建築設備の定期検査(12条点検)が対象にするのは、換気・排煙・非常用照明・給排水の4設備だけです。
しかし建物の屋上や機械室には、この検査の対象外でありながら別の法律で維持管理が義務づけられている機器が数多くあります。
ボイラーや冷凍機のような熱源機器から、高さのある建物そのものまで、義務づける法律も資格も検査の頻度もそれぞれ異なります。
建築設備の定期検査の対象外にある5つの法定管理を、根拠となる法律ごとに整理して解説します。
うちのビルは屋上にボイラーと冷凍機があるんですが、12条点検で一緒に見てもらえていますよね。
いいえ、ボイラーと冷凍機は建築設備定期検査の対象には入っていません。
それぞれ別の法律が独自の検査を求めています。
言われてみれば、ボイラー業者さんが毎月来ている気がします。
建物の高さも関係あるんですか。
はい、建物の高さそのものが別の法律の対象になることもあります。
順番に見ていきましょう。
- ボイラーは労働安全衛生法に基づき月に1回の定期自主検査と年に1回の性能検査の両方が必要です
- 圧力容器も第一種・第二種の区分に応じて同じ安全規則の枠組みで維持管理されます
- 冷凍機は規模により高圧ガス保安法の第一種製造者に該当し保安検査の対象になります
- 高さ31メートルを超える高層建築物等の工事には電波法に基づく総務大臣への届出が必要です
- 高さ60メートルを超える工作物には航空法に基づく航空障害灯の設置・管理義務があります
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目次
ボイラーは労働安全衛生法でどう維持管理されるのか

その代わり、労働安全衛生法が独自の検査サイクルを定めています。
毎月の定期自主検査は事業者自身の責任で行い、結果を記録に残す義務があります。
年に1回の性能検査は登録性能検査機関が行い、これに合格すると検査証の有効期間が更新されます。
現場の作業には労働安全衛生法第14条に基づくボイラー取扱作業主任者(ボイラー技士)の選任も必要です。
建築設備定期検査の非常用照明や給排水設備の検査結果表には、ボイラー本体の項目は出てきません。
毎月ボイラー業者さんが来ているのは、この定期自主検査だったんですね。
はい、それとは別に年1回の性能検査もあります。
検査証の有効期限も一緒に確認しておきましょう。
圧力容器も同じ枠組みで点検されるのか

ただし第一種と第二種で扱いが分かれる点に注意が必要です。
第一種圧力容器は月次の定期自主検査と年次の性能検査の両方が必要で、検査証の更新も同じ仕組みです。
第二種圧力容器は内容積や胴の内径などの規模基準で対象が決まり、第一種とは義務の重さが異なります。
現場の作業主任者は第一種圧力容器取扱作業主任者ですが、実務ではボイラー技士が兼任していることが多くあります。
自社の設備がどちらの区分に当たるかは、まず銘板の記載や設置時の届出書類を確認しましょう。
うちの貯湯槽が第一種と第二種のどちらなのか、今まで気にしたことがありませんでした。
まずは銘板の表示を確認してみてください。
設置業者に聞けばすぐ分かります。
冷凍機の保安検査はどの法律に基づくのか

根拠は労働安全衛生法ではなく高圧ガス保安法です。
一定の冷凍能力を超える設備を持つ事業者は第一種製造者に該当し、都道府県知事または指定保安検査機関による保安検査を定期に受けなければなりません。
現場の運転管理には冷凍保安責任者(規模に応じ第一種から第三種)の選任も必要です。
すべての冷凍機が対象になるわけではなく、小規模な設備は届出だけで済む場合もあるため、規模の確認が最初の一歩になります。
冷凍機はどこも同じように保安検査を受けているものだと思っていました。
冷凍能力によって扱いが変わります。
設備の仕様書で規模を確認してみてください。
高さ31メートルを超える増改築で電波法の届出が必要になるのはなぜか

まず電波法が定める届出を見ていきます。
届出の対象になるのは、テレビ放送等の受信障害を防ぐために指定される伝搬障害防止区域内で行う工事に限られます。
届出先は総務大臣で、工事に着手する前に位置・高さ・構造などを書面で提出しなければなりません。
自分の建物が区域内かどうかは、設計段階で総務省や地方総合通信局に確認しておくと安心です。
建築確認の手続きとは別ルートの届出なので、建築士任せにせず発注者側でも把握しておく必要があります。
建築確認さえ通っていれば、この届出は不要だと思っていました。
建築確認と電波法の届出は別の手続きです。
設計段階で区域を確認しておきましょう。
高さ60メートルを超える建物になぜ航空障害灯が要るのか

設置して終わりではなく、その後の管理まで法律が定めています。
施行規則第128条は、①改修・清掃等により完全な状態に保持すること、②機能を損なう物件があれば直ちに除去すること、③機能停止や復旧の際に国土交通大臣と連絡する体制を整えることを求めています。
国土交通大臣は、管理の方法がこの基準に従っていないと認めるときは設備の改善その他是正のため必要な措置を命ずることができます。
灯具が切れたまま放置すると、この管理義務違反に問われるおそれがあるため、日常の点検項目に組み込んでおくのが安全です。
屋上の赤い灯火、切れているのを見たことがある気がします。
それは管理義務違反にあたるおそれがあります。
日常点検の項目に加えておきましょう。
よくある質問
まとめ
ボイラーも建物の高さも、別の法律が見ているんですね。
うちの設備が対象になるか、一度確認します!
設備ごとに担当業者と検査の周期が違うので、一覧にしておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 労働安全衛生法第14条(作業主任者)・第41条(性能検査)・第45条(定期自主検査)
- ボイラー及び圧力容器安全規則第32条・第37条(ボイラー)・第67条・第70条・第72条・第73条(圧力容器)
- 高圧ガス保安法第35条(保安検査)
- 電波法第102条の3(伝搬障害防止区域における高層建築物等に係る届出)
- 航空法第51条(航空障害灯の設置及び管理)・航空法施行規則第128条(航空障害灯の管理方法)
※本記事は労働安全衛生法・高圧ガス保安法・電波法・航空法の現行条文に基づく一般的な解説です。実際に適用される基準や手続きは設備の規模や建物の立地によって異なります。個別の判断は各設備の管理を委託している専門業者、または所轄の行政機関にご確認ください。





