建築基準法に違反したとき、罰せられるのは違反をした本人だけなのでしょうか。
会社の従業者が仕事のうえで違反をした場合の扱いも気になるところです。
今回は建築基準法第105条を中心に、行為者のほか法人や人にも罰金刑が科される仕組み、一億円以下の罰金刑と各本条の罰金刑の分かれ方、特殊建築物等の意味、第98条第2項、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
建築基準法に違反すると、違反した本人だけが罰せられるのですか。
第105条に、行為者のほか法人や人にも罰金刑を科す規定があります。
まず条文から確認します。
法人に科される罰金の額は、みんな同じなのですか。
号ごとに定めが分かれていて、第1号には一億円以下の罰金刑が出てきます。
順番に見ていきましょう。
- 法人の代表者や従業者などが業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人や人にも罰金刑が科されます(第105条)。
- 第1号は、法人に対して一億円以下の罰金刑を定めています。
- 第2号は、法人に対して各本条の罰金刑を科すと定め、第98条・第99条・第101条・第103条などが挙がっています。
- 「特殊建築物等」は、第6条第1項第1号に掲げる建築物その他多数の者が利用するものとして政令で定める建築物とされています。
- 第98条第2項は、設計者又は工事施工者の違反が建築主の故意によるときは、建築主にも同項の刑を科すと定めています。
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目次
従業者が違反したとき行為者のほかに法人や人も罰せられるのか

ここでの要件は、違反行為がその法人又は人の業務に関して行われたことです。
法人には各号に定める罰金刑が、人には各本条の罰金刑が科される形です。
どの行為が業務に関してに当たるかの個別の判断は、この条文には書かれていません。
従業者が現場で違反をしたら、会社は関係ないのではないですか。
条文は、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑を科すと書いています。
法人に一億円以下の罰金刑が科されるのは第1号のどんな場合か

第98条第1項第1号の括弧書きには、第20条、第21条など多くの条の規定に違反する特殊建築物等が並んでいます。
金額は、条文に一億円以下の罰金刑と書かれています。
括弧書きに並ぶ個別の規定の内容は、この条文では説明されていないので、本記事では立ち入りません。
第1号の罰金は、どんな建物が関わるときの話ですか。
条文には、特殊建築物等に関する部分が繰り返し出てきます。
第2号の各本条の罰金刑には第98条や第101条なども含まれるのか

第98条の罰金は三百万円以下、第99条と第101条は百万円以下、第103条は五十万円以下とされています。
第99条第1項の一部の号や第2項は、特殊建築物等に係る部分を除くものとして、第1号との重なりを避ける書き方になっています。
第100条・第102条・第104条は、第1号・第2号のどちらにも挙がっていません。
第2号では、法人の罰金は条ごとに金額が違うのですか。
第2号は、各本条の罰金刑を科すと書いていて、条ごとに額が定められています。
特殊建築物等とは第105条ではどんな建築物を指すのか

この定義は、「以下この条において同じ」とあるとおり、第105条の中で使うものです。
政令で定める建築物にどの建物が入るかは、この条文には書かれていません。
自分の建物が特殊建築物等に当たるかは、建築の窓口などで個別に確かめる必要があります。
特殊建築物等は、第105条の外でも同じ意味で使うのですか。
括弧書きは「以下この条において同じ」としています。
建築主にも刑が科されるのは第98条第2項のどんな場合か

要件は、その違反が故意によるものであることです。
故意かどうかの判断の基準は、この条文には書かれていません。
ここまでの内容を、場面ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 場面 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 従業者の違反行為 | 業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人や人にも罰金刑を科す(第105条) | 業務に関してが要件です |
| 第1号 | 特殊建築物等に係る部分などについて、法人に対して一億円以下の罰金刑を科す(第105条第1号) | 一億円以下と書かれています |
| 第2号 | 第98条・第99条・第101条・第103条などの各本条の罰金刑を科す(第105条第2号) | 各本条の罰金刑です |
| 特殊建築物等 | 第6条第1項第1号に掲げる建築物その他多数の者が利用するものとして政令で定める建築物(第105条第1号の括弧書き) | この条の中の定義です |
| 建築主の故意 | 設計者又は工事施工者を罰するほか、建築主又は建築設備の設置者にも同項の刑を科す(第98条第2項) | 故意の場合の規定です |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、業務に関してに当たるかの判断や、故意かどうかの判断の基準は、第105条と第98条の条文には書かれていません。
建築工事や改修に関わる建物では、法人にも罰金刑が及ぶ規定があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 自分の建物の工事や改修を、どの施工者や設計者に任せているかを契約書類で確かめる。
- 工事の届出や確認の書類が、建築の窓口に出されているかを控えで確かめる。
- 特殊建築物等に当たる建物かどうかを、建築の窓口で個別に確かめる。
- 工事や改修に関する書類は、あとで確かめられるよう書面で保管しておく。
- 消防法令の罰則は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず工事や改修を任せている相手と、その契約や届出の書類を確認しましょう。
消防法令の罰則は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
法人にも罰金刑が及ぶ仕組みがよく分かりました。
まず、工事を任せている相手を確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第九十八条第二項・第百五条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





