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建築設備定期検査の追補改正で新しく加わった実務にはどんなものがあるか|調査結果図の活用から資格者証交付証明書まで解説

調査結果図の活用から資格者証交付証明書まで追補改正の実務ポイントを解説するアイキャッチ画像

令和7年7月1日に施行された告示改正を受けて、条文の変更だけでは伝わりにくい実務の細部も具体的に整理されました。
特定建築物定期調査の調査結果図の活用や、目視によらない検査に立ち会うときの実務ポイント、携帯用の資格者証交付証明書の登場など、現場に関わる変化があります。
あわせて、換気設備の検査結果表には「各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況」という新しい検査事項が、居室用と調理室等用の両方に加わりました。
この記事では、まだ広く知られていない実務のポイントを5つに整理して解説します

令和7年に告示が改正されたと聞きましたが、条文が変わっただけではないんですか。
実務でどう変わるのかがよく分かりません。

条文の改正点とは別に、現場で使う書類や道具の面でも変化があります。
調査結果図の活用や資格者証交付証明書など、順番に見ていきましょう。

換気設備の検査項目が増えたとも聞きました。
居室と調理室で扱いが違うのでしょうか。

はい、機械換気設備の居室用と、調理室等の火気使用室用とで、それぞれ新しい検査事項が追加されています。
この記事でどちらも確認していきましょう。

この記事の結論
  • 特定建築物定期調査の調査結果図には防火区画が明示されるようになり、防火ダンパーの設置箇所の把握に活用できる
  • 「目視により確認する」検査は目視又はこれに類する方法に改められ、検査に立ち会う際は使用した機器を記録に残してもらうとよい
  • 携帯が難しい大きな用紙の資格者証に代わり、建築設備等検査員資格者証交付証明書という携帯用カードが発行されるようになった
  • 機械換気設備には各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況という検査事項が新設された
  • 調理室等の換気設備にも同じ趣旨の物品の放置の状況という検査事項が新設された

調査結果図の活用から調理室等の物品放置まで建築設備定期検査の実務ポイント5つの図解

特定建築物定期調査の調査結果図はなぜ活用できるのか

調査結果図に明示された防火区画と防火ダンパーの位置を確認するイラスト
建築設備定期検査を行うとき、防火区画がどこにあるかを一から探すのは手間がかかります。
この手間を減らすための資料の使い方が新しく示されました。
問1 建築設備等定期検査を実施するにあたり、防火区画を容易に把握するためにはどのような資料を活用すればよいか。
答1 特定建築物定期調査の調査結果表に添付する調査結果図に防火区画を明示することとされており、防火ダンパーの設置箇所の把握等の際に、当該調査結果図の活用を図ることとされている。
調査結果図は特定建築物側の書類ですが、建築設備側の検査でも役立ちます
特定建築物定期調査の調査結果表に添付する調査結果図には、敷地及び地盤・建築物の外部・屋上及び屋根・建築物の内部といった調査項目の番号とあわせて、防火区画の位置が明示されることになりました。
建築設備定期検査では風道が防火区画を貫通する箇所に防火ダンパーが設置されているかを確認しますが、区画の位置が分からなければ確認漏れが生じかねません。
特定建築物定期調査を別の業者に依頼している場合でも、調査結果図の写しを共有してもらえないか確認しておくと、防火ダンパーの設置箇所を探す手間が省けます。
次回の検査依頼の際に、調査結果図の有無を尋ねてみるとよいでしょう。

うちは調査会社と検査会社が別々なので、調査結果図をもらえるか分かりません。
頼んでみる価値はありそうですね。

はい、依頼した調査会社に一声かけてみるとよいと思います。
次回の検査がスムーズになります。

目視によらない検査に立ち会うとき何を確認しておくべきか

ファイバースコープを使って天井裏の点検口を確認する女性検査員のイラスト
検査のやり方が柔軟になった分、依頼する側にも新しく気にかけたいポイントが出てきました。
目視によらない検査に立ち会うときの実務上のコツを確認しましょう。
問2 目視によらない方法で検査が行われる場合、検査を依頼する所有者や防火管理者はどのような点に注意すればよいか。
答2 検査を実施する者が目視によるときと同等以上の情報が得られると判断した方法(ファイバースコープ、双眼鏡、赤外線装置、可視カメラ、拡大鏡等の使用)であれば行政への届出や承認は不要とされているため、依頼する側は使用した機器や確認方法を検査結果とあわせて記録してもらうことが実務上望ましい。
届出が要らないからこそ、記録に残る形にしておくことが大切です
目視によらない検査は検査を実施する者自身の判断に委ねられているため、所有者や防火管理者が個別に許可を出す仕組みではありません。
一方で、天井裏や配管内部など目視しにくい箇所をファイバースコープ等で確認した場合、その様子を写真や動画で残してもらえるかどうかは検査業者ごとに対応が分かれます。
検査結果表の記載だけでは伝わりにくい箇所こそ、機器による記録があると次回以降の比較や不具合の早期発見に役立ちます。
検査を依頼する際は、目視によらない方法を使う箇所があれば記録を残してもらえるか、事前に確認しておくと安心です。

写真や動画を残してもらえるなら、次に同じ箇所を見るときの参考になりますね。
次の依頼時に相談してみます。

はい、記録があると経年変化も比較しやすくなります。
ぜひ確認してみてください。

建築設備等検査員資格者証交付証明書とはどんなカードなのか

大きな用紙の資格者証と携帯用の交付証明書カードを見比べるイラスト
検査に来た人が本当に資格を持っているか、その場で確認する手段は限られていました。
この確認を簡単にする新しいカードが登場しています。
問3 建築設備等検査員資格者証はどのような様式で交付されており、現場での携帯にはどのような課題があるか。
答3 国土交通大臣は法第12条の3第3項の規定に基づき建築設備等検査員資格者証を交付しているが、この資格者証は大きな用紙で交付されることから、定期検査の現場で資格を有することを示す身分証として携帯するには難しい面がある
大きな用紙の証書は、そのままでは持ち歩きに向きません
このため、(一財)日本建築設備・昇降機センターでは、有資格者であることを現場などで簡便に明示できる携帯可能なカードとして建築設備等検査員資格者証交付証明書を発行しているほか、検査員相互の情報交流等を目的として建築設備検査員名簿の公開も行っています。
定期検査の実施にあたりこの交付証明書を身につけていれば、所有者や利用者に対して資格を明確に示すことができます。
建物の管理者としては、検査業者から名刺だけでなくこの交付証明書の提示を求めることも、資格確認の一つの手段になります。
初めて依頼する検査業者であれば、資格者証本体か交付証明書のいずれかの提示を一度お願いしてみるとよいでしょう。

今まで検査員の資格を確認したことがありませんでした。
今度から交付証明書を見せてもらうようにします。

それは良い心がけです。
提示をお願いしても失礼にはあたりませんので、遠慮なく確認してください。

居室の給気口や排気口にある物品の放置はなぜ新しい検査事項になったのか

天井の給気口の前に置かれた物品を確認する女性検査員のイラスト
設備そのものが正常でも、まわりに物が置かれていれば役目を果たせません。
この視点が機械換気設備の検査結果表に新しく加わりました。
問4 法第28条第2項又は第3項の規定に基づき換気設備が設けられた居室の機械換気設備について、検査結果表に新しく追加された検査事項は何か。
答4 機械換気設備(中央管理方式の空気調和設備を含む。)の外観の検査事項として、各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況が新設され、検査方法は目視等により確認し、換気の妨げとなる物品が放置されていないことが判定基準とされている。
給気口や排気口の前が塞がれていれば、換気そのものが成立しません
検査方法は目視等により確認するとされており、給気口及び排気口の給排気が周囲の障害物により妨げられていないかを見る、比較的シンプルな検査事項です。
ただし棚や書類、脚立などを給気口の近くに一時的に置く習慣がある事務所では、検査当日だけ片付けても根本的な解決になりません。
判定基準は換気の妨げとなる物品が放置されていることを不適とする形で定められており、給気口周辺のスペースを日常的に確保しておくことが実務上のポイントです。
オフィスのレイアウトを変更するときには、給気口・排気口の周囲に什器を置かないルールをあらかじめ決めておくと安心です。

うちのオフィスも棚の裏に給気口があります。
移動を検討したほうがよさそうですね。

はい、レイアウトを見直す良い機会です。
次回の検査前に一度確認してみてください。

調理室等の給気口や排気口の物品放置検査は何が実務上のポイントか

厨房の給気口の前に置かれた冷蔵庫を確認する男性検査員のイラスト
調理室では、コンロや冷蔵庫など置き場所に困る機器がどうしても増えます。
換気設備を設けるべき調理室等でも、同じ視点の検査事項が加わりました。
問5 換気設備を設けるべき調理室等(火気使用室)の自然換気設備及び機械換気設備についても、居室と同じ検査事項が追加されたか。
答5 換気設備を設けるべき調理室等の自然換気設備及び機械換気設備についても、各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況という検査事項が新設され、検査方法及び判定基準は居室の機械換気設備の場合と同一の内容である。
検査の考え方は居室用と共通ですが、調理室ならではの注意点があります
調理室等では、冷蔵庫や食器棚などの厨房機器が給気口のすぐそばに置かれやすく、レイアウトの制約から動かしにくいことも少なくありません。
自然換気設備・機械換気設備のどちらであっても検査方法は目視等により確認する点、判定基準が換気の妨げとなる物品の放置の有無で決まる点は居室用と同一です。
排気フードの直下にコンロを置く配置自体は問題ありませんが、給気口の前に大型什器を固定的に据え付けてしまうと、検査のたびに同じ指摘を受けることになります。
厨房機器を新しく導入・入れ替えるタイミングで、給気口・排気口の位置を意識したレイアウトにしておくと、以降の検査がスムーズになります。

厨房は冷蔵庫の置き場所に困ることが多いです。
次に入れ替えるときは位置を考えます。

はい、入れ替えのタイミングが見直しの好機です。
給気口周辺は空けておくようにしましょう。

よくある質問

Q今回取り上げた実務のポイントは、令和7年7月1日より前に実施した検査にもさかのぼって適用されるか?
A適用されません。今回取り上げた内容は令和7年7月1日施行の告示改正を踏まえた実務上の追加情報であり、既に完了している検査結果をさかのぼって修正する必要はありません。次回の検査から新しい実務に沿って対応することになります。
Q調査結果図がない古い建築物では、防火区画の位置をどう確認すればよいか?
A調査結果図は特定建築物定期調査の実施にあわせて作成されるものなので、直近の調査結果図が無い場合は竣工図や既存の設計図書から防火区画の位置を確認することになります。次回の特定建築物定期調査の際に、調査結果図の作成・共有を依頼しておくとよいでしょう。
Q建築設備等検査員資格者証交付証明書を持っていない検査員に依頼してはいけないのか?
A交付証明書はあくまで携帯用の簡易的な証明手段であり、所持していないことが資格の有無を意味するわけではありません。資格者証本体や建築設備検査員名簿での確認など、他の方法でも資格を確かめることができます。
Q給気口の物品放置が指摘された場合、検査結果はどう扱われるか?
A判定基準に照らして換気の妨げとなる物品が放置されていると判断されれば、当該検査事項は要是正の扱いになります。物品を移動させたうえで改めて確認してもらい、改善状況を報告書に反映することになります。

まとめ

建築設備定期検査には、令和7年7月1日施行の告示改正を踏まえた実務上のポイントが加わっている
特定建築物定期調査の調査結果図には防火区画が明示されるようになり、防火ダンパーの設置箇所の把握に活用できる
目視によらない検査は検査を実施する者自身の判断に委ねられており、届出や承認は不要である
携帯が難しい大きな用紙の資格者証に代わり、建築設備等検査員資格者証交付証明書という携帯用カードが発行されている
機械換気設備には各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況という検査事項が新設された
調理室等の換気設備にも同一の検査方法・判定基準で物品の放置の状況が検査事項に加わった
いずれの変更も令和7年7月1日以降に実施する検査から適用され、過去の検査結果をさかのぼる必要はない

調査結果図の活用や資格者証交付証明書など、細かいけれど役立つポイントが分かりました。
次の検査依頼のときに確認してみます。

検査項目や確認方法の変更は見落としやすいポイントです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条・第12条の3
  • 平成20年国土交通省告示第285号(最終改正:令和7年国土交通省告示第53号、令和7年7月1日施行)
  • 令和6年国土交通省告示第974号

※本記事は令和7年7月1日に施行された告示改正にともなう実務上のポイントを、建築基準法及び関係告示の現行規定にもとづき㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。個別の建築物における具体的な確認方法・書類の取扱いについては、検査を依頼する建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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