設置後の消防検査や点検ではどこを確認すればよいのか

着工届の添付図書で感知器の設置位置と受信機の有無を確認するイメージ

壁設置や受信機省略を使った設備は、設置して終わりではありません。
検査と点検の両方の場面で、同じ内容を確認できるようにしておく必要があります。

問5 壁設置や受信機省略の取り扱いは、設置後どのように確認すればよいか。
答5 着工届・設置届の添付図書に感知器の設置位置と受信機の有無を明記し、消防検査と点検報告の両方で同じ内容を確認できる状態にしておきます。

確認の起点は設置前の届出書類です。
着工届・設置届に添付する試験結果報告書や図面に、壁設置とした感知器の位置と受信機を省略した根拠を明記しておきます。
消防検査ではこの図書どおりに設置されているかが確認され、その後の点検報告でも同じ内容が引き継がれます。
非常電源に使う電池の交換時期も、点検の記録に残しておくと確認がしやすくなります。
書類と現地の状態がそろっていれば、検査も点検もスムーズに進みます。

つまり届出の書類と現地を、あとからでも突き合わせられるようにしておけばいいんですね。

そのとおりです。
検査でも点検でも確認しやすくなりますよ。

よくある質問

Q特定小規模施設用自動火災報知設備はどんな建物でも使えるのですか?
A回答は、消防法施行令第21条第1項に定める防火対象物のうち、特定小規模施設に該当するものに限られるとしています。対象かどうかは所轄消防署に確認するのが確実です。
Q壁に設置した感知器は、天井設置の感知器と点検方法が違いますか?
A回答は、取り付け位置が異なるだけで、点検で確認する内容そのものは天井設置の感知器と同じとしています。
Q受信機を省略した設備は、火災発生時にどうやって知らせるのですか?
A回答は、連動型警報機能付感知器どうしが連動して警報音を発する仕組みで、受信機が無くても火災の発生を報知するとしています。
Q床面積30平方メートルを超える部屋が1つでもあると、壁設置は使えなくなりますか?
A回答は、いいえとしています。部屋ごとに床面積で判定されるため、30平方メートルを超える部屋だけ天井設置にすればよいことになります。

まとめ

✔特定小規模施設用自動火災報知設備の感知器は居室・床面積2平方メートル以上の収納室のうち床面積30平方メートル以下の部分に限り壁へ設置できます
✔壁に設ける位置は天井から下方0.15メートル以上0.5メートル以内と定められています
✔天井に設ける場合、熱式は0.4メートル以上、煙感知器は0.6メートル以上壁やはりから離します
✔すべての感知器が連動型警報機能付感知器で警戒区域が一つなら、受信機を設けないことができます
✔受信機を省略した場合の非常電源は電池の72時間点滅+1分間作動か停電後10分間作動のいずれかです
✔着工届・設置届の添付図書に設置位置と受信機の有無を明記しておくことが実務の基本です
✔消防検査でも点検報告でも、届出書類と現地の状態がそろっているかを確認します

壁への設置と受信機の省略、どちらも条件さえ守れば使えるとわかって安心しました。

まずは条件を満たしているか確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第29条の4
  • 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号)第2条・第3条
  • 特定小規模施設用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成20年消防庁告示第25号)第二

※本記事は特定小規模施設用自動火災報知設備の一般的な基準を解説したものです。実際の設置にあたっては建物の用途や構造によって適用条件が異なる場合があるため、必ず所轄消防署にご確認ください。

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