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危険物はなぜ保護液から露出させてはいけないのか|通則基準が定める片づけと修理のルールも解説

危険物はなぜ保護液から露出させてはいけないのかを解説する記事のアイキャッチ画像

危険物を扱う製造所・貯蔵所・取扱所には、種類や規模を問わずすべてに共通する基準があります。
「通則」と呼ばれるこの基準は、日々の片づけや修理、保管方法にまで細かく及びます。
なかには「保護液に沈めて保存する危険物は露出させてはならない」という、意外と知られていない規定もあります。
この記事では、危険物の規制に関する政令第二十四条が定める通則基準を、具体例とともに解説します。

うちは危険物を扱っていますが、細かい基準まではよく分かっていません。

危険物の規制に関する政令第二十四条に、貯蔵・取扱いに共通する通則基準が定められています。
まずは全体像から確認しましょう。

保護液に沈めて保存する危険物、というのは初めて聞きました。

はい。
条文の言葉だけだと分かりにくいので、具体例を交えて説明しますね。

この記事の結論
  • 危険物の規制に関する政令第二十四条は、すべての製造所等に共通する貯蔵・取扱いの基準です
  • 貯留設備にたまった危険物はあふれる前にくみ上げ、くず・かすは一日に一回以上処分する必要があります
  • 保護液の中に保存する危険物は、保護液から露出させてはいけません
  • 修理は危険物を完全に除去した安全な場所で行い、可燃性蒸気が滞留する場所では火花を発する工具を使いません
  • これらは施設の種類を問わず共通して適用される基準です

危険物の貯蔵に共通する通則基準として係員以外立入禁止とあふれる前のくみ上げと保護液からの露出禁止と火花厳禁をまとめた図解

危険物施設に共通する通則基準とはなにを指すのか

係員以外の立入りを禁止する柵とドラム缶が並ぶ危険物貯蔵所のイメージ
まずは、通則基準がどんな範囲をカバーするのかを確認します。
製造所・貯蔵所・取扱所の種類を問わず共通して適用されます。
危険物の規制に関する政令第二十四条 法第十条第三項の製造所等においてする危険物の貯蔵及び取扱いのすべてに共通する技術上の基準は、次のとおりとする。一 (略)許可若しくは届出に係る品名以外の危険物又はこれらの許可若しくは届出に係る数量若しくは指定数量の倍数を超える危険物を貯蔵し、又は取り扱わないこと。二 製造所等においては、みだりに火気を使用しないこと。三 製造所等には、係員以外の者をみだりに出入させないこと。四 製造所等においては、常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。
通則基準は、施設の種類を問わずすべてに共通する基準です。
第一号は、許可・届出の範囲を超える危険物の貯蔵・取扱いを禁止しています。
第二号はみだりな火気の使用を、第三号は係員以外の者の立入りを禁じています。
第四号では、常に整理・清掃を行い、不必要な物件を置かないことも求められます。
つまり通則基準は「許可の範囲を守る」「火気と人の出入りを管理する」「片づける」という基本の積み重ねです。

当たり前のようで、条文にちゃんと書いてあるんですね。

はい。
まずは全体像を押さえておきましょう。

貯留設備にたまった危険物やくず・かすはどう処理すればよいのか

貯留設備の液をポンプでくみ上げる作業員と廃棄物入れのイメージ
次は、日々の片づけに直結する号を確認します。
あふれと放置を防ぐための基準です。
危険物の規制に関する政令第二十四条第四号の二 貯留設備又は油分離装置にたまつた危険物は、あふれないように随時くみ上げること。第五号 危険物のくず、かす等は、一日に一回以上当該危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
貯留設備にたまった危険物は、あふれる前にくみ上げるのが原則です。
第四号の二は、貯留設備や油分離装置にたまった危険物を随時くみ上げることを求めています。
第五号では、危険物のくず・かす等を一日に一回以上、安全な場所で廃棄するよう定めています。
「たまったら気づいたときに」ではなく、随時・毎日という頻度そのものが基準になっている点に注意が必要です。
清掃のタイミングを日課として決めておくと、この基準を満たしやすくなります。

くず・かすの処分は、どれくらいの頻度でやればよいのでしょうか。

一日に一回以上が基準です。
清掃の時間を決めて習慣にしましょう。

保護液の中に保存する危険物はなぜ露出させてはいけないのか

保護液に沈めた金属片と液面から露出した金属片を比較するイメージ
続いて、意外と知られていない保護液の基準です。
液面の管理を誤ると危険性が一気に高まります。
危険物の規制に関する政令第二十四条第十四号 危険物を保護液中に保存する場合は、当該危険物が保護液から露出しないようにすること。
保護液に沈めて保存する危険物は、液面から露出させてはいけません。
黄りんやアルカリ金属など、水や油の中で保存することで初めて安定する危険物があります。
保護液が蒸発や漏えいで減り、危険物の一部でも液面から出てしまえば、この号の違反になります。
露出した部分は空気中の水分や酸素と反応し、発火につながるおそれがあります。
保護液の量は、蒸発分を見越して定期的に補充・点検することが欠かせません。

保護液が減っていることに、気づかないこともありそうです。

だからこそ定期的な液面の点検が欠かせません。
補充のタイミングも決めておきましょう。

修理や可燃性蒸気が滞留する場所ではなにに気をつけるべきか

危険物を完全に除去して修理する作業員と火花を出す工具を使う作業員を対比したイメージ
次は、修理と工具の取扱いに関する基準です。
残った危険物や蒸気が思わぬ着火源になります。
危険物の規制に関する政令第二十四条第十号 危険物が残存し、又は残存しているおそれがある設備、機械器具、容器等を修理する場合は、安全な場所において、危険物を完全に除去した後に行うこと。第十三号 可燃性の液体、可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスがもれ、若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所では、電線と電気器具とを完全に接続し、かつ、火花を発する機械器具、工具、履物等を使用しないこと。
修理は、危険物を完全に除去してから安全な場所で行います。
第十号は、危険物が残っているおそれのある設備・機械器具・容器等の修理を、完全に除去した後に限っています。
第十三号は、可燃性の蒸気やガスがもれ・滞留するおそれのある場所での火花を発する工具・履物の使用を禁じています。
電線と電気器具の接続も「完全に」行うことが求められ、緩みや露出があってはいけません。
除去が済んだと思い込まず、修理前には必ず内部の残存確認を行ってください。

うっかり火花の出る工具を持ち込みそうです。

作業前に蒸気の滞留がないかを必ず確認してください。
工具の選定も忘れずに。

明日からなにを確認すればよいのか

点検員がタンクのゲージを確認しながら巡回するイメージ
最後に、日常点検で確認しておきたいポイントをまとめます。
通則基準は、点検表に落とし込むと運用しやすくなります。
危険物の規制に関する政令第二十四条第七号 危険物は、温度計、湿度計、圧力計その他の計器を監視して、当該危険物の性質に応じた適正な温度、湿度又は圧力を保つように貯蔵し、又は取り扱うこと。第八号 危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合においては、当該危険物が漏れ、あふれ、又は飛散しないように必要な措置を講ずること。
点検表には、通則基準の号番号までひもづけておくと運用しやすくなります。
第七号は、温度計・湿度計・圧力計による監視と、適正な温度・湿度・圧力の維持を求めています。
第八号は、危険物が漏れ・あふれ・飛散しないための措置を独立した号として定めています。
本記事で紹介した号とあわせて、日常点検のチェック項目に落とし込んでおくと見落としが減ります。
点検の記録を残しておけば、万一の際にも運用状況を説明しやすくなります。

通則基準は号の数が多いので、点検表にまとめておくと安心ですね。

はい。
号番号ごとにチェック欄を作っておくと管理しやすくなります。

よくある質問

Q通則基準は指定数量未満の危険物にも適用されますか?
A政令第二十四条は法第十条第三項の製造所等を対象とする基準です。指定数量未満の危険物には、市町村の火災予防条例が別に定める基準が適用されます。
Q保護液が減っていることに気づかず露出させてしまった場合はどうなりますか?
A露出は政令第二十四条第十四号違反にあたるおそれがあります。速やかに保護液を補充し、以後は定期点検の頻度を見直してください。
Qくず・かすの廃棄は「一日一回」より少なくてもよい場合はありますか?
A条文は「一日に一回以上」と定めており、これが最低限の頻度です。発生量が多い施設ではさらに頻度を上げる運用が必要です。
Q修理のたびに危険物を完全に除去したか、どう確認すればよいですか?
A目視だけでなく、洗浄やガス検知など危険物の性質に応じた方法で残存の有無を確認し、記録に残すことをおすすめします。

まとめ

危険物の規制に関する政令第二十四条は、すべての製造所等に共通する貯蔵・取扱いの基準です
許可・届出の範囲を超える危険物は貯蔵・取扱いできません
みだりな火気の使用と係員以外の立入りは禁止されています
貯留設備にたまった危険物はあふれる前にくみ上げ、くず・かすは一日一回以上処分します
保護液に保存する危険物は液面から露出させてはいけません
修理は危険物を完全に除去した安全な場所で行います
可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所では、火花を発する工具を使用しません

日々の片づけから保護液の管理まで、確認すべき点がはっきりしました

まずは保護液の液面と貯留設備のくみ上げ状況を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第二十四条(貯蔵及び取扱いの通則基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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