消防用設備等の工事を始める前には、消防長や消防署長へ「着工届」を提出しなければなりません。
この届出には工事の概要をまとめた「概要表」が添付され、自動火災報知設備の欄には受信機の点数を書く場所があります。
点数は1つにまとまっているわけではなく、自火報点数・その他点数・予備点数という三つの欄に分かれています。
なぜ受信機の容量をわざわざ三つに分けて数えるのか、その考え方を条文から確認していきます。
うちの建物、自動火災報知設備の工事を頼んだら着工届の概要表に受信機の点数を書いてくださいと言われたんです。
自火報点数とその他点数と予備点数って何ですか。
消防用設備等の着工届に添付する概要表の受信機欄ですね。
受信機が受け取る信号の種類ごとに数えて記入する欄なんですよ。
信号の種類で数え方が変わるんですね。
うちは自動火災報知設備だけですけど、それでも三つとも書くんですか。
使っていない欄には0と書いて内訳が分かるようにしておきます。
条文を見ながら詳しく確認していきましょう。
- 着工届の概要表は消防法施行規則第33条の18に基づいて提出する書類の一部です。
- 受信機に係る技術上の規格を定める省令が定める火災信号と火災情報信号を受け取った分を自火報点数として数えます。
- スプリンクラー設備など他の消防用設備等が作動した設備作動信号を受け取った分はその他点数に数えます。
- 予備点数は自火報にもその他にも使っていない実装済みの余りを示す欄です。
- P型受信機は回線数だけで足りますが、R型受信機は固有の信号を扱うため点数で細かく数えます。
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目次
着工届の概要表にはなぜ受信機の欄まで細かく決まっているのか

その届出書には設計図書の一部として概要表が添付され、設備ごとに書式が決まっています。
消防法第17条の14は、甲種消防設備士に対して工事に着手する10日前までの届出を義務づけています。
消防法施行規則第33条の18はその添付書類として平面図・系統図・計算書を挙げており、設備ごとの概要表はこの系統図を補う参考様式として消防庁の通知で示されています。
自動火災報知設備の概要表(別記様式5)には受信機の種類・回線数に加えて点数の欄があり、ここに自火報点数・その他点数・予備点数を書き分けます。
まずはこの概要表がどんな位置づけの書類なのかを押さえておきましょう。
届出のときにこんな細かい欄まで書くとは知りませんでした。
うちの工事でも概要表は必要になるんですね。
はい、系統図を補う参考資料として消防庁が示している様式です。
次は受信機の点数がどう分かれるのかを見ていきましょう。
自火報点数とその他点数はどこで線引きされるのか

この違いが自火報点数とその他点数の境目になります。
同じ省令の第二条第七号から第九号は、受信機の定義の中で「火災信号」「火災表示信号」「火災情報信号」と「設備作動信号」を並べて挙げています。
感知器や発信機から届く火災の発生を知らせる信号を受け取った分が自火報点数です。
一方、消火設備等(スプリンクラー設備の流水検知装置や防排煙設備など)が作動したことを知らせる設備作動信号を受け取った分はその他点数として区別します。
概要表の欄は、この法令上の信号の種類分けをそのまま数字に落とし込んだものにすぎません。
火災の信号か、設備が動いた信号かで分けているんですね。
うちの受信機はどちらの点数も使っているんでしょうか。
それは実際につながっている感知器や設備次第です。
次はその他点数の具体例を見てみましょう。
なぜ同じ受信機がスプリンクラー設備の信号も受け取れるのか

その仕組みを支えているのが設備作動信号という考え方です。
条文は原則として自動火災報知設備の回路と他の設備の回路の共用を禁じていますが、火災信号の伝達に影響を及ぼさないものは例外として認めています。
R型受信機やGR型受信機は、感知器・中継器ごとに固有の信号を割り当てる多重伝送の仕組みを持つため、この例外に当てはまりやすく、スプリンクラー設備の流水検知装置が作動した信号などをあわせて受信できます。
概要表に「その他点数」という欄がわざわざ用意されているのは、自動火災報知設備専用ではなく複数の設備を束ねる受信機が実際に使われているからです。
どの設備の信号を何点まとめているかは、工事前の設計段階で決めておく必要があります。
受信機1台で何でもまとめられるわけではないんですね。
点数の内訳を見れば、どの設備とつながっているか分かるということですか。
そのとおりです。
次は空欄になりがちな予備点数の話をします。
予備点数はどんな数字を書く欄なのか

これが予備点数です。
「予備」と聞くと将来の増設のために空けておく余地のように感じますが、記載要領が定義しているのは受信機に実装済みの点数のうち、自火報にもその他にも割り当てられていない残りです。
つまり受信機というハードウェアが処理できる容量には初めから余裕があり、その余りがそのまま数字として記入される仕組みです。
法令が予備点数の確保そのものを義務づけているわけではありませんが、この欄を見れば工事直後の時点でどれだけ増設の余地があるかが一目で分かります。
使っていなければ0と書けばよく、無理に数字を作る必要はありません。
予備点数は0でもいいと聞いて安心しました。
無理に将来のぶんまで考えて数字を書く必要はないんですね。
そうなんです、実装済みの余りを書くだけで足ります。
最後はP型とR型で数え方そのものが違う理由を見ていきましょう。
P型受信機とR型受信機で点数の数え方はなぜ違うのか

最後にこの違いがどこから来るのかを見ていきます。
P型受信機は受信機に係る技術上の規格を定める省令第二条第八号のとおり、火災信号等を共通の信号として受信する仕組みなので、警戒区域ごとに引かれた配線=回線の本数を数えれば足ります。
これに対してR型受信機は同条第九号のとおり、火災信号等を固有の信号として受信する仕組みで、1本の伝送線に多数の感知器や中継器が個別の信号を載せてぶら下がっています。
配線の本数では実態を表せないため、感知器や中継器1台ごとに割り当てられた「点」の数で容量を管理する必要があるのです。
着工届の概要表がP型とR型で欄の作りを変えているのは、受信機が信号を受け取る仕組みそのものの違いを映しているだけといえます。
回線の本数で数えるか、点の数で数えるかの違いだったんですね。
うちの受信機がどちらの型式か、担当の方に確認してみます。
はい、それが分かれば概要表の見方もぐっと分かりやすくなります。
迷ったときは着工届を提出する消防設備士の方にも確認してみてください。
よくある質問
まとめ
点数の意味がやっと分かりました!
工事の担当の方と欄の中身をきちんと確認します。
それが分かれば概要表も怖くありません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の14(工事整備対象設備等の着工の届出)
- 消防法施行規則第33条の18(工事整備対象設備等着工届出書の様式及び添付書類)
- 消防法施行規則第24条第一号(自動火災報知設備の配線に関する基準の細目)
- 受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十九号)第二条第七号・第八号・第九号(受信機・P型受信機・R型受信機の定義)
- 工事整備対象設備等着工届出書の概要表の記載要領(令和五年三月三十日消防予第百九十六号・消防危第六十八号)
※この記事は一般的な内容を解説したものです。個別の工事・届出の可否は所轄の消防長又は消防署長にご確認ください。





