着工届や設置届には、配管や配線の系統図を添付する決まりがあります。
ところが令和5年の通知は、この系統図を試験結果報告書で代用できる場合があると示しました。
もう一つの鍵は、消防用設備等の計算書や添付図書の書式です。
なぜ試験結果報告書で系統図を省けるのか、消防検査との関わりまで整理します。
着工届の書類、平面図と系統図と計算書を毎回ぜんぶ作るのが正直しんどいです。
実は条件を満たせば、試験結果報告書で系統図を代用できます。
どんな条件なら、それで済むのか気になります。
令和5年の通知にある条件を、順番に見ていきましょう。
- 令和5年3月30日の消防予第196号・消防危第68号通知が、着工届・設置届に添付する図書の扱いを示しました
- 配管の系統図には構成・経路・口径、配線の系統図には電源系統や作動順序を明記します
- 平面図・計算書・試験結果報告書で記載事項を確認できれば、それらをもって系統図として扱ってよいとされています
- 計算書には水量や消火薬剤量の算出方法など7つの事項を明記します
- 添付図書は原則日本産業規格A4で、縮尺は100分の1が原則です
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目次
着工届の系統図にはなぜ配管と配線を分けて明記するのか

着工届には、消防用設備等の工事の設計に関する図書として平面図・系統図・計算書の3点を添付します。
このうち系統図には、配管と配線で書くべき内容が分けて定められています。
系統図は配管用と配線用の2枚で役割が違います。
配管の系統図は構成・経路・口径を系統的に示す図面で、水や消火薬剤がどう流れるかを追える形にします。
配線の系統図は電源系統と作動順序を示す接続関係が中心で、感知器が作動してから受信機や非常電源へどうつながるかを表します。
どちらも「系統図」とひとまとめに呼ばれますが、中身は別物として作成する必要があります。
図面を発注する際は、この2つの記載事項が両方そろっているかを最初に確認すると手戻りが減ります。
平面図と系統図、正直どちらも同じような図面だと思っていました。
配管の経路・口径と配線の作動順序、書く内容が違います。
なぜ試験結果報告書があれば系統図を別に作らなくてよいのか

系統図は決まった様式がある書類ではありません。
必要な事項さえ他の書類でそろっていれば、それで足りるとされています。
系統図の記載事項が他の書類で確認できれば、そちらで代用できます。
条文は「配管の経路・口径」「配線の電源系統・作動順序」を系統図に明記せよとしか定めておらず、様式そのものを1枚の図面に限定していません。
そこで平面図・計算書・試験結果報告書を合わせ読めば同じ事項が確認できる場合は、その3点をもって系統図の代わりとしてよいと整理されました。
逆にいえば、どれか1つでも系統図の記載事項を欠いていれば代用は成り立たず、系統図そのものを別に用意する必要があります。
図面を1枚減らせるかどうかは、まず計算書と試験結果報告書の記載を見比べるところから判断します。
それなら系統図を別に描かなくても済む現場があるということですね。
条件を満たせばその通りです。
書類を見比べて確認しましょう。
計算書にはなぜ7つの算出根拠を明記する必要があるのか

計算書は数字だけを並べる書類ではありません。
どう計算したかという根拠まで示す決まりになっています。
計算書には数量だけでなく計算の根拠まで書きます。
水量や消火薬剤量、加圧送水装置や加圧ガス容器の容量、摩擦損失を含む所要揚程、電動機や非常電源の容量、避難器具の取付金具の強度まで、設備ごとに関係する項目の算出方法を示します。
数値だけを結果として書いても、係数やアイソメ図といった根拠が添えられていなければ、審査の場で計算の過程を確認できません。
すべての設備で7項目全部が該当するわけではなく、設置する設備の構成に応じて必要な項目だけを満たせば足ります。
図面と同じく、計算書も設計段階でどの項目が必要かを洗い出しておくと後戻りが少なくて済みます。
計算書って、正直どこまで細かく書けばいいのか分かりませんでした。
係数や図の根拠まで示すのが決まりです。
数字だけでは足りません。
添付図書の様式はなぜA4と縮尺100分の1が原則なのか

図書の中身だけでなく、紙の大きさや縮尺にも決まりがあります。
審査する側が短時間で図面を読み取れるようにするためです。
紙で出す添付図書はA4に折り上げるのが原則です。
大きな図面をそのまま提出すると保管や照合が難しくなるため、A4に折りたたんでそろえます。
縮尺は100分の1が原則ですが、建物の規模によっては別の縮尺が使われることもあります。
ただし電子データで受け付ける消防本部では、この折り上げA4・縮尺100分の1という原則は適用されません。
紙と電子データのどちらで届け出るかは所轄の消防本部の運用によるため、事前に確認しておくと二度手間になりません。
うちの管轄、図面は電子データでの提出でした。
それでも縮尺は揃えるべきですか。
電子データなら原則の対象外です。
所轄消防本部に確認しましょう。
試験結果報告書はなぜ消防検査でも活きるのか

着工届の段階で系統図の代わりに使った試験結果報告書は、そこで役目を終えるわけではありません。
設置届を経て、消防検査の場でも同じ書類が使われます。
試験結果報告書は着工届から消防検査まで一貫して使われる書類です。
設置届の段階でも、試験結果報告書は消防用設備等に関する図書の一つとして提出が義務づけられています。
消防長や消防署長は、届け出られた設計図書と試験結果報告書を手元に置き、現場の設備と照らし合わせながら消防検査を行います。
さらに、消防同意などで既に提出済みの図書があれば、それを流用して着工届・設置届の添付図書に代えることも認められています。
つまり同じ書類を何度も作り直さずに済むよう、着工から検査までの各段階で書類を使い回せる仕組みが整えられているということです。
同じ書類がそんなに何度も使われているとは知りませんでした。
試験結果報告書は着工から検査まで働く書類です。
大切に保管してください。
よくある質問
まとめ
系統図を作らなくていい場合があるなんて、知りませんでした。
すっきりしました!
書類が揃っているか迷ったら、早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 設置届及び着工届の添付図書等に関する運用について(令和5年3月30日消防予第196号・消防危第68号)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第3項・第17条の14
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3・第33条の18
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





