自動火災報知設備の受信機の裏側には、緑と黄色の線がつながった接地端子があります。
これは飾りではなく、感電や誤作動を防ぐために消防法令で定められた構造上の要件です。
さらに接地線をつなぐ工事そのものは、消防法とは別の法律で電気工事士に限定されています。
本記事では受信機の接地端子がなぜ必要で誰が工事できるのかを、根拠条文から順に解説します。
受信機の裏に緑と黄色の線がついてるのが気になってました。
あの線は接地線ですね。
金属製の外箱を大地とつないでいます。
つけなくても普通に動くように見えるんですが。
省令で設置が義務づけられているんです。
順番に見ていきましょう。
- 受信機は消防法上の検定対象機械器具等で、検定合格の表示がなければ設置工事に使用できません
- 定格電圧が60ボルトを超える受信機の金属製外箱には、接地端子を設けることが技術上の規格で定められています
- 電気設備に関する技術基準を定める省令は、電気設備の必要な箇所に接地その他の措置を講じることを義務づけています
- 接地線の取付けなどの工事は「軽微な作業」から除かれており、電気工事士でなければ行えません
- 多くの防火対象物で自動火災報知設備の点検は消防設備士や消防設備点検資格者による定期点検が義務づけられています
▼
目次
受信機はなぜ検定に合格した製品でなければならないのか

消防法は受信機を「検定対象機械器具等」と位置づけ、検定に合格した製品だけを設置工事に使えるとしています。
消防法施行令第37条第6号により、火災報知設備の受信機は検定対象機械器具等に指定されています。
検定は総務省令で定める技術上の規格に適合しているかどうかを、あらかじめ検査する仕組みです。
つまり受信機を選ぶときは、型式や機能だけでなく検定合格の表示があるかどうかをまず確認する必要があるということです。
受信機にもマークが付いてるって聞いたことがあります。
はい、検定マークのない製品は工事に使えません。
次は接地端子の話をしましょう。
受信機の金属製外箱にはなぜ接地端子が必要なのか

その一つが、金属製の外箱に設ける接地端子です。
受信機は金属製の外箱を持つものが多く、内部の絶縁が劣化すると外箱に電圧が生じるおそれがあります。
接地端子は、外箱に生じた電圧を大地へ逃がすための出口として設けられています。
つまり接地端子は飾りの部品ではなく、感電を防ぐための構造上の要件だということです。
外箱に触れて感電することもあるんですか。
はい、絶縁の劣化が起きると外箱に電圧が生じます。
だから接地端子で逃がす仕組みなんです。
接地端子につないだ先の電気設備にはなぜ別の基準があるのか

接地端子から先の工事は、消防法とは別の法律である電気事業法の体系が扱います。
この省令は受信機に限らず、すべての電気設備に共通する接地の目標基準を定めています。
具体的な接地工事の種類や抵抗値の基準は、この省令を具体化する経済産業省の解釈でD種接地工事などとして示され、300ボルト以下の機器に広く用いられています。
つまり受信機の接地端子は、消防法の技術基準と電気設備の技術基準という二つの法体系が交わる場所にあるということです。
消防法だけの話じゃなかったんですね。
はい、電気設備の技術基準も関わってきます。
次は誰が工事できるかを見ましょう。
受信機の接地工事はなぜ誰でもできるわけではないのか

接地線をつなぐ作業には、資格そのものを定めた法律があります。
自家用電気工作物にあたる建物では、接地線の取付けや接地極の埋設を含む電気工事は第一種電気工事士でなければ従事できません。
経済産業省令はこの接地線の作業を、無資格でも行える「軽微な作業」から明確に除外しています。
つまり受信機の接地工事を依頼するときは、電気工事士の資格を持つ業者かどうかを確認することが欠かせないということです。
業者を選ぶときに資格を確認した方がいいんですね。
はい、電気工事士の資格があるかどうかを確認してください。
次は点検での確認ポイントです。
受信機の接地は日常のどこで確認できるのか

自動火災報知設備は、法律で定期的な点検が義務づけられています。
一定規模以上の防火対象物では、消防設備士又は消防設備点検資格者による定期点検が義務づけられています。
点検では外観や機能だけでなく、接地端子の緩みや配線の状態も確認の対象になります。
つまり日頃からできることは、点検の記録を確認し、接地に関する指摘があれば電気工事士へつなぐ準備をしておくことです。
点検のときに接地も見てもらえるんですね。
はい、点検の記録を確認しておくと安心です。
ここまでの基準を整理しましょう。
よくある質問
まとめ
受信機の裏側にも、こんなに細かい基準があったんですね!
接地の点検や電気工事士の手配もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第21条の2(検定対象機械器具等)
- 消防法施行令第37条第6号(受信機の検定対象指定)
- 受信機に係る技術上の規格を定める省令第3条第1項第10号(接地端子)
- 電気設備に関する技術基準を定める省令第10条・第11条(電気設備の接地)
- 電気工事士法第3条第1項・電気工事士法施行規則第2条第1項第1号ル(電気工事士の資格)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





