建築基準法に違反したとき、罰せられるのは設計者や工事施工者なのか、気になる人は多いのではないでしょうか。
第99条第1項の第8号や第9号には、設計者を罰する規定があります。
今回は第8号・第9号・第15号・第16号と第2項を中心に、罰せられる人と、罰則が及ぶ場合を解説します。
設計者や工事施工者も、罰則の対象になるのですか。
第99条第1項の第8号と第9号に、設計者を罰する規定があります。
この記事では、その中身を確認します。
建築主や建物の所有者は、対象にならないのですか。
第2項と、第15号・第16号に別の定めがあります。
順番に見ていきましょう。
- 第8号は、第20条などの規定に違反した場合の設計者を、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で罰すると定めています。
- 括弧書きで、設計図書と異なる材料を引き渡した者や、設計図書に従わずに施工した工事施工者も対象になります。
- 第9号は、第36条に基づく政令のうち消火設備・避雷設備・配管設備・煙突・昇降機の規定に違反した場合の設計者などを対象にしています。
- 第15号と第16号は、第87条第3項で準用する規定に違反した場合の所有者、管理者又は占有者を対象にしています。
- 第2項は、第8号・第9号の違反が建築主などの故意によるとき、建築主等にも同じ刑を科すと定めています。
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目次
建築基準法第99条第1項第8号はどんな違反で設計者を罰するのか

(建築基準法第九十九条第一項)八 第二十条(第一項第四号に係る部分に限る。)、第二十二条第一項、第二十三条、第二十五条、第二十八条第三項、第二十八条の二(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十二条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十三条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条第二項、第三十五条の三、第三十七条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条、第六十七条第一項又は第八十八条第一項において準用する第二十条の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)
第8号は、第20条(第1項第4号に係る部分に限る)、第22条第1項、第23条、第25条、第28条第3項、第28条の2、第32条、第33条、第34条第1項、第34条第2項、第35条の3、第37条、第61条、第62条、第64条、第67条第1項と、第88条第1項で準用する第20条の規定に違反した場合を挙げています。
罰せられるのは、当該建築物、工作物又は建築設備の設計者です。
これらの条文の見出しには、構造耐力、屋根、外壁、電気設備、避雷設備、昇降機、建築材料の品質、防火地域内の建築物、看板等の防火措置などがあります。
第8号は、防火管理者にも関係があるのですか。
第8号は建築の設計や工事の違反を扱う規定で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物の内容を知るうえで役立ちます。
設計者以外に引き渡した者や工事施工者が罰せられるのはどんな場合か

設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合は、その材料等を引き渡した者が対象です。
設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、工事施工者が対象です。
ただし、異なる材料等を引き渡された者が、それを使って工事を施工した場合は、施工者の対象から除かれています。
設計図書のとおりに施工すれば、施工者は対象外なのですか。
条文は、設計図書に従わない施工を挙げています。
どの行為が該当するかは、条文だけでは判断できません。
消火設備や避雷設備などの政令違反を定める第9号は誰を罰するのか

(建築基準法第三十六条)居室の採光面積、天井及び床の高さ、床の防湿方法、階段の構造、便所、防火壁、防火床、防火区画、消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに浄化槽、煙突及び昇降機の構造に関して、この章の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準は、政令で定める。
対象は、第36条のうち、消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限られます。
第36条の本文には、浄化槽なども挙がっていますが、第9号の括弧書きには入っていません。
防火壁、防火床及び防火区画の設置及び構造に係る部分は、第98条第1項第3号が別に定めています。
第9号の具体的な基準は、どこで確かめるのですか。
第36条は、技術的基準を政令で定めるとしています。
個別の基準は、建築の窓口で確かめましょう。
用途変更後の建築物の消火設備の違反は誰が罰せられるのか

(建築基準法第九十九条第一項)十六 第八十七条第三項において準用する第三十六条(消火設備の設置及び構造に関して、第三十五条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者
(建築基準法第八十七条第三項(前段))第三条第二項の規定により第二十七条、第二十八条第一項若しくは第三項、第二十九条、第三十条、第三十五条から第三十五条の三まで、第三十六条中第二十八条第一項若しくは第三十五条に関する部分、第四十八条第一項から第十四項まで若しくは第五十一条の規定又は第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第三項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで、第六十八条の二第一項若しくは第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の規定(次条第一項において「第二十七条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
第15号は、第28条第3項又は第35条の3を準用する場合です。
第16号は、第36条のうち消火設備の設置及び構造に関して、第35条の規定を実施し、又は補足するために安全上及び防火上必要な技術的基準に係る部分の政令を準用する場合です。
第87条第3項は、第3条第2項の規定により第28条第3項、第35条から第35条の3まで、第36条(一部)などの規定の適用を受けない建築物の用途を変更する場合に、これらの規定を準用すると規定しています。
第8号・第9号と違い、罰せられるのは設計者ではなく、建築物の所有者、管理者又は占有者です。
用途を変えるときは、消防署だけに相談すればよいのですか。
建築基準法の規定は、建築の窓口の領分です。
消防法令の義務は別に、所轄消防署で確かめます。
建築主の故意による違反は建築主にも罰則が及ぶのか

「同項の刑」は、第1項の1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金を指す条文の書き方です。
故意にあたる具体的な場面は、条文には書かれていません。
ここまでの内容を、号ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 号・項 | 違反の内容 | 罰せられる人 |
|---|---|---|
| 第8号 | 第20条(一部)から第67条第1項などの規定の違反 | 設計者(括弧書きで引き渡した者・工事施工者) |
| 第9号 | 第36条に基づく政令(消火設備・避雷設備・配管設備・煙突・昇降機)の違反 | 設計者(第8号と同じ括弧書き) |
| 第15号 | 第87条第3項で準用する第28条第3項・第35条の3の違反 | 所有者、管理者又は占有者 |
| 第16号 | 第87条第3項で準用する第36条(消火設備に係る部分)の政令の違反 | 所有者、管理者又は占有者 |
| 第2項 | 第8号・第9号の違反が建築主などの故意によるとき | 設計者又は工事施工者に加え、建築主等 |
防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、どの行為が違反に当たるかは、第99条の条文には書かれていません。
建物の設計や工事、用途変更に関わるときは、建築基準法にも罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 設計や工事が設計図書のとおりかを、設計者と工事施工者に確かめる。
- 消火設備や避雷設備の設置が、政令の基準に合っているかを、建築の窓口で確かめる。
- 用途変更を予定するときは、消火設備の基準を、建築の窓口へ確かめる。
- 所有者、管理者又は占有者として、変更後の設備の状況を確かめる。
- 消防法令の義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず、設計や工事が設計図書のとおりかを確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
\n\nまとめ
設計者や施工者にも、罰則があることがよく分かりました。
まず、設計図書のとおりかを確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第三十六条・第八十七条・第九十九条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





