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可燃性固体の小ガス炎着火試験の条件を解説する記事のアイキャッチ画像

危険物の規制では、固体の物品も性質によって細かく分類されます。
その一つが「可燃性固体」ですが、何をもって可燃性固体と判定されるのでしょうか。
実は消防法令には、専用の器具を使って着火のしやすさを判定する具体的な試験手順が定められています。
政令と省令が定める試験の中身を、条文から確認します。

うちの倉庫にある粉状の薬品なんですが、可燃性固体として扱われるかどうか、見た目だけでは判断できません。

見た目ではなく、決められた試験の結果で判定しますよ。
順番に確認しましょう。

どんな試験を使えば、可燃性固体だと確認できるんでしょうか。

政令が指定する専用の試験があります。
まずは定義から確認しましょう。

この記事の結論
  • 可燃性固体とは、固体であって火炎による着火の危険性を判断する政令で定める試験で、政令の定める性状を示すものをいいます。
  • その試験の名称そのものが政令に書かれており、可燃性固体では小ガス炎着火試験が指定されています
  • 判定基準は、試験物品が10秒以内に着火し、燃焼を継続することです。
  • 試験は温度20度・湿度50パーセントの無風の場所で行うことまで省令で定められています。
  • 硫化りん・赤りん・硫黄及び鉄粉は、試験を経ずに可燃性固体とみなされます

可燃性固体の小ガス炎着火試験の判定手順を示す図解(10秒と20度の基準)

可燃性固体とはどんな物品を指すのか

倉庫の棚に並ぶ固体の危険物と掲示板のイラスト
危険物の規制では、固体の物品もその性質によって細かく分類されます。
消防法の別表第一には、可燃性固体をどう定義するかがあらかじめ書かれています。
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)別表第一備考第二号 可燃性固体とは、固体であつて、火炎による着火の危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
可燃性固体とは、試験の結果で決まる区分です。
見た目が燃えやすそうかどうかではなく、政令で定める試験で一定の性状を示すかどうかで判断します。
条文はどんな試験を使うかまでは書かず、「政令で定める試験」という書き方で下位の法令に判断をゆだねています。
つまり、可燃性固体に当たるかどうかを知るには、この先の政令の条文まで確認する必要があります。
まずはその試験の名前を見てみましょう。

「政令で定める試験」としか書いていないと、結局どんな試験なのか分かりませんね。

そうですね。
試験の名前は政令のほうに書かれています。

どんな試験で可燃性固体と判定するのか

試験装置の前に立つ作業服姿の人物のイラスト
消防法別表第一の定義を受けて、実際の試験名を指定しているのが政令です。
条文を確認します。
危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第一条の四(抜粋) 法別表第一備考第二号の火炎による着火の危険性を判断するための政令で定める試験は、小ガス炎着火試験とする。(略)法別表第一備考第二号の政令で定める性状は、前項の小ガス炎着火試験において試験物品が十秒以内に着火し、かつ、燃焼を継続することとする。
試験の名前と合格の基準は、どちらも政令に書かれています。
指定されているのは小ガス炎着火試験という試験です。
試験物品に火炎を近づけてから10秒以内に着火し、そのまま燃焼を続ければ、可燃性固体の性状を示したことになります。
逆に10秒を過ぎても着火しない、または着火してもすぐ消えるようなら、この試験では可燃性固体に当たりません。
ここまでで試験の名前と合否の基準は分かりましたが、具体的な手順はまだ書かれていません。

10秒という数字まで政令に書いてあるんですね。

はい。
試験のやり方そのものは、さらに別の省令に定められています。

小ガス炎着火試験は具体的に何をする試験なのか

断熱板の上の試験物品に炎を近づけストップウォッチで計測するイラスト
試験の名前と基準が分かったところで、次は実際の手順を確認します。
細目を定めているのは、政令からさらに委任を受けた省令です。
危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第一号)別表第五(抜粋) 小ガス炎着火試験は、温度二十度、湿度五十パーセント、気圧一気圧の無風の場所とする。厚さが十ミリメートル以上の無機質の断熱板の上に試験物品三立方センチメートルを置き、液化石油ガスの火炎(長さが七十ミリメートルとなるように調節したもの)を試験物品に十秒間接触させ、着火するまでの時間を測定し、燃焼を継続するか否かを観察する。
試験の条件は、温度や湿度まで細かく決められています。
試験場所は温度20度・湿度50パーセントの無風の環境に限られます。
断熱板の上に置いた試験物品へ、長さ70ミリメートルに調節した液化石油ガスの火炎を10秒間当て、着火までの時間と燃え続けるかどうかを観察します。
器具の寸法や火炎の長さまで数値で決まっているので、事業者や消防機関によって結果がぶれることはありません。
ここまでが、試験を受けるすべての物品に共通する手順です。

つまり、炎を当てる時間や強さまで揃えないと、正しい結果にならないんですね。

そのとおりです。
条件を揃えることで、誰が試験しても同じ結果になります。

なぜ試験をせずに可燃性固体とみなされる物品があるのか

試験装置と試験を経ずに認められる粉末を並べたイラスト
ここまでの試験は、すべての固体の危険物に行うわけではありません。
一部の物品は、試験を経ずに結論が決まっています。
消防法別表第一備考第四号 硫化りん、赤りん、硫黄及び鉄粉は、備考第二号に規定する性状を示すものとみなす
硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉の4つは、試験を省略できる物品です。
本来なら小ガス炎着火試験で性状を確認するところ、この4つの品名は試験を行わなくても可燃性固体の性状を示すものとみなされます。
条文にみなし規定があることを知らないと、「この物品も試験結果を確認しなければ」と余計な手間をかけてしまいます。
逆に、この4つ以外で可燃性固体に当たりそうな物品は、みなし規定の対象外なので試験の結果を確認する必要があります。
理由までは条文に書かれていませんが、経験的に性状が明らかな物品を試験の対象から外す趣旨と考えられます。

うちで扱っているのは鉄粉なんですが、それなら試験をしなくていいということですか。

品名が硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉であれば、みなし規定が使えます。
次は実務でどう確認すればよいかを見てみましょう。

小ガス炎着火試験の対象かどうかを実務でどう確認すればよいか

受付カウンターで書類を手渡す作業服姿の人物のイラスト
ここまで見てきた試験は、専用の器具と条件を必要とする技術的な試験です。
事業者が自己判断だけで結論を出すのは適切ではありません。
  • 取り扱う物品の品名が硫化りん・赤りん・硫黄・鉄粉のみなし規定に当たるかどうかを、まず確認する
  • 当たらない物品は、安全データシートなど製造者の資料で小ガス炎着火試験の結果を確認する
  • 資料がない、または境界線上にある物品は、専門の試験機関に依頼して試験を行ってもらう
  • 判定結果は所轄の消防署に相談し、品名や指定数量の考え方をすり合わせておく

結局、自分たちだけで「試験は不要」と決めつけないことが大事なんですね。

はい。
みなし規定の対象かどうかを確認するのが最初の一歩です。

よくある質問

Q可燃性固体とはどんな物品を指すのか?
A消防法別表第一備考第二号により、固体であって、火炎による着火の危険性を判断する政令で定める試験(小ガス炎着火試験)で政令の定める性状を示すもの、または引火性を示すものをいいます。
Q小ガス炎着火試験ではどんな結果が出れば可燃性固体と判定されるのか?
A危険物の規制に関する政令第一条の四により、試験物品が10秒以内に着火し、燃焼を継続することが政令で定める性状です。
Q小ガス炎着火試験は具体的にどんな条件で行うのか?
A危険物の試験及び性状に関する省令別表第五により、温度20度・湿度50パーセントの無風の場所で、長さ70ミリメートルの液化石油ガスの火炎を試験物品に10秒間接触させて観察します。
Q硫化りんや鉄粉も同じ試験を受けるのか?
Aいいえ。消防法別表第一備考第四号により、硫化りん・赤りん・硫黄及び鉄粉は試験を経ずに可燃性固体の性状を示すものとみなされます。

まとめ

可燃性固体とは、固体であって火炎による着火や引火の危険性を判断する政令で定める試験で性状を示すものをいいます。
その試験の名称そのものが政令に書かれており、可燃性固体では小ガス炎着火試験が指定されています
判定基準は、試験物品が10秒以内に着火し、燃焼を継続することです。
試験は温度20度・湿度50パーセントの無風の場所という条件まで省令で定められています。
火炎は液化石油ガスを使い、長さ70ミリメートルに調節したものを10秒間接触させます
硫化りん・赤りん・硫黄及び鉄粉は、試験を経ずに可燃性固体とみなされます。
自社で判定が難しい物品は、試験機関や所轄消防署に相談して確認するのが確実です。

小ガス炎着火試験の条件やみなし規定まで、よく分かりました

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)別表第一備考第二号・第四号
  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第一条の四
  • 危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第一号)第二条・別表第五

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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