消防庁が「危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における条件付自動制御装置の使用に係る運用について」を通知したのは、令和8年2月27日、消防危第37号によってです。
これまで実証実験として運用されてきたAIによる給油監視の仕組みが、規則の正式な制度として組み込まれました。
装置が継続的に監視すべき項目や、危険を検知したときの対応まで、具体的な基準が示されています。
実証実験の店舗もそうでない店舗も、まずは新しい基準の中身を確認するところから始まります。
うちはまだ普通の制御卓でセルフ給油所を運用しているんですが、AIで監視する仕組みに変えないといけないんでしょうか。
いいえ、条件付自動制御装置は義務ではなく選べる制度です。
ただし使うなら令和8年2月の規則改正に沿った基準を満たす必要があります。
うちは前から実証実験でAIシステムを試しているんですが、そのまま使い続けられますか。
はい、経過措置の1年間は従来どおり使えます。
順番に見ていきましょう。
- 消防危第37号(令和8年2月27日)は、条件付自動制御装置を実証実験段階から規則上の正式な制度に切り替えた通知です
- 条件付自動制御装置は規則第28条の2の5第8号が定める装置で、係員による監視・制御を代替します
- 装置はア〜クの8項目を継続的に監視し、複数の顧客の立入りや携行缶等の持込みも別途検知する必要があります
- 危険を検知したときは画面表示と警報音で知らせ、レーンの給油作業を止める仕組みが求められます
- 実証実験でAIシステムを導入済みの給油取扱所は改正省令の施行日から1年間だけ従来どおりの運用が認められます
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目次
セルフ給油所の条件付自動制御装置はなぜ実証実験から正式な制度になったのか

実証実験を経て、令和8年の規則改正でようやく恒久的な基準に組み込まれました。
背景にあるのは、令和6年3月29日の消防危第75号で始まった条件付自動型AIシステムの実証実験です。
実証実験に参加していた給油取扱所のノウハウをもとに、規則第28条の2の5第8号として恒久的な制度に格上げされました。
本通知も消防組織法第37条に基づく助言として発出されており、義務というより運用の目安を示すものです。
AIで監視するっていうのは、もう義務になったってことですか。
いいえ、導入するかどうかは任意です。
導入する場合の基準が固まった、と考えてください。
条件付自動制御装置が使えるのはどのセルフ給油所か

規則の定義と、実証実験からの切り替え時期の両方を確認しておく必要があります。
条件付自動制御装置は、係員による監視と制御の両方を代替できる装置として位置づけられています。
実証実験でAIシステムを導入済みの店舗は、改正省令の施行日から1年間だけ従来の75号通知の基準のままで構いません。
ただしその1年が過ぎれば、75号通知は廃止され、新しい基準に合わせる必要があります。
うちは実証実験に参加していないんですが、これから導入する場合はどうなりますか。
最初から令和8年2月の新基準に沿って導入することになります。
次は具体的な監視項目を見ていきましょう。
条件付自動制御装置は何を継続的に監視しなければならないのか

継続的に見る項目と、その都度検知すればよい項目の2つに分かれます。
ア〜クは給油作業の一連の流れそのものを追いかける項目で、停車から給油ノズルを戻すまでを常時見ています。
ケの複数の顧客の立入りとコの携行缶等の持込みは、単独では給油作業に含まれない周辺の危険を拾うための項目です。
10項目のどれか1つでも監視できない装置は、条件付自動制御装置として認められません。
火気を扱おうとする動作まで見られるんですね。
はい、火災の有無も含めて常時監視する項目です。
次は危険を検知したときの動きを見てみましょう。
危険を検知したとき装置は何をしなければならないのか

危険を検知したときにどう知らせ、どう止めるかまで基準が決まっています。
給油ノズルを差し込んだまま顧客が離れる、レーン付近に別の顧客が立ち入るといった場面が「安全上の支障」として具体的に例示されています。
該当したレーンは顧客の給油作業等が行えない状態にされ、装置が正常に作動していないときは手動で止める機能も欠かせません。
係員は装置に任せきりにせず、報知があればすぐ対応できる体制を整えておく必要があります。
警報が鳴ったら、係員は何をすればいいんですか。
まずはレーンの状況を確認し、必要なら給油を止めてください。
対応の手順は予防規程に書いておきます。
予防規程には何を書けばよいのか

規則が求める5つの項目を確認しておきましょう。
可搬式の制御機器を使うなら、給油取扱所の敷地内であれば顧客用固定給油設備等の近傍以外の場所から監視しても差し支えないとされています。
装置が基準に適合するかどうかは第三者機関の試験確認等を活用でき、係員任せで判断する必要はありません。
装置が代替してくれる場面が増えても、係員は危険物の取扱いに係る責務を引き続き持ち続けます。
予防規程は書き足すだけでいいんですか。
はい、5つの記載事項を漏れなく盛り込めば大丈夫です。
迷ったら所轄消防署に相談してください。
よくある質問
まとめ
実証実験からの切り替えと監視項目、よく分かりました。
監視項目の確認から予防規程の見直しまで、一緒に整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則の一部改正に伴う顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における条件付自動制御装置の使用に係る運用について(令和8年2月27日 消防危第37号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令の公布について(令和8年2月27日 消防危第31号)
- 危険物の規制に関する規則第28条の2の5、第60条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





