屋内消火栓設備やスプリンクラー設備の加圧送水装置には、ポンプの状態を伝える制御盤が付いています。
盤面には電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流という4種類の表示灯が並び、警報が鳴る仕組みも備わっています。
実はこの警報、鳴っても電動機を止めない設計になっていることは意外と知られていません。
本記事では加圧送水装置の制御盤になぜこのような表示灯と警報の仕組みがあるのかを、根拠となる告示から順に解説します。
ポンプ室の制御盤に、ランプがいくつも並んでいるのが気になっていました。
あれは消防庁告示で色まで決められた表示灯です。
警報の仕組みもあわせて決まっています。
警報が鳴ったらポンプも止まるものだと思っていました。
実は逆なんです。
順番に見ていきましょう。
- 加圧送水装置の制御盤には、電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流という4種類の表示灯を設けなければなりません
- 起動用スイッチ・停止用スイッチや表示灯は、名称又は用途を見やすい箇所に消えないように表示することとされています
- 呼水槽減水警報装置及び電動機過電流警報装置は、作動しても電動機を自動的に停止させてはならないと定められています
- この警報の停止及び復帰は、直接操作によってのみ行われるものでなければなりません
- 非常動力装置をポンプに付置した場合に限り、過電流警報と連動して非常動力装置を起動させることが認められます
▼
目次
加圧送水装置の制御盤にはなぜ4種類の表示灯が並ぶのか

実はこの色分けにも、告示で決められた明確な役割があります。
制御盤は加圧送水装置の監視と操作をまとめて担う装置と告示上定義されています。
電源表示灯(白色)と運転表示灯(赤色)は、電源が入り実際にポンプが動いているかを示す表示です。
呼水槽減水表示灯と電動機過電流表示灯はどちらも橙色で、異常を知らせる警戒色になっています。
つまり色を見るだけで、正常運転なのか警戒すべき状態なのかを瞬時に見分けられる設計だということです。
制御盤の表示灯、たくさんあって何を見ればいいのか迷います。
まずは白と赤の意味から見ていきましょう。
次はスイッチの表示です。
制御盤の起動用スイッチや表示灯はなぜ名称の表示まで義務づけられるのか

誰が操作しても迷わないための工夫です。
制御盤には電動機や内燃機関を直接操作できる起動用スイッチと停止用スイッチを設けることが義務づけられています。
あわせて、これらの装置は名称や用途を見やすい箇所に消えないように表示しなければなりません。
これは、日常点検や緊急時に別の担当者が操作しても迷わないようにするための配慮です。
つまり制御盤の表示は飾りではなく、誰が扱っても安全に操作できるようにするための仕組みだということです。
名前が書いてあれば、初めて見る人でも迷わずに済みますね。
はい、誰が操作しても迷わない設計です。
次は警報が鳴ったときの話をします。
電動機過電流警報装置はなぜ電動機を自動的に止めない設計なのか

ところが告示の定めは、その予想とは違う設計を求めています。
呼水槽減水警報装置や電動機過電流警報装置は、いずれもベル・ブザー等で音響を発して異常を知らせます。
ただし告示は、これらの警報が作動しても電動機を自動的に停止させる機能を持たせてはならないと定めています。
消火のための送水を、警報の作動だけで機械的に止めてしまっては本末転倒になるためです。
つまり警報は異常を知らせるだけで、送水を続けるかどうかの判断は人に委ねられているということです。
警報が鳴ったら、てっきりポンプも止まると思っていました。
いいえ、送水は止めない設計なんです。
ただし例外もあるので見ておきましょう。
非常動力装置と連動させる場合はなぜ例外になるのか

その条件は、送水を止めないための工夫と深く関わっています。
非常動力装置とは、内燃機関やガスタービン等の原動機でポンプを駆動する装置と定義されています。
電動機用のポンプにこの非常動力装置を付け加えている場合に限り、過電流警報の作動と連動して非常動力装置を起動させることが認められます。
これは電動機を止めるのではなく、別の動力源に切り替えて送水を継続させるための連動だからです。
つまり例外が許されるのは、送水そのものが途切れない構成になっている場合だけだということです。
止めるんじゃなくて、切り替えるための連動なんですね。
はい、送水を止めないための例外です。
最後に点検の視点を整理しましょう。
点検のときに表示灯と警報装置の何を確認すればよいのか

最後に、点検で実際に確かめるべき視点を整理します。
消防法施行規則は、加圧送水装置の構造や性能を消防庁長官が定める基準、つまりここまで見てきた告示に委ねています。
点検の実務では、電源・運転・呼水槽減水・電動機過電流の4種類の表示灯が正しく点灯するかをまず確認します。
あわせて警報のベル・ブザーが鳴るか、停止や復帰が直接操作でしか行えないかも確認の対象です。
つまり表示灯と警報装置は、条文を読むだけでなく実際に作動させて確かめるべき設備だということです。
点検のときは、実際に警報を鳴らしてみるということですね。
はい、作動させて確認するのが基本です。
ここまでの内容を整理しましょう。
よくある質問
まとめ
制御盤のランプの意味が、やっと分かりました!
表示灯や警報装置の点検もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ニ(屋内消火栓設備の加圧送水装置の構造及び性能)
- 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第六 付属装置等 一 制御盤
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。





