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危険物取扱者試験はなぜ火薬類の資格者だけ科目免除になるのか|乙種第1類と第5類に限られる仕組みを解説

危険物取扱者試験の火薬類資格者向け科目免除を解説する記事のアイキャッチ画像

危険物取扱者試験には、乙種の一部の類だけで使える科目免除があるのをご存じですか。
すでに火薬類の免状を持っている方は、申請するだけで一部の科目が免除されます。
ただし対象になるのは乙種の試験だけで、しかも類の種類まで限られています。
火薬類の資格者だけが対象になる仕組みを、条文から解説します。

火薬類の仕事もしているんですが、危険物取扱者試験は普通に全科目受けるしかないですよね。

実は免除の制度があります。
ただし対象はかなり限られています。

免除の制度があること自体、今まで知りませんでした。

知らずに損をする方も多いです。
条文を一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 危険物取扱者試験には、火薬類の資格者向けの科目免除があります。根拠は危険物の規制に関する規則第55条第5項です
  • 対象は乙種第1類または第5類の試験だけです。甲種・丙種や他の類の乙種には適用されません
  • 対象になる免状は、火薬類取締法にもとづく火薬類製造保安責任者免状火薬類取扱保安責任者免状です
  • 免除されるのは試験科目の一部だけで、全部が免除になるわけではありません
  • 免除は自動では適用されず、申請と免状の写しの提出が必要です

危険物取扱者試験の火薬類資格者向け科目免除の流れを示す図解

危険物取扱者試験にはどんな科目免除があるのか

試験机と参考書の束が並ぶ場面
危険物取扱者試験には、いくつかの科目免除の制度があります。
そのなかに、火薬類の資格者だけが使える免除もあります。
消防法第13条の3 1 危険物取扱者試験は、危険物の取扱作業の保安に関して必要な知識及び技能について行う。(略)3 危険物取扱者試験は、前項に規定する危険物取扱者試験の種類ごとに、毎年一回以上、都道府県知事が行なう。
試験は危険物取扱いの保安に必要な知識と技能を確認するものです。
すでに火薬類の分野で同じような知識を身につけている方は、一部の科目が重なります。
この重なりを踏まえて、危険物の規制に関する規則が科目免除の仕組みを定めています。
甲種・乙種・丙種のうち、この免除が使えるのは乙種だけです。
まずは自分がどの種類の試験を受けようとしているのかを確認してください。

科目免除にもいろいろ種類があるんですね。

いくつかあります。
火薬類の免除の中身を見てみましょう。

どんな資格を持つ人が対象になるのか

火薬庫の前で免状を掲げる作業員
対象になる試験区分と、対象になる免状の種類を確認します。
どちらも条文が具体的に列挙しています。
危険物の規制に関する規則第55条 5 第一類又は第五類の危険物に係る乙種危険物取扱者試験を受ける者であつて、火薬類取締法第三十一条第一項の規定による甲種火薬類製造保安責任者免状、乙種火薬類製造保安責任者免状若しくは丙種火薬類製造保安責任者免状又は同条第二項の規定による甲種火薬類取扱保安責任者免状若しくは乙種火薬類取扱保安責任者免状を有する者については、申請により、(略)試験科目を免除するものとする。
対象は乙種第1類または第5類の試験を受ける人だけです。
持っている免状は、火薬類製造保安責任者免状火薬類取扱保安責任者免状のいずれかである必要があります。
どちらも火薬類取締法にもとづく免状で、甲種・乙種・丙種の区分があります。
第2類・第3類・第4類・第6類の乙種を受ける人は、この免除の対象にはなりません。
自分の免状の種類と、これから受ける試験の類が両方あてはまるかを確認してください。

火薬類の免状ならどれでも使えるわけではないんですね。

製造保安責任者と取扱保安責任者、どちらかがあれば大丈夫です。
次に免除される科目を見てみましょう。

具体的にどの科目が免除されるのか

一部のページにチェック印が押された教科書
免除の対象は、乙種試験科目のうち一部だけです。
どの項目が免除されるのか、条文の号を追って確認します。
危険物の規制に関する規則第55条 2 乙種危険物取扱者試験の試験科目は、次のとおりとする。一 基礎的な物理学及び基礎的な化学 イ 危険物の取扱作業に関する保安に必要な基礎的な物理学 ロ 危険物の取扱作業に関する保安に必要な基礎的な化学 ハ 燃焼及び消火に関する基礎的な理論 二 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 (略)ロ 第一類から第六類までのうち受験に係る類の危険物に共通する特性 (略)ニ 受験に係る類の危険物の品名ごとの一般性質 (略)三 危険物に関する法令 5 (略)第二項第一号イ及びロ並びに第二号ロ及びニの試験科目を免除するものとする。
免除されるのは、基礎的な物理学・化学と、危険物の類に共通する特性・一般性質の4項目です。
第1号のうち燃焼及び消火に関する基礎的な理論は免除の対象に含まれていません。
第2号のうち火災予防及び消火の方法にあたる項目も免除されません。
そして第3号の危険物に関する法令は、免除の対象からまるごと外れています。
免除される項目と残る項目を混同しないよう、条文の号と符号で確認してください。

てっきり性質のところは全部まとめて免除されると思っていました。

そこはよくある誤解です。
火災予防と消火の方法、それに法令は残ります。

見落としやすい落とし穴はどこにあるのか

複数の薬品容器のうち一部だけに印が付く場面
似たような科目免除の制度は、ほかにもあります。
条文の号が違うので、混同しないよう確認しておきます。
危険物の規制に関する規則第55条 6 一種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者で、他の種類の乙種危険物取扱者試験を受けるものについては、第二項第一号及び第三号の試験科目を免除するものとする。
第55条第6項の免除は、火薬類とは無関係のまったく別の制度です。
こちらは乙種免状をすでに持っている人が、別の類の乙種を受けるときに使える免除です。
免除される範囲も第1号の全部と第3号の一部で、火薬類の免除(第5項)とは組み合わせが異なります。
火薬類の免状しか持っていない人は、第5項の免除だけが対象になります。
自分がどちらの条文にあてはまるのか、持っている免状の種類から先に確認してください。

乙種を持っている人向けの免除と、火薬類の人向けの免除は別物なんですね。

条文の号がそれぞれ違います。
最後に申請の手順を確認しましょう。

免除を受けるにはどう申請すればよいか

窓口で写真付きの書類を提出する場面
免除は黙っていても付くものではありません。
受験の手続きのなかで、決まった書類を添えて申請します。
危険物の規制に関する規則第57条 試験を受けようとする者は、都道府県知事が定めるところにより、別記様式第二十五の受験願書並びに次の書類及び写真を都道府県知事に提出しなければならない。(略)二 第五十五条第五項又は第六項の規定により試験科目の一部の免除を受けようとする者は、その有する又は交付を受けている当該各項に規定する免状の写し 三 提出前六月以内に撮影した写真
免除を受けるには、受験願書と一緒に免状の写しを提出します。
提出先は、試験を行う都道府県知事です。
提出する書類は受験願書と免状の写しです。
写しを添えず通常どおり出願すると、免除を受けずに全科目を受験することになります。
出願の締め切りは試験ごとに決まっているので、余裕をもって書類をそろえてください。
不明な点があれば、出願先の都道府県の試験案内で確認しておくと安心です。

免状の写しを忘れずに出せば、それで免除になるんですね。

それで手続きは完了です。
出願前に対象の類と免状を確認しておいてください。

よくある質問

Q甲種危険物取扱者試験でも火薬類の科目免除は使えますか?
A使えません。危険物の規制に関する規則第55条第5項が対象とするのは乙種第1類または第5類の試験だけです。甲種・丙種には適用されません。
Q乙種第4類の試験でこの免除は使えますか?
A使えません。第55条第5項が対象とする類は第1類と第5類だけです。第4類を含む他の類には適用されません。
Q危険物に関する法令の科目も免除されますか?
A免除されません。条文が指定するのは第二項第一号イ・ロと第二号ロ・ニだけで、危険物に関する法令(第三号)は含まれていません。
Q免状の写しを提出しなければ免除は受けられませんか?
A受けられません。危険物の規制に関する規則第57条第2号が、免除を受ける者に免状の写しの提出を求めています。詳しくは出願先の都道府県にご確認ください。

まとめ

危険物の規制に関する規則第55条第5項が、火薬類の資格者向けの科目免除を定めています
対象は乙種第1類または第5類の試験だけで、甲種・丙種や他の類には適用されません
対象になる免状は、火薬類取締法にもとづく製造保安責任者免状取扱保安責任者免状です
免除されるのは基礎的な物理学・化学と類に共通する特性・一般性質の4項目だけです
火災予防及び消火の方法危険物に関する法令は免除の対象外です
乙種免状保有者向けの第6項の免除とは条文の号も範囲も異なります
受験願書に免状の写しを添えて申請しないと免除は受けられません

持っている免状と受ける類を、出願前にしっかり確認します!

それが確実です。
危険物取扱者の資格取得やその後の選任など、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第13条の3
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第55条・第57条
  • 火薬類取締法(昭和25年法律第149号)第31条
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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