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危険物施設の許可はどこに出せばよいのか|市町村長・都道府県知事・総務大臣の使い分けを解説

屋外の貯蔵タンクの前で書類を確認する作業着姿の担当者の写真

危険物を貯蔵したり取り扱ったりする施設をつくるとき、許可はどこに出せばよいのでしょうか。
市役所だと思っていたら実は都道府県庁だった、というすれ違いは意外と起こります。
消防法第11条は、施設の場所と種類によって許可を出す先を細かく分けています。
この記事では、市町村長・都道府県知事・総務大臣という三者の使い分けを、条文にもとづいて整理します。

うちの施設、許可はどこに出せばいいんやろ。

実は施設の場所と種類で申請先が変わるんです。

場所によって窓口まで変わるとは知りませんでした。

はい、まずは基本の分け方から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物施設の許可は施設の場所と種類によって窓口が変わります
  • 消防本部及び消防署を置く市町村では市町村長が窓口になります
  • それ以外の市町村では都道府県知事が窓口になります
  • 配管でつながる移送取扱所は市町村長・都道府県知事・総務大臣の三段階に分かれます
  • 窓口が変わっても審査で見られる基準そのものは全国共通です

危険物施設の許可はどこに出すのかをまとめた図解(施設の所在地・消防本部の有無・移送取扱所は別・県境をまたぐ場合)

危険物施設の許可はどこに出せばよいのか

作業着の担当者が屋外の貯蔵タンクの前で書類を手に町役場のような建物を見上げている
危険物施設をつくったり位置や構造を変えたりするときは、許可を受けなければなりません。
この許可を出す先は、実は一つに決まっているわけではないのです。
消防法第11条第1項 製造所、貯蔵所又は取扱所を設置しようとする者は、政令で定めるところにより、製造所、貯蔵所又は取扱所ごとに、次の各号に掲げる製造所、貯蔵所又は取扱所の区分に応じ、当該各号に定める者の許可を受けなければならない。製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しようとする者も、同様とする。(略)
許可を出す先は条文の区分ごとに違います。
第11条第1項は一号から四号までに分かれていて、それぞれ「当該各号に定める者」が許可権者として指定されています。
位置や構造を変更するときも、設置するときと同じ手続が必要になります。
つまり増築や設備の入れ替えでも、まず自分の施設がどの区分に当たるかを確認する必要があるのです。
次の見出しから、この区分を一つずつ見ていきます。

市役所と県庁、どっちに出したらええんか毎回迷います。

消防本部があるかどうかで窓口が変わりますよ。

市町村長と都道府県知事はどんな基準で分かれるのか

小さな町役場の建物と大きな都道府県庁舎の建物を並べ、それぞれの横に貯蔵タンクを置いて対比している
配管でつながる移送取扱所を除くと、区分の決め手は一つだけです。
それは施設がある市町村に消防本部があるかどうかです。
消防法第11条第1項 一 消防本部及び消防署を置く市町村(次号及び第三号において「消防本部等所在市町村」という。)の区域に設置される製造所、貯蔵所又は取扱所(配管によつて危険物の移送の取扱いを行うもので政令で定めるもの(以下「移送取扱所」という。)を除く。) 当該市町村長 二 消防本部等所在市町村以外の市町村の区域に設置される製造所、貯蔵所又は取扱所(移送取扱所を除く。) 当該区域を管轄する都道府県知事
基準は「消防本部等所在市町村」かどうかの一点です。
消防本部と消防署を置く市町村なら、その市町村長が許可権者になります。
消防本部を置いていない小規模な市町村では、区域を管轄する都道府県知事が代わりに窓口を担います。
自分の施設がある自治体に消防本部があるかどうかは、自治体のホームページや消防本部の設置状況で確認できます。
この区分は移送取扱所には当てはまらず、そちらは次の見出しで扱う別ルールになります。

うちの市には消防本部があるから、市長さんのとこでええんですね。

そのとおりです。
無い市町村なら都道府県知事になります。

配管でつながる移送取扱所はなぜ別ルールになるのか

地図の上に置かれた配管の模型で、一方は一つの区域内に収まり他方は境界線をまたいで伸びている
タンクや倉庫と違い、配管でつなぐ移送取扱所は施設が広い範囲にまたがることがあります。
そのため区分もさらに一段階細かくなっています。
消防法第11条第1項 三 一の消防本部等所在市町村の区域のみに設置される移送取扱所 当該市町村長 四 前号の移送取扱所以外の移送取扱所 当該移送取扱所が設置される区域を管轄する都道府県知事(二以上の都道府県の区域にわたつて設置されるものについては、総務大臣
移送取扱所は広がり方によって三段階に分かれます。
一つの消防本部等所在市町村の中だけで完結する移送取扱所は、その市町村長が窓口です。
複数の市町村にまたがるものの同じ都道府県内であれば、都道府県知事が窓口になります。
そして二つ以上の都道府県にまたがって設置される移送取扱所だけは、総務大臣が許可権者になります。
配管の敷設ルートが将来県境を越える計画になっていないか、早い段階で確認しておくと窓口選びで慌てずに済みます。

配管で隣の県までつながってる設備もあるんですけど。

二つ以上の都道府県にまたがるなら総務大臣の許可になりますよ。

窓口が違うと審査の中身も変わってしまうのか

町役場・都道府県庁舎・高層のビルという高さの違う三つの建物が同じ形のクリップボードを掲げている
窓口が市町村長から総務大臣まで変わると聞くと、審査の厳しさまで違いそうに感じます。
ですが条文を読むと、審査そのものの物差しは共通であることがわかります。
消防法第11条第2項 前項各号に掲げる製造所、貯蔵所又は取扱所の区分に応じ当該各号に定める市町村長、都道府県知事又は総務大臣(略)は、同項の規定による許可の申請があつた場合において、その製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造及び設備が前条第四項の技術上の基準に適合し、かつ、当該製造所、貯蔵所又は取扱所においてする危険物の貯蔵又は取扱いが公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないものであるときは、許可を与えなければならない。
審査で見られる中身は窓口が変わっても同じです。
技術上の基準への適合と、公共の安全や災害防止への支障の有無、この二つが全国共通の判断基準になっています。
窓口が総務大臣になったからといって、別の基準で厳しく見られるわけではありません。
さらに総務大臣が移送取扱所を許可するときは関係都道府県知事へ通知する義務があり、関係都道府県知事や関係市町村長は意見を申し出ることができます。
窓口が遠い総務大臣であっても、地元の自治体の声が無視されるわけではない仕組みになっています。

窓口が違うと審査の厳しさも違うんですかね。

技術基準と公共の安全という物差しは、窓口が変わっても同じですよ。

明日からなにを確認すればよいのか

作業着の担当者が机の上で地図とクリップボードを見比べており背後の窓越しに貯蔵タンクが見える
ここまでの区分を踏まえて、自分の施設に当てはめて確認しておきたいことをまとめます。
まず自分の施設がどの区分に当たるかを確認しましょう。
  • 施設がある市町村に消防本部があるかを確認する
  • 配管でつなぐ移送取扱所かどうかを確認する
  • 移送取扱所なら敷設区域が一つの市町村・同一都道府県内・複数都道府県のどれに当たるかを確認する
  • 増築や設備変更の計画があるときは、変更後も区分が変わらないかを先に確認する
  • 窓口が分かったら、その市町村長等の担当窓口に事前相談してから申請書類を準備する
窓口を取り違えたまま書類を出してしまうと、受付し直しで着工が遅れることもあります。
迷ったときは自己判断せず、施設の所在地を管轄する消防本部や都道府県の担当課に確認するのが確実です。

まずは自分の施設がどの区分に当たるか確認せんとですね。

はい、所在地と施設の種類を照らし合わせてみてください。

よくある質問

Q移送取扱所とはどんな施設のことですか?
A配管によって危険物の移送の取扱いを行うもので、政令で範囲が定められている施設です。パイプラインで危険物を送る施設をイメージするとわかりやすいです。タンクや倉庫のような通常の貯蔵所・取扱所とは区分の決め方が別になっています。
Q消防本部を置かない市町村ではどこに申請すればよいですか?
Aその区域を管轄する都道府県知事が窓口になります。市町村長ではなく都道府県庁の担当課に申請することになります。
Q総務大臣が許可した移送取扱所に地元の自治体は関われないのですか?
A関われます。総務大臣は許可の前に関係都道府県知事へ通知し、関係都道府県知事と関係市町村長には意見を申し出る権利があります。地元の意見が反映される仕組みが用意されています。
Q施設を譲り受けたときも許可を取り直す必要がありますか?
A許可そのものは譲り受けた側に引き継がれるため取り直しは不要ですが、遅滞なく市町村長等へ届け出る義務があります。詳しい手続は下の関連記事で解説しています。

まとめ

危険物施設の許可は施設の場所と種類によって窓口が変わる
消防本部及び消防署を置く市町村では市町村長が窓口になる
それ以外の市町村では都道府県知事が窓口になる
配管でつながる移送取扱所は一つの市町村・同一都道府県内・複数都道府県の三段階に分かれる
二つ以上の都道府県にまたがる移送取扱所は総務大臣の許可になる
窓口が変わっても審査で見られる技術基準と公共の安全の基準は全国共通
総務大臣の許可でも関係都道府県知事や関係市町村長は意見を申し出られる

これで申請先の見分け方がわかりました。

窓口選びに迷ったらお声がけください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第11条(製造所等の設置、変更等の許可)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または都道府県の担当課にご確認ください。

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