消火用屋外給水施設に手を入れると、検査を受けて手数料を払うことになります。
手数料は基本額だけのこともあれば、配管の総延長を足して算定することもあります。
同じ能力のポンプに替えただけなら基本額のみ。ところが配管が減っただけでも総延長で算定します。
分かれ目は施設全体に影響するかどうかです。
ポンプを同じ能力のものに取り替えるだけでも、配管の総延長で手数料を計算するのでしょうか。
その場合は基本額のみで算定するとされています。
一方で配管を撤去した場合は、減っていても基本額と配管総延長で算定します。
事業所が2つの市町にまたがっています。
検査は両方で受けるのでしょうか。
3つの方法のいずれかを定めるべきとされました。
ただしどの方法によっても、一の検査としての手数料を徴収すべきとされています。
- 加圧ポンプを同一能力のポンプと取り替える場合は、基本額のみで算定します
- 消火栓や配管を撤去した場合、配管を部分的にルート変更して総延長が減少した場合は、いずれも基本額と配管総延長で算定します
- 基本額のみでよい工事に該当するのは、既設配管上の消火栓の増設または移設と、貯水槽・取水ピット・自然水利取水口の改造または増設です
- 事業所が2つの市町にまたがる場合の検査は3つの方法のいずれかを定めるべきであり、いずれによっても一の検査としての手数料を徴収します
- 合同事業所の主たる事業所は従たる事業所の部分を含めて届出を行い、その際の検査および検査手数料は不要です
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目次
同じ能力のポンプに替えた場合の手数料

まず、老朽化した加圧ポンプを同じ能力の新しいものに入れ替えるだけの場合です。
(1) 加圧ポンプを同一能力のポンプと取り替える場合
同一能力という条件が効いています。能力が変わらなければ、その先の配管が受ける条件も変わりません。
配管総延長を足して算定するのは、施設全体の性能を見直す必要がある場合です。ポンプを同じものに替えただけなら、確かめるべきはその機器だけになります。
逆にいえば、能力の違うポンプに替えれば話は変わります。同一能力かどうかは、手数料の額に直結する分かれ目です。
能力が変わらなければ、基本額だけで済むのですね。
条件が効いています。
更新の内容を、仕様で確かめてください。
配管が減った場合はどう算定するか

(3) 配管を部分的にルート変更(約100メートル)し、総延長が減少した場合
(3) 基本額+配管総延長で算定する。
どちらも配管総延長を足して算定することになりました。減ったからといって基本額だけにはなりません。
理由は算定の対象を考えれば分かります。手数料は工事の規模ではなく、検査すべき施設の規模に対してかかります。
配管が減れば、残った施設全体で必要な水量や圧力が保たれているかを確かめ直す必要があります。だから施設全体を見る検査になり、総延長が算定に入ります。
撤去だから簡単だろうと見積もっていると、金額が想定と食い違います。
減っても、総延長で算定するのですね。
検査すべき施設で決まります。
撤去の計画も、手数料を見込んでください。
基本額だけでよい工事はどれか

(1)既設配管上の消火栓の増設又は移設
(2)配管延長に伴う消火栓の増設
(3)配管の移設
(4)貯水槽、取水ピット、自然水利取水口の改造又は増設
が該当すると考えてよいか。
(2)及び(3)については該当しない。
4つのうち2つが該当し、2つが外れました。並べると境目が見えてきます。
該当した(1)は既設配管上での消火栓の増設または移設です。配管そのものは動かしません。(4)の貯水槽や取水ピットも、配管の長さには関わりません。
外れた(2)は配管延長に伴う消火栓の増設で、配管が伸びます。(3)の配管の移設も配管を動かします。
つまり配管の総延長やルートが変わるかどうかが分かれ目です。前の項目で撤去やルート変更が総延長で算定されたのと、同じ考え方で通っています。
配管に触れるかどうかが境目なのですね。
類型が示されています。
工事の内容を、この観点で分類してください。
2つの市町にまたがる場合の検査

検査を行うのは市町村長等です。事業所が2つの区域にかかっていると、どちらが何をするのかが問題になります。
2 A市及びB町において、届出、検査証の交付についてはそれぞれで行うが、検査自体は両市町で共同して行う。
3 A市及びB町が当該消火用屋外給水施設全体について検査を行う。
1から3のいずれかの方法によるか定めるべきである。手数料については、1の場合はそれぞれの市町において、2及び3の場合は両市町協議のうえ定めることとなるが、いずれの方法によつたとしても一の検査としての手数料を徴収すべきである。
検査の進め方には3通りの選択肢が示され、どれによるかは定めるべきとされました。事業者が選ぶのではなく、関係する市町が決めることになります。
実務で効くのは最後の一文です。どの方法をとっても、徴収するのは一の検査としての手数料です。
またがっているから2回ぶん払う、ということにはなりません。前の記事で見た共同防災組織の届出が、原則は2市町長へだが調整すれば一方でよいとされたのと似た構造です。
行政の内部で分担をどう決めても、事業者側の負担は1件ぶんに収まるという整理になっています。
検査の進め方にも、選択肢があるのですね。
手数料は1件分です。
またがる場合は、事前に方法を決めておきましょう。
合同事業所は届出をやり直すのか

それぞれが以前から持っていた特定防災施設等は、すでに検査済みです。合同になったことで手続をやり直すのか。
また、検査を受け、検査手数料を支払う必要があるか。
後段、検査及び検査手数料は不要である。
手続は2つに分かれました。届出は必要、検査と手数料は不要です。
届出が要るのは、合同事業所としての姿を書類の上で1つにまとめる必要があるからです。主たる事業所が、従たる事業所の部分まで含めた内容で出します。
一方で検査は不要とされました。施設そのものは以前と同じで、すでに検査を受けています。同じものをもう一度見る意味がないからです。
そのかわり、各特定防災施設等に関する検査済証の写しを添付させることとされています。検査を省くかわりに、済んでいる証拠を添えるという形です。
届出だけをやり直す場合もあるのですね。
検査は不要とされました。
体制が変わったときは、手続きの要否を確認してください。
よくある質問
まとめ
- 加圧ポンプを同一能力のポンプと取り替える場合は基本額のみで算定します
- 消火栓や配管を撤去した場合、配管を部分的にルート変更して総延長が減少した場合は、いずれも基本額+配管総延長で算定します
- 基本額のみでよい工事に該当するのは、既設配管上の消火栓の増設または移設と、貯水槽・取水ピット・自然水利取水口の改造または増設です
- 配管延長に伴う消火栓の増設と配管の移設は該当しません
- 2つの市町にまたがる場合の検査は3つの方法のいずれかを定めるべきとされ、いずれによっても一の検査としての手数料を徴収します
- 合同事業所の主たる事業所は従たる事業所の部分を含めて届出を行い、各特定防災施設等の検査済証の写しを添付します
- その際の検査および検査手数料は不要とされています
配管に触れるかどうかで線が引かれているのですね。
すっきりしました。
工事の内容によって手数料が大きく変わります。
㈱防災屋でも計画段階での確認からご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法に関する質疑応答(平成2年5月31日 消防特第120号 消防庁特殊災害室長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等災害防止法に関する質疑応答(昭和62年1月12日 消防地第12号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等災害防止法第15条第2項
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第14条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。手数料の額および具体的な取扱いは市町村の条例等により定められます。個別の事業所についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




